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2 楽器のメンテナンス

label of my viola

2.1 弓(ゆみ Bow),毛

弓について

楽器を弾き終わってかたずける時には弓のおしりのところにあるネジを回して毛をゆるめます。  ゆるめ具合は毛がバラバラにならない程度、かすかに竿と毛が離れるか離れないかぐらいがよいでしょう。

弓はもともとまっすぐの棒状に削ったものを熱でまげて反りを入れています。 使用後もしくは休憩時に毛をゆるめておかないと弓にテンションがかかりつづけるので毛の寿命が短くなるだけでなく、弓の竿自身の反りにも悪い影響が出て弓の持つバネがなく(少なく)なってしまう可能性があります。  そして弓のバネがなくなってくるとそれを補うために次はさらに弓を強く張ることになり、悪循環に陥ります。 このような状況になったら専門家に弓の反りを直してもらうべきでしょう。 ちなみに反りを直すには、直したい部分にスチームやアルコールランプの炎をあてて弓の曲がりを直すようです。

 

ケースに弓を入れるときは毛を下向きにするのがいいと思います。 理由は上向きにすると重力で毛が竿に被り松脂が竿に付きやすくなるためです。 しかしながら、http://www.musafia.com/faq.html の"How do bows fit in a Musafia case?" によると毛を上向きにして入れるのがよいらしいです。 楽器ケースのふたを閉めたときに弓は横になるのでその間に重力で弓の左右のそりが偏らないように毛の上向き下向きを毎回変える人もいます。

ケース内で弓を留めているプロペラ状の部品は常に時計回りに回すようにすると緩まないです。

なお、演奏の後や松脂をつけすぎたときに、弓を振ったり竿の部分を叩いて松脂を落とすつもりの行為をしている人を見かけますがほとんど無意味なのでやめたほうがよいと思います。 たとえば、手についた泥や灰を落とすのに手をふって奇麗になる訳はないのと同様に、毛に塗られた松脂も大きなかけらでない限り遠心力で落ちるような代物ではありません。 毛の絡みをほぐす効果はあるかもしれません。

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弓の掃除

 また,1ヶ月〜半年に一回くらいはネジを外してさおと毛箱の大掃除をするとよいでしょう。 とくに毛箱と竿の間の金属プレート部分(レール?)には汗などがしみこんでいることがあり、そのままほうっておくと錆や緑青(部品に銅が含まれている場合は顕著)の原因となりスムーズに弓が張れなくなります。 また、ネジをはずしたときに金属粉が多く落ちているようであれば、ネジがへたっている可能性があるので専門家に相談するとよいでしょう。 毛箱と竿の間にすき間があるようなら、おしりのネジを毛箱に付いている雌ネジにさして回せば簡単に回すことができるので、自分ですき間を調整することができます(通常は毛換えのときなどに調整されているはずですが)。 掃除の際にもネジをはずせばレール部分の掃除がしやすいです。

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 弓の先端の部分には白い部品(通称チップと呼ばれている?)がついていますが,これは弓が先端から落ちた時に弓の身代わりとなって率先して割れてもらうべきものなので、これが欠けていたりする場合はぜひともつけなおしてもらうべきでしょう。 材料は象牙からプラスチックや銀までさまざまでありますが主に弓の重量バランスを考慮して決めればよいと思います。 材質等によって値段はさまざまです。

 さおのほうはヒルオイルやイダオイルなどのクリーナーを使って、松やにをきれいに落とします。 なお、毛にクリーナー類が付着すると松やにがのらなくなるので気を付けましょう。 私はクリーナーも使いますが、木材やニスへの悪影響を懸念してからぶきオンリーの人もいます。  また、弓にはニスなどの塗装がされていない場合もあるので、その場合にはからぶきがベターでしょう。

この時さおの部分が松やにで真っ白になっているようでしたら、演奏のときに圧力をかけすぎていることや弓を寝かしすぎていることが原因である場合も多いので、弾き方そのものについてもう一度見直して気をつけるのがよいと思います。 竿が真っ白になるような弾き方を続けていると弓の腹が弦とこすれてニスが剥がれてしまい、やがて竿が削れて弓を傷める(反りや重心のバランスが悪くなる)ことになる可能性があります。 どうしても自分の奏法に弓が負けてしまうなら自分にフィットした弓の購入も検討した方がよいと思います。

