科学と技術の諸相2020/12/20 更新
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★★吉田の近況★★


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★★新著のお知らせ★★

下記の通り、ページ制作者(吉田)の新著が2020年10月17日に刊行されました。

高校物理再入門 この世界の謎を解き明かす 高校物理再入門」
(→技術評論社のページへ *直接販売あり/→Amazonの該当ページへ

吉 田 伸 夫 著
技術評論社
定価(本体1,980円+税)
A5判/232ページ
発売日 :2020年10月17日
【出版社からの内容紹介】
「「物理は高校で勉強した」と思っているあなたに言いたい。真の物理学は,高校で学んだことのほんの少し先にあると。」
(本書「はじめに」より)

高校物理で学ぶ内容を著者独自の視点でまとめ直し,指導要領にはできるだけ従いながらも,原子内部からブラックホールまで具体的な事例と結びつけて,ていねいに解説。
本書を読めば,物理学がまさに,世界とは何かを知ろうとする人間の営みであると,実感できるでしょう。


※著者による仮タイトルは『高校物理再入門』だけでしたが、出版社が、思いっきり名前負けしそうな副題をつけてくれました。
※2020年ノーベル物理学賞の対象となった「天の川銀河中心にある超巨大ブラックホールの重力の影響」について、p.36で簡単に解説しています。

他の著書の紹介
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★★気になるニュース★★

ワクチンを巡るニュース2題(20/11/21)

 ワクチンに関するニュースが、マスコミを賑わせている。まず、新型コロナワクチン開発のニュースから。
 ワクチンの開発には、ふつう数年から数十年がかかるとされる。1983年にウィルスが特定されながら、いまだにワクチンの開発ができないエイズのようなケースもある。これに対して、新型コロナワクチンは、世界中で莫大な費用をかけ同時多発的に研究が行われたこともあって、これまでにないスピードで開発が進められている。ロシアや中国での発表に続いて、11月には、欧米で開発中のワクチンが臨床試験で好成績を収めたと報告された。
 米ファイザー社/独ビオンテック社が共同開発したワクチンは、4万4千人のボランティアの半数にワクチン、半数にプラセボ(偽薬)を投与する臨床試験(第3相)で、90%以上(最終分析の結果によれば95%)の予防効果を上げたという。臨床試験での有効性として、世界保健機関(WHO)は70%以上、米食品医薬品局(FDA)は50%以上を求めているが、今回の試験結果はこの数値を上回る。ファイザーは20日、FDAに緊急使用許可を申請しており、承認されれば年内にも実用化される。
 米モデルナ社が米国立衛生研究所(NIH)と協力して開発中のワクチンは、3万人以上を対象とする治験を行った。プラセボ接種者のうち90例が新型コロナを発症(うち11例が重症化)したのに対して、ワクチン接種者での発症数は5例にとどまり、有効率が94.5%とされた。ワクチンの重篤な副作用は見られず、10%弱に倦怠感や筋肉の痛みなどが生じたという。
 好成績をあげた2つのワクチンは、いずれもメッセンジャーRNA(mRNA)を利用する新技術に基づく。ウィルスを不活化して作る一般的なワクチンと異なり、(1)新型コロナウィルスが持つ表面タンパク質のアミノ酸配列を解析、(2)このタンパク質をコードしたmRNAを合成、(3)mRNAを脂質でコーティングして製剤化---という手順で作られる。ワクチンを投与された患者の体内では、mRNAの指示で表面タンパク質が合成され、免疫応答を誘導する。ウィルスの持つ毒性を回避するため安全性が高く、タンパク質の構造さえわかれば製造できるのでウィルスの変異にも対応できると期待される。ただし、マイナス60度以下での保存・輸送が必要となるため、普及させる上での障害が大きい。
 今後は、有効性(重症化しやすい高齢者や基礎疾患を持つ人にも充分な効果があるか)、安全性(多数の人に接種されるので、重篤な副作用が稀に生じないか)をチェックする必要がある。

