科学と技術の諸相2019/05/19 更新
トップ講義ノート論文Q&A科学の回廊索引おまけ

Google
WWW を検索 このサイト内を検索
separate.gif
【注意】本サイトは、プロバイダーの都合で「常時SSL化」に対応しておらず通信が暗号化されていません。このため、ブラウザで閲覧する際、「保護されていません」「安全ではありません」などの表示が出ることがあります。ページ内の情報を読むだけならば問題はありませんが、「Q&Aコーナー」のフォームで入力する場合などは、通信の途中で盗み読みされる危険性がありますので、個人情報を記入しないようにしてください。

★★気になるニュース★★

ブラックホールの撮影に成功(19/04/14)

 国際協力プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」の研究チームは、10日、巨大ブラックホールの撮影に成功したと発表した。撮影されたのは、太陽から5500万光年彼方の楕円銀河M87の中心にあるブラックホール。その質量は、太陽の65±7億倍(今回の撮影データを基に従来の推定を改善した値)と見積もられる。これは、天の川銀河の中心にあるブラックホール・いて座A*の1000倍以上である。
 イベント・ホライズン・テレスコープは、ハワイの火山、チリの砂漠、南極などに位置する8つの天体望遠鏡のデータを結びつけ、地球サイズの電波干渉計として機能させるというプロジェクト。観測されたのは波長1.3mmの電波で、得られたデータの合計は数ペタバイト(ペタバイトはギガバイトの百万倍)になる。このデータを、ドイツとアメリカに設置された専用スーパーコンピュータに送って処理した。達成された解像度は視角20マイクロ秒。月面においたゴルフボールが見える性能だという。
 発表されたのは、較正したデータを画像化したもので、明るいリングと中央の黒い影が写っている。この影が、光すら脱出できないブラックホールの存在を示す。周囲のリングは、背後から来る電波がブラックホールの重力で曲げられたことによる。リングの差し渡しは、視角42±3マイクロ秒。研究チームは、観測を行う前から、ブラックホールの周囲にある重力場、磁場、高温ガス流などの影響を考慮した上で、どのような画像が得られるかをシミュレーションしていた。今回のミッションで得られた画像は、ブラックホールの質量として適当な値を採用すると、シミュレーション結果(解像度不足でぼやける効果を加えたもの)と見事なまでに一致した。
 銀河の成長過程は、20世紀終わり頃から急速に解明されつつある。初期の小さな銀河は、接近したもの同士の融合によって渦巻銀河に成長し、最後は、巨大化した銀河が衝突・合体して、恒星の形成をほとんど行わない楕円銀河になる。バルジを持つ銀河は、ほぼ例外なく、中心に巨大なブラックホールが存在する。ブラックホールは、周辺にあったガスを引き寄せるが、電離化したガスが円盤状に渦巻いて電流を生み出し、その結果として生じる磁場から荷電粒子に力が作用して、円盤面に垂直なジェットとなる。ガスを攪拌し加熱するこの作用は、銀河の成長に大きな影響を及ぼすと考えられるものの、詳細はわかっていない。また、天の川銀河は、巨大渦巻銀河としてはバルジが小さくブラックホールもおとなしめだが、そのことが人類の誕生と関係あるかどうかもはっきりしない。今回の観測は、銀河とブラックホールの関係を巡るこうした謎に関して、研究を進めるための新たな手段を提供したと言えよう。
(→過去の「気になるニュース」

★★Q & A★★

質問 アインシュタインは「私はスピノザの神なら信じる」「スピノザの現代思想への影響ははかりしれない」という発言もあり、スピノザ主義者であったと聞きます。バルーフ・デ・スピノザは17世紀の哲学者で、その異端な思想ながら伝統的な哲学史の中ではマイナーな位置づけを余儀なくされてきましたが、ルソーはじめ、ヘーゲル、マルクス、フロイト、ニーチェなど近代を代表する思想(最近では、脳科学や生物学などの領域でも、スピノザ思想にあった先見性が評価されているとのこと)に多大な影響を与えてきたとされています。アインシュタインがそうであったように科学者からのスピノザ思想の魅力について、もし吉田先生の見解があったら教えてください。あるいはスピノザが生きた17世紀、デカルトやライプニッツなど、天才がいた世紀とそれらの現代科学や数学への影響について。教えて頂ければと思います。【その他】
質問 生物のように増殖性のある物理現象はありますか?【その他】
Q&Aコーナーでは、科学技術関連の質問に対して、筆者に可能な範囲で解答しています。 質問のある人は、「質問用フォーム」のページから送信してください。
(→Q&A目次
(→質問用フォーム