人差し指が当たる部分に巻かれている線(ラッピング?)はニッケル/銀が一般的ですが、銀糸/金/鯨のヒゲなどもあります。 この線の質量は弓の重心バランスに結構影響が有るので、巻き直しすることがあればそのあたりも相談したほうがよいと思います。 当然値段は材料費がほとんどなのですが、高いから良いとは限らないものです。

親指が触れる部分の革も材料はさまざま(牛革、トカゲ、紙など)ですが、安定した演奏のためにはめくれてきたら交換してもらうのがよいでしょう。

 

毛について

 一般に湿気が多くなると毛が伸びて、引っかかりが悪くなり、逆に 湿気が少なくなると毛はちじみます

 毛が古くなると伸びたり切れやすくなったりします。 毛一本一本が皆同じように伸びてくれればいいのですが、実際には結構伸びてる毛があったりそれほど伸びてない毛があったりして毛一本毎にばらばらです。 つまりミクロな視点では、毛替え直後の状態と比較して毛一本ごとに微妙に長さが違う状態になっていますので、毛と弦との噛み合わせが悪くなって楽器をきちんと鳴らすのが少し難しくなります(音がすべりやすい)。 また、マクロな視点では、毛が伸びると毛箱が弓の端のほうに移動することになるので、弓のバランス(重心の位置)も変わり、とばしなどがしにくくなることもあります。 そして毛が切れだすような状態に入ると、弓を持ったときのむこう側(指板に近いほう・より酷使しているはず)から多く切れていくためそのままほうっておくと弓が指板のほうに反ってしまいます。 万が一弓がひどく反ってしまったら、楽器屋さんにもっていって反りを直してもらう必要があります。 毛替えのときに、反り矯正のために微妙に左右でテンションを変えて毛を張ることもあります。

毛替えについて

 毛替えは3〜6ヵ月に一回が理想とされていますが、金銭的な都合もあるので1年に一回ぐらいでもよいでしょう。  もし金がなくて暇と度胸があるなら毛の部分だけをシャンプーで洗うという荒業もある(にはあります)。 要は毛が汚れたりキューティクルがいたんでくると松やにののりが悪くなって毛が切れやすく結果としてひっかからなくなるということなので、キューティクルを傷めないように掃除してやれば毛はある程度復活するそうです。 ただし、調子に乗ってリンスまですると逆に松やにが乗らなくなるので気を付けたいです。 

私見では、長い間毛を交換しないことによる毛の劣化は以下の通りです。

毛替えにおいてもキューティクルに気を使っているところでは毛替えのために使ったアルコール分を乾燥させるのにドライヤーを使わずに自然乾燥させているそうです。 また、弓の毛は馬の尻尾からとっていて普通は茶色い馬の毛を一度脱色して白い色にしているそうですが、脱色しないことでさらにキューティクルの状態を健全?な状態に保とうというポリシーを持っている楽器店もあるらしいです。

 また、弓の毛は湿度に敏感なので、梅雨時の毛替えについては湿度の高い日を選んでどんな状況でもある程度の弾きやすさを確保できるようにしなければならないでしょう。 梅雨時の晴れた日に毛替えすると毛が縮んだ状態で毛替えすることになるので雨の日に毛が伸び切ってしまっていくら張ってもゆるゆるの状態に陥ることがあります。 また、最近の毛替えは空調の良く聞いた部屋で行っていることも多いので、毛替えの際には少し短めにというリクエストを明示的に出すのがよいと思います。 もちろん、何も言わずともきちんとしてくれる工房を知っているならそこを信頼すればよいことですが。

以下に毛替えについての基本事項を示します。

□ 毛の長さが揃っていること

当たり前のように聞こえますが、実際には一本一本の毛の最適な長さは微妙に違います。 ヘッド側で毛を留めている楔(くさび)はヘッドに対して垂直に打ち込まれるため、毛が折り返します。 その折り返しを考慮して、弓を張ったときにすべての毛が均等な長さになるようにしなければならないからです。  きちんと長さの揃っていない毛替えは古い毛の状態と同じなので弓が曲がったり、ひっかかりが悪いなどの弊害があります。 長さのばらつきがひどい場合には、フォルテで弾いたときに毛からチーチーと鳴くような雑音がする場合もあります。

