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第1章.廃棄物問題の現状



 廃棄物問題は、文明が発生した直後から人類を悩ませてきた。古代インドの都市文明においても、貴族階級の住む邸宅にはダストシュートが設置されていて、当時からゴミの処理が重要な課題だったことがわかる。この問題は、産業革命以降の工業社会では特に深刻なものとなり、19世紀から20世紀半ばにかけて、工業地帯の周辺で煤煙や汚水が周辺住民の健康を害するまでに至った。日本でも、水俣病・イタイイタイ病・四日市喘息など、廃棄物(工場排水、煙突からの排煙)が原因となった公害病が多発した。その反省から、野放図な廃棄物の排出に対する規制が行われるようになり、次のような基本方針が立てられた。
  1. 毒性のない気体・液体はそのまま環境中に放出する。
  2. 毒性のある気体(粉塵を含む)・液体は、生物に悪影響が現れる閾値以下に希釈して排出する。
  3. 固体廃棄物のうち可能なものは焼却した上で埋立処理を行う。
 一見合理的に思われるこれらの処理法も、廃棄量が大量になるにつれてさまざまな破綻を来してきた。以下では、それぞれの処理法に関して、どのような環境問題が生じてきたかを示していく。


©Nobuo YOSHIDA