 もう一つのニュースは、子宮頸がんワクチンに関するもの。
 日本では、年間約8500人が子宮頸がんと診断される。一生の間に73人に一人の割合で罹る病気で、早期に発見できれば予後は良好だが、後期になると治療が難しい。年間2500人が死亡し、不妊や排尿障害などの後遺症が残ることもある。
 原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)。HPVはごくありふれたウィルスで、成人女性の80%以上が感染したことがあるとされる(男性も感染・発病する可能性あり)。多くは免疫機能によって排除されるが、免疫が弱く長期にわたって感染が続くとガンを発症する。
 持続感染を予防するHPVワクチンは、世界100カ国以上で発売されている。ガン予防効果は60〜70%程度とされるが、接種年齢が低いほど有効性が高い。167万人の女性を対象に行ったカロリンスカ研究所の調査結果(2020年10月)によると、10〜30歳の女性ではワクチン接種によって子宮頸がんのリスクが63%減る。10〜16歳に限ると88%減だった。
 日本では、2010年度からワクチン接種の公費助成が始まり、2013年4月から12〜16歳対象の定期接種となったが、同年6月に副作用(副反応)に対する懸念が高まって積極的勧奨が差し控えられ、現在に至る。この結果、2000年以降に生まれた女児の接種率は激減、1995〜98年生まれで80%近かったのに対して、2002年以降は接種率1%未満となった。カナダやイギリスで15歳以下の女性の80%程度、アメリカで55%が接種しているのに比べると、先進国では突出して少ない数字である。大阪大学などのチームで行われた研究によると、2002〜03年生まれの女子の場合、接種率が激減したことによる子宮頸がん罹患数の増加は17000人、死亡数の増加は4000人と推計される。
 一方、日本で心配された副作用の割合はそれほど高くなく、5万人を対象とした調査で死亡や重篤な後遺症はゼロ。報告された副作用は、胃腸症状や発熱、筋肉痛などである。また、デンマークの研究チームは、慢性的な痛みが続く慢性疼痛症候群とワクチン接種の間に因果関係は見られないと報告した。

 ワクチンは万能ではないが、感染症を予防するきわめて強力な手段である。「正しく恐れ、正しく期待する」ことが必要だろう。
(→過去の「気になるニュース」

★★Q & A★★

質問 細菌は人間と共生して役にも立っていますが、 ウィルスも人間と共生して役に立っているのでしょうか?【その他】
質問 『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?』を読ませていただきましたが、短い「まとまりを持つ意識」ではなく、「一生の全ての時間の意識」を一斉に感じられてもおかしくないのでは、と思いました。このことに何か論理的あるいは物理的な説明がつけられないでしょうか。また、時間が流れる感じが物質に内在するものではなく、外部から動かされるものという説は全くありえないのでしょうか。【その他】
質問 もし慣性質量と重力質量が違ったら、どのようなことが起こりますか?【現代物理】
質問 人間は、同じ星に住んでいるため環境問題を共有してしまいますが、 将来他の惑星に進出するようになっても、何か宇宙規模の環境問題に悩まされるようになるのでしょうか。【環境問題】
質問 速さは光速が上限と聞きましたが、回転に上限はあるのでしょうか。大きさがなければ、少なくとも光速の制限にはひっかからない気がしますが。【現代物理】

【告知】2019年12月をもって、Q&Aコーナーで利用してきたメールデコードのCGIが提供中止になったため、当ホームページ内部から質問を受け付けられなくなりました。そこで、代わりにQ&Aの一部を掲載するブログを開設し、そのコメント機能を介して質問できるようにしました。以下のリンクからブログにアクセスしてください。
 なお、ブログの仕様により、トップページからはコメントできないので、個々の質問/回答のページでのコメントとして質問をお送りください。すぐに表示はせず、いったん吉田が質問を受け取り回答を作成してから、新たな質問/回答として掲載します(様子を見て、方式を変更するかもしれません)。
 また、「気になるニュース」を独立させたブログも開設しました。内容は、当ホームページと同じです。
ブログ「科学と技術の諸相 −Q&A−」
ブログ「科学と技術の諸相 −気になるニュース−」
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この世界についての仮説
(同じ著者による独立したページ)

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