科学と技術の諸相2017/12/17 更新
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★★セミナー報告★★

 6月15日にスルガ銀行d-laboで行われたセミナーのレポートが、次のページに掲載されましたのでご報告します。
スルガ銀行イベントレポートのページ
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★★気になるニュース★★

太陽系外から飛来した天体を初観測(17/12/17)

 今年10月にパンスターズ(地球近傍天体の発見を主目的とするプロジェクトで、ハワイに設置された望遠鏡で全天をサーベイしており、すでにいくつもの彗星を見つけている)によって発見され、当初は太陽系内の彗星か小惑星とみられていた天体は、その軌道から、太陽系外から飛来したものであることが確認された。小惑星センター(国際天文学連合IAUの監督の下に、小惑星・彗星の情報をまとめる機関)では、これまで小惑星にはA、彗星にはCという記号を使っていたが、今回の天体は、確認された初めての恒星間(interstellar)小天体であることから、新たに採用した記号Iに通し番号の第1番を加えた「1I/2017 U1」と命名された。さらに、ハワイ語で「初めて手を伸ばした者、最初の使者」を意味する「OUMUAMUA(オウムアムア)」という固有名も与えられた。
 太陽の重力によって運動する天体は、ケプラーの法則に従って、太陽を焦点とする2次曲線を描く。重力の位置エネルギー(無限遠を基準とする)と運動エネルギーの和が負ならば、太陽周辺に束縛された楕円運動になる。一方、この和が正になると、軌道は双曲線を描き、ほかの天体に遭遇しなければ、無限の彼方から飛来して無限の彼方へと去って行く。軌道が双曲線になるか楕円になるかは、離心率と呼ばれる量が1を超えるかどうかで区別される(1を超えると双曲線)。
 オウムアムアは、天の北極方向からほぼ垂直に黄道面を横切り、太陽の周りを回るように向きを変え、地球軌道と火星軌道の間で再び黄道面を横切った。発見されたのは、黄道面を北に抜けた少し後で、その軌道の形から、離心率が1.19と求められた。これまでにも離心率が1以上の天体は見つかっていたものの、いずれも1に近く(オウムアムア以前の最高値はボーエル彗星の1.058)、太陽系内の小天体が他の天体に接近した際にエネルギーを得て双曲線軌道に変わったと考えられる。これに対して、オウムアムアは、何百万年(もしかしたら何億年)もほかの恒星に接近することなく秒速数十キロで銀河系内部を漂い続けた後、太陽に近づいて加速されながら向きを大きく変え、今度はペガスス座の方向へと飛んでいく。
 これまでに得られたオウムアムアのデータによると、彗星のような尾はなく、表面は赤みを帯びている。特徴的なのは、周期7.3時間で自転する際に明るさが10倍程度も変動することで、その形状がかなり細長いのではないかという推測もある。残念ながら、発見された時点で、すでにどんな探査機でも追いつけない速度で地球から離れつつあったため、精度の高い観測は難しい。しかし、現在、世界中の望遠鏡がこの天体に向けられているので、近々、より詳しいデータが発表されるだろう。
 ちなみに、アーサー・C・クラークが1973年に発表したSF小説『宇宙のランデヴー』では、太陽系外から飛来した円筒形の人工天体が、太陽に接近してエネルギーを補給した後、多くの謎を残したまま彼方に飛び去っていくまでが描かれている。 (←オウムアムアまんまやん!)
(→過去の「気になるニュース」

★★Q & A★★

質問 宇宙は膨張しており、そのため二つの星の間の相対速度は光の速さより大きくなっても相対性理論に矛盾しない、と聞いたことがあります。これは本当ですか。もしそうであるならば、この状況では光の速さは二つの星の相対速度よりも大きくなるのですか。光速度不変の原理は成り立たないのですか。【現代物理】
質問 ファインマン物理学の量子力学(日本語版)においてP121で、静止している原子を任意の時間と場所に発見する確率振幅を
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のように、定常状態のエネルギ−E0を用いて表現しております。これを、一様な運動をする粒子に展開する際、時間tを静止した座標系に対して一様な速度で動く慣性系へのロ−レンツ変換を使用していますが、エネルギ−E0については、静止系のE0にままとなっています。一方、同ファインマン物理の力学(P245)では、エネルギ−と運動量は、4元ベクトルを構成するため、静止系と慣性系ではロ−レンツ変換に従うものとしています。量子力学の部分では、結果的に、慣性系でのエネルギ−と運動量が導出されており、つじつまがあっていますが、違和感を感じます。エネルギ−について、ロ−レンツ変換をしなくてもいい理由をご教授いただきたく。お願いします。【現代物理】
Q&Aコーナーでは、科学技術関連の質問に対して、筆者に可能な範囲で解答しています。 質問のある人は、「質問用フォーム」のページから送信してください。
(→Q&A目次
(→質問用フォーム

★★新 著 の 紹 介★★

量子論はなぜわかりにくいのか 量子論はなぜわかりにくいのか
   「粒子と波動の二重性」の謎を解く (知の扉)

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吉 田 伸 夫 著
技術評論社
1,706円
単行本(ソフトカバー): 208ページ
発売日: 2017/4/13
【特徴】
 現行の量子論がひどくわかりにくいのは、物理現象を具体的にイメージすることを禁じるハイゼンベルク流の方法論が、広く採用されているからです。しかし、この方法論が絶対的だとは限りません。本書では、「閉じ込められた波が定在波を形成することで量子が生じる」というシュレディンガー流の描像を採用し、量子論的な現象についての具体的なイメージを作り上げることを目指します。