毛の量に余裕がある場合は、長めのものを剪定して切ってしまうのも一つの手です。 10本ぐらいならそれほど大きな影響なく調整できる範囲でしょう。

□ 梅雨時期は短めに

梅雨時は湿度で毛が伸びるので、重心のバランスが悪くなりがちです(元のほうによってくる)。 毛箱と革の間が開きすぎるので、持っていて親指がいたくなるし、親指が竿に直接触れるような持ち方を続けていると竿も痛みます。  きちんとしたお店ならそのへんもある程度考慮に入れてくれると思いますが、工房自体が空調が完璧な所が多いので毛替え直後は OK なんだけと家でしばらく弾いてるとやっぱゆるいよねということがあります。

季節ごとに毛替えできる状況ならば梅雨時は短めをオススメします。 一年間使い続けるつもりならば、冬場のことも考慮してスタンダードな長さにしておく(梅雨時の伸びは我慢)ほうがいいかもしれません。 飛行機などでの移動が多い方は貨物室の極度の乾燥にも気をつけたほうがいいでしょう。

□ 漂白していないもの

真っ白いのは多くの場合漂白してあります。 漂白=脱色なので毛が痛んでいます。 つまり、毛が切れやすいと思われます。

店によっては毛のグレードを選べたり、白馬の毛を使っているところもありますが値段が高いことが多いです。 インターネットで探せばそういうお店も見つかるでしょう。

ちなみにベースの人が時々使っている黒い毛は特にひっかかりがよいものなので高弦楽器にはむかないそうです。

□ 乾燥は自然乾燥で

短時間で仕上げるために毛をドライヤーでゴーっとするところもあります。 ドライヤーで乾かすと毛が痛みます。

その他の要因として毛の量というのがあります(ベーシストの間ではけっこうよくあるらしい)。 毛の量が増えるとひっかかりが良くなる一方奏感が硬くなり、逆に量が減ると腰が柔らかくなりソフトタッチになるようです。 たとえば、バロック弓の場合は毛の量は少なめのことが多いです。

 

 

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2.2 弦,糸巻き(ペグ peg),糸箱(ペグボックス)

弦について

 弦の寿命は弦のメーカーや種類によってかわりますが、その寿命を左右する最も大きなファクターは手からでる汗であると考えられます。 演奏のあとには弦についた汗を拭き取っておかないと弦に巻いてあるアルミなどが腐食して剥がれてきます。 また弦についた松やにを良く拭き取ると引っかかりが良くなり、発音がはっきりすると思います。 原理的には松脂が弦にこびりつくとその部分だけ弦の線密度が微妙に変化し、奇麗な倍音が出なくなると思われます。

弦に付いた松やにを落とすにはからぶきキュッキュッでいいと思いますが、最近は弦専用のクリーナーが発売されているのでそれをつかうのがいいかもしれません。 また、弦にこびりついて固まってしまった松脂でも爪でコリコリやるとそれなりにはがれます。 なお間違ってもヒルオイルで弦を磨いたりしないことです。 滑って毛がひっかからなくなります。

 プロの人が使う弦の組み合わせとしては A線:ヤーガー(スチール弦),DGC線:オリーブ(ガット弦)とか A線:シノクサ(ナイロン弦),DGC線:オリーブ(ガット弦)いったものがゴールデンコンビとして有名ですが、なにしろ値段が高くて(ワンセットで1万円以上、ユーロ高の最近は2万近くになりそうです)盆と正月にしか弦を張り替えられません。 アマチュアのためのバリューセットとしては A線:スピルコア/ヤーガー、DGC線:ドミナントあたりが妥当なところだと思われます。 高弦楽器の場合、一番音の高い弦だけはスチールにして「音の伸び」を追求し、それ以外の弦は「弾き易さ(発音のし易さ)」に重点を置いて糸弦を使うことが多いようです。 最近は新素材を使用したハイテク弦が数多く発売されているので、それらを試してみるのもいいと思います。

