科学と技術の諸相2017/09/12 更新【更新履歴】
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★★セミナー報告★★

 6月15日にスルガ銀行d-laboで行われたセミナーのレポートが、次のページに掲載されましたのでご報告します。
スルガ銀行イベントレポートのページ
 東京近郊で同様のセミナーをご希望の場合は、メールでお問い合わせください(ここをクリックすると、メールソフトが立ち上がります)。聴講するのが中学・高校生の場合は、無料で講演いたします。

★★Q & A★★

質問 マイケルソン/モーレーの実験で、エーテルの存在は否定されましたが、後日の観測では真逆の事実が明らかになっています(http://hwbb.gyao.ne.jp/maxmisu-pb/sub/g3file/ether_exp.html)。これは相対論の足元を挫く重大な事実ではないでしょうか?【現代物理】
質問 熱する機械には廃冷は不要なのに、冷やす機械には廃熱が必要なのはなぜですか? 廃熱しない冷却機械は原理的に不可能なのですか?【古典物理】
Q&Aコーナーでは、科学技術関連の質問に対して、筆者に可能な範囲で解答しています。 質問のある人は、「質問用フォーム」のページから送信してください。
(→Q&A目次
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★★気になるニュース★★

量子コンピュータ、商用化の動き活発に(17/08/20)

 文部科学省は、量子コンピュータを含む量子科学技術分野に、来年度の概算要求に30億円、さらに、最長10年にわたって300億円の予算を盛り込む方針だという(2017/8/17付け日本経済新聞)。
 この分野では、すでにスーパーコンピュータ開発で覇権を手にした中国が最も熱心で、2015年、中国科学院に量子計算実験室を設立し、国家的なプロジェクトと位置づけている。EU欧州委員会やイギリス、オランダ政府も、今後、5〜10年ほどの間に数百億円から千数百億円規模の研究資金を投入する予定。アメリカでは、IBM、グーグル、マイクロソフトなど民間企業が開発に前向き(ただし、トランプ大統領は科学技術に無関心)。IBMは、16量子ビットの量子コンピュータを公開した。カナダのベンチャー企業Dウエーブ・システムズは、世界で初めて量子コンピュータを販売(最新鋭機は1台17億円)、購入したグーグルとNASAは、あるタイプのビッグデータ解析に関して 、従来マシンより1億倍速いとのテスト結果を発表した。独フォルクスワーゲンも、このマシンを使って、大都市の交通量を最適化するアルゴリズムを開発中だという。
 量子コンピュータは、1995年に「ショアのアルゴリズム」が開発され、実用的なマシンとなる可能性が指摘された後も、長らく科学的な関心の範囲に留まっていた。これは、期待通りに動作させるのがきわめて難しいからである。理論的には、量子コンピュータを用いると、現在のスーパーコンピュータでもかなり時間の掛かる巨大数の素因数分解をきわめて短い時間で遂行することができ、ネット上で使用される暗号の解読が容易になる。しかし、現実には、00年代に入っても、せいぜい小さな整数の素因数分解(15を3×5と求めるような)ができる程度だった。ところが、10年代に入ってから技術革新が相次ぎ、実用的な量子コンピュータの製造が夢ではなくなってきた。
 技術開発の要になるのが、コヒーレント状態(量子論的な相互干渉が可能な状態)の安定化。スピンの向きのように、磁場を加えたときの定常状態がアップとダウンの2つしかない場合でも、両者の重ね合わせまで含めれば、無数の中間的な状態が存在する。コヒーレント状態を維持できれば、量子論の法則を使って、この無数の状態を人為的に変換することが可能になるため、アップ・ダウンという2値の離散量ではなく、重ね合わせの重みという連続量を使った計算が遂行できる。コヒーレント状態の範囲が広いと、その分だけ並列処理が可能になり、膨大な組み合わせ計算を一瞬で行ってしまう。量子コンピュータとは、言うなれば、量子論の法則を応用したアナログ計算機なのである。それだけに、わずかな温度変化や振動に弱いため、ノイズで乱されないように工夫して理論通りの現象を起こすことが重要となる。2012年、IBMは量子ビットを3次元上に配置することで、コヒーレント状態が大幅に安定化することを見いだした。こうしたブレイクスルーが続けば、量子コンピュータの開発も加速されることだろう。
 ただし、量子コンピュータの計算が本当に正確かどうかは、量子論の法則がどこまで厳密かにかかわっているため、まだ、完全に答えが出たわけではない。私としては、量子コンピュータが計算ミスを連発し、その結果として、量子論そのものが乗り越えられる−−というストーリーの方が面白いのだが…。
(→過去の「気になるニュース」

★★新 著 の 紹 介★★

量子論はなぜわかりにくいのか 量子論はなぜわかりにくいのか
   「粒子と波動の二重性」の謎を解く (知の扉)

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吉 田 伸 夫 著
技術評論社
1,706円
単行本(ソフトカバー): 208ページ
発売日: 2017/4/13
【特徴】
 現行の量子論がひどくわかりにくいのは、物理現象を具体的にイメージすることを禁じるハイゼンベルク流の方法論が、広く採用されているからです。しかし、この方法論が絶対的だとは限りません。本書では、「閉じ込められた波が定在波を形成することで量子が生じる」というシュレディンガー流の描像を採用し、量子論的な現象についての具体的なイメージを作り上げることを目指します。