★★新 著 の 紹 介★★

宇宙に「終わり」はあるのか 「宇宙に「終わり」はあるのか
   最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで
   (ブルーバックス)

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吉 田 伸 夫 著
講談社
定価980円(税別)
新書判/288ページ
発売日 : 2017/02/14
【出版社からの内容紹介】
今から138億年前、宇宙はビッグバンで生まれた。実は「138億年」の時の流れは、宇宙にとってはほんの一瞬だ。宇宙は、人類誕生までの138億年を序盤のごく一部として含み、この先少なくとも「10の100乗年」に及ぶ、想像を絶する未来を有する。そんな遠大な未来に、宇宙は「終わり」を迎えるのか? 答えは本書にある。宇宙に流れる「10の100乗年」の時間を眺め、人類の時間感覚とは全く異なる壮大な視点に立つ。
【特徴】
 宇宙全史を通観する試みです。138億年前、「整然としたビッグバン」から始まったこの宇宙は、誕生直後の短い間、拡散と凝集のせめぎ合いの中で複雑な構造が形成され生命の発生に至ったものの、次第に構造が崩れていきます。やがて全ての恒星が燃え尽き、暗闇の中で長時間が過ぎるうちに、銀河システムは崩壊し、ブラックホールと漂流天体だけの世界になります。さらに、人間の想像力を越えるような時間が経過すると、物質が消滅しブラックホールも蒸発して、ついには、何も起きない状態−−宇宙の終焉が訪れます。

★★著 書 の 紹 介★★

完全独習相対性理論 「完全独習相対性理論 (KS物理専門書)」
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吉 田 伸 夫 著
講談社
定価3,600円(税別)
ソフトカバー/279ページ
発売日 : 2016/4/7
【出版社からの内容紹介】
重力とは何か?時空はなぜ歪むのか?高校物理レベルの知識だけを前提として読めるように、気鋭の著者が工夫をこらして解説した。特殊相対性理論から一般相対性理論まで、この壮大な知の体系を一冊で学びつくす独習書。

【特徴】
soryusi.jpg 「素粒子論はなぜわかりにくいのか」

吉 田 伸 夫 著
技術評論社
定価1,659円(本体1,580円)
四六判/208ページ
発売日 : 2013/12/05
ISBNコード : 978-4-7741-6131-0
【出版社からの内容紹介】
ようやくあなたの素粒子に対するイメージが具体的になる!

【特徴】
shoei.gif 「明解 量子宇宙論入門」

吉 田 伸 夫 著
講談社
定価 3,990円(税込)(←高くて本当にすみません)
発売日 : 2013/03/30
ISBNコード : 978-4-06-153285-4
【出版社からの内容紹介】
宇宙の謎に迫る現代の物理学。最新理論が予言する壮大な宇宙モデルは、どこまで正しいのか? どのような観測で検証できるのか? 急速に発展を続ける量子宇宙論を、最低限の予備知識をもとに、わかりやすく説き明かす。

【特徴】
tosho4.gif 「明解 量子重力理論入門」

吉 田 伸 夫 著
講談社(講談社サイエンティフィク)
定価 3,150 円(税込)(←高くてすみません)
発売日 : 2011/07/25
ISBNコード : 978-4-06-153275-5
【出版社からの内容紹介】
なぜ重力の量子化が困難なのか? 量子重力理論は,何を解決しようとしているのか? ループ量子重力理論とは,超ひも理論とは,どのような理論なのか? 学部学生程度の物理学から出発し,量子重力理論という最先端へ読者をいざなう.専門書を読む前の,はじめの一歩に最適な入門書.

【特徴】
スキャナー画像 「思考の飛躍 アインシュタインの頭脳

吉 田 伸 夫 著
新潮社(新潮選書)
定価 1,155 円(税込)
発売日 : 2010/05/25
ISBNコード : 978-4-10-603660-6
【出版社からの内容紹介】
光量子論、ブラウン運動、特殊相対論、一般相対論……。20世紀の初頭にアインシュタインはなぜ、かくも革命的な理論を次々と構築できたのか。そして後年、量子力学を執拗に批判し、統一場の理論を夢見つづけたのはなぜか。光と重力と四次元を解き明かし、物理学の世界を一変させた天才の頭脳。その発想法と思考術の秘密に迫る。

【特徴】
書籍スキャナー画像 「日本人とナノエレクトロニクス 世界をリードする半導体技術のすべて
吉 田 伸 夫 著
技術評論社
定価 1,554 円(税込) (←少し高いという声もありますが)
発売日 : 2009/12
ISBNコード : 978-4-7741-4038-4
【内容紹介】
◇本書のことが、「日経サイエンス」の「森山和道の読書日記」(2010年3月号p.122)で紹介されています。
今度はスキャナーを使いました 「光の場、電子の海 量子場理論への道
吉 田 伸 夫 著
新潮社(新潮選書)
定価 1,260 円(税込)
発売日 : 2008/10/25
ISBN-10 : 4106036223
【内容紹介】
わざわざ自分でデジカメ撮影した画像 「宇宙に果てはあるか」

吉 田 伸 夫 著
新潮社(新潮選書)
定価 1,155 円(税込)
発売日 : 2007/01/25
JAN/ISBNコード : 4106035766
【出版社からの内容紹介】
始まりは? 大きさは? ブラックホールとは? アインシュタインからホーキングまで、宇宙をめぐる12の謎に挑んだ科学者たちの思考のプロセスをたどる。

【特徴】
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この世界についての仮説
(同じ著者による独立したページ)

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