弦の賞味期限

 長い間弾いていると、指で押さえるところだけ弦が偏平になったり、汗などの汚れを吸い込んだり、弦の材質自体の劣化、巻き線のめくれなどにより、きれいな整数倍音がでなくなってきます。 また、見た目は劣化していなくても、弦が伸びきってしまうと音が詰まったように感じることもあります。 気持ちよく弾くには最低でも半年に一度は弦の交換が必要だと思います。 なお、弦の買い置きは、巻き線の劣化などがあるのでオススメできません。

逆に、切れなきゃいいじゃんという考え方もあります。 人それぞれです。 私も、スチール弦の寿命は切れるまでだと思っています。

 

ペグへの弦の巻き具合(巻き量)について

 弦を張るときは弦とペグボックスの壁がこすれて過度な摩擦が生まれないように巻き回数をよく考慮しておきます。  ほとんどの楽器では、売っている弦を端からペグで律儀に巻いていくと巻きすぎになます。 巻きすぎると、糸箱と弦の過度の摩擦でペグがまわらなくなってきます。 

逆にペグに巻き付ける弦が少なすぎると弦がペグの穴からすべってしまい調弦できません。  弦をペグの穴に通して、弦の先を反対から引っ張って適度な長さだけを巻くようにします。  適切な長さは楽器の各部分のサイズに影響されるので、何かの機会に1日かけて最適な長さの目安を見つけるとよいでしょう。 たとえば、「弦をペグに通して指版と弦の間に指が縦に3本入る位から巻き始める」とかです。  ちなみに、D線の弦の先を引っ張り出すなどの細かい作業には耳かきやピンセット毛抜きなどが強い味方になります。

弦の巻きすぎによるペグの摩擦の図

なお、弦の余った部分を几帳面に爪切りやニッパーで切る人がいますが、弦を張り直そうと思ったときに弦の先端部分がほぐれてしまって作業が大変になるのでやめたほうがよいと思います。 弦の余った部分はそのまま残しておけばよいですが、美的感覚からどうも気に入らないという場合は 余った部分でわっかを作るなどしておけば多少はお洒落に見えるかもしれません。  

どうしても邪魔で調弦等に支障が出るなら切ってもよいと思いますが、弦には金属が巻いてあるので、ヤワな刃物では刃が欠けることは意識しておかなければならないでしょう。 弦切り専用に使い古しのつめ切りかニッパーを用意しておくのがよいと思います。 ハサミで奇麗に切るのは難しいでしょう。 一部のブランドの弦は途中から巻きが固くなっており、余りの部分を引っ張り出しすぎると、固めてある捲線部分が折れ強度が非常に弱くなるものがあるので注意が必要です。

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また、ナットの溝の部分、ペグコンポジション等の潤滑成分を塗って弦の滑りをよくするのもスムーズな調弦にはいいと思います。 溝に2Bや6Bの鉛筆をぬるように助言する人もいますが、鉛筆の芯は粉だし、汚れやすいので私はあまりお薦めしません。 ただ、銀色の色鉛筆というのが一時期ネット上で流行っていて、これはあまり汚くならず意外とオススメです。 品名はファーバーカステル社のPolychromos(ポリクロモス)シリーズ Silver 9201-251 です(詳しくはこちら)。

ナット潤滑

        ↑銀色鉛筆使用中の図。

駒の溝部分の潤滑については、最近は、あんまり滑らないほうが弦の振動がより効率的に駒に伝わっていいんじゃないか?と思っています。 ということで私はここ数年は駒の溝には何も塗ってません。 その分、駒の傾き(垂直)についてはより頻繁に確認する必要があります。

 

 

 また,ナットの部分の溝の向きが変になっていると(ナットの溝の部分が適切な方向を向いていない)音の伸びが損なわれるだけでなく、弦の巻線に不要なストレスがかかり、弦自体の寿命が短くなってしまう(すぐに巻き線がめくれてくる)でしょう。 もしこのような状況にあるならすぐにでもナットを調整/交換(指板ごと交換になることはないと思う)してもらうべきだと思います。 ちなみにクラシックギターのナットは弦の方向を考慮して溝が掘ってあるものがある(特に3弦4弦)ので機会があれば見てみると面白いと思います。

弦を交換してから1週間ほどたったところで弦のねじれを直すために弦を一度はずして付け直すといっそう良いと思います。 はずすといっても完全に取ってしまうわけではなく、弦を引っ張りながら少しゆるめてテールピース側だけを外し、ねじれを直して弦をつけなおす感じです。

