85年前に建てられた北方町最古の鉄筋の建物が改修され、30日に記念館としてオープンする。本来は出版社の事務所で、市民サークルが長年使われていないのを惜しんで、「町づくりの拠点」としての利用を計画。出版社の創業者の子孫から援助を得て改修した。今後はイベント会場としても利用する予定で、サークルのメンバーは「町のシンボルになれば」と話している。
 改修を計画したのは「夢まち倶楽部(くらぶ)」=武藤憲克部長(61)。町商工会OBの会社経営者や店主ら約20人が町づくりのため、イベントやワークショップを企画している。
 発足した1997年、サークル副部長で建築士の松野由文さん(59)が「活動の拠点にしたい」と事務所の建物に注目。関係資料を調べ、落成式での北方町長の祝辞の日付から、完成は1926(大正15)年7月11日と判明した。
 建物は北方町北方にあり、鉄筋コンクリート2階建て。町史によると、大阪創業の出版社「啓文社」が東海地方の出張事務所として設け、愛知、岐阜、三重県の法令集や教育法規集などを手掛けた。
 大戦の空襲で大阪の印刷工場が焼失。その後、版権を別会社に譲った。事務所は閉鎖され、一時、医院などが入っていたが、武藤部長は「詳しくは分からないが、35年以上、放置されてきた」と振り返る。
 サークルのメンバーは、建物を所有する同社の創業者の孫らに改修計画を提案。今年1月には約900万円の援助を受けた。建物の雰囲気を壊さないため、外観は変えず、内壁をモルタルで補修。カーペットを敷いた。
 今後、サークルが借り受け、管理していく。2階に同社の書籍やチラシなどを展示し、1階はコンサートなどに活用する。
 館長を務める武藤部長は「世代の壁を超えられるような場所にしたい」と夢をふくらませている。同社の2代目社長の三女の鳥山道子さん(85)=大津市=は「北方町の歩みを見守ってきた建物。多くの人に利用してもらえれば、うれしい」と話している。

2011年7月30日(土) 中日新聞朝刊より