★★ブックキュレーションのお知らせ★★

ハイブリッド型総合書店honto」のブックツリー・コーナーに、推薦書を5冊(自著が1冊混じっています)挙げておきました。よろしければ、参考にしてください。

★★セミナー報告★★

 2017年6月15日にスルガ銀行d-laboで行われたセミナーのレポートが、次のページに掲載されているのでご報告します。
スルガ銀行イベントレポートのページ
 東京近郊で同様のセミナーをご希望の場合は、メールでお問い合わせください(ここをクリックすると、メールソフトが立ち上がります)。聴講するのが中学・高校生の場合は、無料で講演いたします。

★★著 書 の 紹 介★★

科学はなぜわかりにくいのか 科学はなぜわかりにくいのか
   現代科学の方法論を理解する (知の扉)

(→Amazonの該当ページへ

吉 田 伸 夫 著
技術評論社
1,706円
単行本(ソフトカバー): 224ページ
発売日: 2018/4/14
【出版社からの内容紹介】
科学とのつきあい方がようやくわかる!
たまたま耳にした最新の科学ニュースについて、説明を聞いても全然わかった気がしない…。
そもそも科学はどうしてこんなにわかりにくいのだろう…。
そんな素朴な疑問に本書がずばり答えます。

【特徴】
 「科学とは、完成された知の体系ではなく、一つの方法論だ」という観点から、科学の本質に迫ろうとする著作です。科学はどんなときに誤りを犯すのか。また、さまざまな誤りを犯してきたにもかかわらず、科学者たちが科学に対する信頼を失わないのはなぜか。こうした点について、具体的な事例に基づいて考察します。
量子論はなぜわかりにくいのか 量子論はなぜわかりにくいのか
   「粒子と波動の二重性」の謎を解く (知の扉)

(→Amazonの該当ページへ

吉 田 伸 夫 著
技術評論社
1,706円
単行本(ソフトカバー): 208ページ
発売日: 2017/4/13
【特徴】
 現行の量子論がひどくわかりにくいのは、物理現象を具体的にイメージすることを禁じるハイゼンベルク流の方法論が、広く採用されているからです。しかし、この方法論が絶対的だとは限りません。本書では、「閉じ込められた波が定在波を形成することで量子が生じる」というシュレディンガー流の描像を採用し、量子論的な現象についての具体的なイメージを作り上げることを目指します。
宇宙に「終わり」はあるのか 「宇宙に「終わり」はあるのか
   最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで
   (ブルーバックス)

(→Amazonの該当ページへ

吉 田 伸 夫 著
講談社
定価980円(税別)
新書判/288ページ
発売日 : 2017/02/14
【出版社からの内容紹介】
今から138億年前、宇宙はビッグバンで生まれた。実は「138億年」の時の流れは、宇宙にとってはほんの一瞬だ。宇宙は、人類誕生までの138億年を序盤のごく一部として含み、この先少なくとも「10の100乗年」に及ぶ、想像を絶する未来を有する。そんな遠大な未来に、宇宙は「終わり」を迎えるのか? 答えは本書にある。宇宙に流れる「10の100乗年」の時間を眺め、人類の時間感覚とは全く異なる壮大な視点に立つ。
【特徴】
 宇宙全史を通観する試みです。138億年前、「整然としたビッグバン」から始まったこの宇宙は、誕生直後の短い間、拡散と凝集のせめぎ合いの中で複雑な構造が形成され生命の発生に至ったものの、次第に構造が崩れていきます。やがて全ての恒星が燃え尽き、暗闇の中で長時間が過ぎるうちに、銀河システムは崩壊し、ブラックホールと漂流天体だけの世界になります。さらに、人間の想像力を越えるような時間が経過すると、物質が消滅しブラックホールも蒸発して、ついには、何も起きない状態−−宇宙の終焉が訪れます。
完全独習相対性理論 「完全独習相対性理論 (KS物理専門書)」
(→Amazonの該当ページへ