★★新 著 の 紹 介★★

宇宙に「終わり」はあるのか 「宇宙に「終わり」はあるのか
   最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで
   (ブルーバックス)

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吉 田 伸 夫 著
講談社
定価980円(税別)
新書判/288ページ
発売日 : 2017/02/14
【出版社からの内容紹介】
今から138億年前、宇宙はビッグバンで生まれた。実は「138億年」の時の流れは、宇宙にとってはほんの一瞬だ。宇宙は、人類誕生までの138億年を序盤のごく一部として含み、この先少なくとも「10の100乗年」に及ぶ、想像を絶する未来を有する。そんな遠大な未来に、宇宙は「終わり」を迎えるのか? 答えは本書にある。宇宙に流れる「10の100乗年」の時間を眺め、人類の時間感覚とは全く異なる壮大な視点に立つ。
【特徴】
 宇宙全史を通観する試みです。138億年前、「整然としたビッグバン」から始まったこの宇宙は、誕生直後の短い間、拡散と凝集のせめぎ合いの中で複雑な構造が形成され生命の発生に至ったものの、次第に構造が崩れていきます。やがて全ての恒星が燃え尽き、暗闇の中で長時間が過ぎるうちに、銀河システムは崩壊し、ブラックホールと漂流天体だけの世界になります。さらに、人間の想像力を越えるような時間が経過すると、物質が消滅しブラックホールも蒸発して、ついには、何も起きない状態−−宇宙の終焉が訪れます。

★★著 書 の 紹 介★★

完全独習相対性理論 「完全独習相対性理論 (KS物理専門書)」
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吉 田 伸 夫 著
講談社
定価3,600円(税別)
ソフトカバー/279ページ
発売日 : 2016/4/7
【出版社からの内容紹介】
重力とは何か?時空はなぜ歪むのか?高校物理レベルの知識だけを前提として読めるように、気鋭の著者が工夫をこらして解説した。特殊相対性理論から一般相対性理論まで、この壮大な知の体系を一冊で学びつくす独習書。

【特徴】
soryusi.jpg 「素粒子論はなぜわかりにくいのか」

吉 田 伸 夫 著
技術評論社
定価1,659円(本体1,580円)
四六判/208ページ
発売日 : 2013/12/05
ISBNコード : 978-4-7741-6131-0
【出版社からの内容紹介】
ようやくあなたの素粒子に対するイメージが具体的になる!

【特徴】
shoei.gif 「明解 量子宇宙論入門」

吉 田 伸 夫 著
講談社
定価 3,990円(税込)(←高くて本当にすみません)
発売日 : 2013/03/30
ISBNコード : 978-4-06-153285-4
【出版社からの内容紹介】
宇宙の謎に迫る現代の物理学。最新理論が予言する壮大な宇宙モデルは、どこまで正しいのか? どのような観測で検証できるのか? 急速に発展を続ける量子宇宙論を、最低限の予備知識をもとに、わかりやすく説き明かす。

【特徴】
tosho4.gif 「明解 量子重力理論入門」

吉 田 伸 夫 著
講談社(講談社サイエンティフィク)
定価 3,150 円(税込)(←高くてすみません)
発売日 : 2011/07/25
ISBNコード : 978-4-06-153275-5
【出版社からの内容紹介】
なぜ重力の量子化が困難なのか? 量子重力理論は,何を解決しようとしているのか? ループ量子重力理論とは,超ひも理論とは,どのような理論なのか? 学部学生程度の物理学から出発し,量子重力理論という最先端へ読者をいざなう.専門書を読む前の,はじめの一歩に最適な入門書.

【特徴】
スキャナー画像 「思考の飛躍 アインシュタインの頭脳

吉 田 伸 夫 著
新潮社(新潮選書)
定価 1,155 円(税込)
発売日 : 2010/05/25
ISBNコード : 978-4-10-603660-6
【出版社からの内容紹介】
光量子論、ブラウン運動、特殊相対論、一般相対論……。20世紀の初頭にアインシュタインはなぜ、かくも革命的な理論を次々と構築できたのか。そして後年、量子力学を執拗に批判し、統一場の理論を夢見つづけたのはなぜか。光と重力と四次元を解き明かし、物理学の世界を一変させた天才の頭脳。その発想法と思考術の秘密に迫る。

【特徴】
書籍スキャナー画像 「日本人とナノエレクトロニクス 世界をリードする半導体技術のすべて
吉 田 伸 夫 著
技術評論社
定価 1,554 円(税込) (←少し高いという声もありますが)
発売日 : 2009/12
ISBNコード : 978-4-7741-4038-4
【内容紹介】
◇本書のことが、「日経サイエンス」の「森山和道の読書日記」(2010年3月号p.122)で紹介されています。
今度はスキャナーを使いました 「光の場、電子の海 量子場理論への道
吉 田 伸 夫 著
新潮社(新潮選書)
定価 1,260 円(税込)
発売日 : 2008/10/25
ISBN-10 : 4106036223
【内容紹介】
わざわざ自分でデジカメ撮影した画像 「宇宙に果てはあるか」

吉 田 伸 夫 著
新潮社(新潮選書)
定価 1,155 円(税込)
発売日 : 2007/01/25
JAN/ISBNコード : 4106035766
【出版社からの内容紹介】
始まりは? 大きさは? ブラックホールとは? アインシュタインからホーキングまで、宇宙をめぐる12の謎に挑んだ科学者たちの思考のプロセスをたどる。

【特徴】
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