吉 田 伸 夫 著
講談社
定価3,600円(税別)
ソフトカバー/279ページ
発売日 : 2016/4/7
【出版社からの内容紹介】
重力とは何か?時空はなぜ歪むのか?高校物理レベルの知識だけを前提として読めるように、気鋭の著者が工夫をこらして解説した。特殊相対性理論から一般相対性理論まで、この壮大な知の体系を一冊で学びつくす独習書。

【特徴】
soryusi.jpg 「素粒子論はなぜわかりにくいのか」

吉 田 伸 夫 著
技術評論社
定価1,659円(本体1,580円)
四六判/208ページ
発売日 : 2013/12/05
ISBNコード : 978-4-7741-6131-0
【出版社からの内容紹介】
ようやくあなたの素粒子に対するイメージが具体的になる!

【特徴】
shoei.gif 「明解 量子宇宙論入門」

吉 田 伸 夫 著
講談社
定価 3,990円(税込)(←高くて本当にすみません)
発売日 : 2013/03/30
ISBNコード : 978-4-06-153285-4
【出版社からの内容紹介】
宇宙の謎に迫る現代の物理学。最新理論が予言する壮大な宇宙モデルは、どこまで正しいのか? どのような観測で検証できるのか? 急速に発展を続ける量子宇宙論を、最低限の予備知識をもとに、わかりやすく説き明かす。

【特徴】
tosho4.gif 「明解 量子重力理論入門」

吉 田 伸 夫 著
講談社(講談社サイエンティフィク)
定価 3,150 円(税込)
発売日 : 2011/07/25
ISBNコード : 978-4-06-153275-5
【出版社からの内容紹介】
なぜ重力の量子化が困難なのか? 量子重力理論は,何を解決しようとしているのか? ループ量子重力理論とは,超ひも理論とは,どのような理論なのか? 学部学生程度の物理学から出発し,量子重力理論という最先端へ読者をいざなう.専門書を読む前の,はじめの一歩に最適な入門書.

【特徴】
スキャナー画像 「思考の飛躍 アインシュタインの頭脳

吉 田 伸 夫 著
新潮社(新潮選書)
定価 1,155 円(税込)
発売日 : 2010/05/25
ISBNコード : 978-4-10-603660-6
【出版社からの内容紹介】
光量子論、ブラウン運動、特殊相対論、一般相対論……。20世紀の初頭にアインシュタインはなぜ、かくも革命的な理論を次々と構築できたのか。そして後年、量子力学を執拗に批判し、統一場の理論を夢見つづけたのはなぜか。光と重力と四次元を解き明かし、物理学の世界を一変させた天才の頭脳。その発想法と思考術の秘密に迫る。

【特徴】
書籍スキャナー画像 「日本人とナノエレクトロニクス 世界をリードする半導体技術のすべて
吉 田 伸 夫 著
技術評論社
定価 1,554 円(税込) (←少し高いという声もありますが)
発売日 : 2009/12
ISBNコード : 978-4-7741-4038-4
【内容紹介】
◇本書のことが、「日経サイエンス」の「森山和道の読書日記」(2010年3月号p.122)で紹介されています。
今度はスキャナーを使いました 「光の場、電子の海 量子場理論への道
吉 田 伸 夫 著
新潮社(新潮選書)
定価 1,260 円(税込)
発売日 : 2008/10/25
ISBN-10 : 4106036223
【内容紹介】
わざわざ自分でデジカメ撮影した画像 「宇宙に果てはあるか」

吉 田 伸 夫 著
新潮社(新潮選書)
定価 1,155 円(税込)
発売日 : 2007/01/25
JAN/ISBNコード : 4106035766
【出版社からの内容紹介】
始まりは? 大きさは? ブラックホールとは? アインシュタインからホーキングまで、宇宙をめぐる12の謎に挑んだ科学者たちの思考のプロセスをたどる。

【特徴】
separate.gif
このページについて
◆「閲読上の注意」と「制作者からの告知」は内容が古くなったので削除しました
◎ このページへのリンクは自由ですが、できるだけトップページ (index.htm) にリンクを張って下さい。
◎ ご意見・ご質問は、 yoshida@js5.so-net.ne.jp  までメールをお願いします。

separate.gif
この世界についての仮説
(同じ著者による独立したページ)

©Nobuo YOSHIDA