 

弦の張り方

 弦を新しく巻くときにはペグに巻きつける弦の量と巻き方を加減して、ペグ - ナット間の弦の向きが指板 - 駒間の弦の方向を延長したライン上にそって伸びるようにするのがオススメです。  理想としてはA線、C線もペグボックスの壁にギリギリ当たらないように、D線G線は他のペグや弦に触らないようにします。 普通に巻くとペグ-ナット部分の弦の向きが理想の向きよりもかなり外側に向いている楽器が多いですが、そうなっているとハイポジションで音の伸びがなくなり、スルDなど一本の弦上で演奏するときに音がしょぼくなってせっかくの見せ場でふんばりが効かないように感じます。 なぜそうなるのかは解りませんが、やや内側に伸びていく方法で弦を張ればハイポジションでもよりしっかりとした伸びのある響きになるので、タダで出来る音色向上法の一つとしてぜひとも実行したいところです。

音の伸びが良くなる仮説としては,1: ペグ-ナット間の弦が他のペグに当たったりするとウルフキラーをつけているような影響があるが,このような巻き方をすることでその影響を最小限にできる。 とか,2: ペグに巻きつけてある弦を最小限にすることで,ペグ/ペグボックスの振動が妨げられない,といった事が考えられる.

ちなみにオールドの高い楽器の多くは自然に弦を張るだけでこのような向きに弦が向いてくれるという話を聞いたことがありますが、実物を統計的に確認した事はありません。

itomaki.png

いずれにしても、きれいに巻くのがよいと思います。 この辺は電源トランスでもいっしょですね。

 

 

糸巻き(ペグ)について

 糸巻き(ペグ)の状態はチューニングの時間を多いに左右します。 まず 糸巻きが調弦しやすい方向に向いているかどうか、かたくて回せないというようなことがないかどうかなどについて気をつけます。 

ペグの角度

 だいたい調弦できている状態で、各ペグの向きが調弦/微調整しやすい向きになっているかどうかを確認します。 手の長さや楽器のサイズによって最適な角度は各人違うと思いますが、一般的には楽器を寝かせた状態で、ペグが地面と垂直になっているぐらいが良いと思います。 高い楽器の写真とかにありがちなスクロールと平行なペグの角度では人間工学的に無理があり、それでは楽器を構えての糸巻での調弦は不可能に近いのではないでしょうか。

適切な角度になっていない場合は、弦を軽く引っ張りながらペグをすこしずつゆるめていき、(いきなり弦が抜けてしまわないように気をつけながら)ペグに巻き付ける弦の長さを微調整します。 ペグの角度を90度変えるのに 2〜3mm(2×π×ペグの軸の半径の4分の1) 程度の長さのミリ単位の調整が必要となります。 もう少し巻く方向にペグの角度を調節する場合は巻きつける弦を長めに、ペグの角度が行きすぎている場合は巻きつける弦を短くします。

peg.jpg

 

ペグのすべり具合

 ペグはペグボックスの穴との静止摩擦力で止まっています。 摩擦が大きすぎると普通に楽器を構えた状態ではペグがまわせなくなり、逆に摩擦がないと糸巻きが止まらず調弦できなくなります。 また、滑り具合は湿度でも変わります。 一般的には湿度が高いほど滑りにくく、湿度が低いほど滑りやすいです。 これの理由の一つは桐のタンスなどと同じように湿度によりペグの軸が膨張し、ペグボックスの木が膨張することで穴は相対的に小さくなるためではないかと思います。 湿度によるペグおよびペグ穴の真円度の変化についても若干の影響はあるように感じられます(ペグの角度による回しやすい/回しにくいの差が大きくなったりする)。

摩擦を調節するためには糸巻きに専用のクリーム(ペグコンポジション:糸巻きチョークと呼ばれるが、クレヨン風のもので、いわゆるチョークとは違う)を塗るとよいでしょう。 これは楽器屋さんで千円ぐらいで買えます。  ペグコンポジションを塗るときにはペグの先の方にはほとんど塗らないで根元の方にしっかり濃く塗るようにするとわりとよい感じで調節できることが多い気がします(下図)。 いろいろ試してみるとよいでしょう。

                    
                   +----+
+------------------+ +
||淡く| |濃く| *
+------------------+ +
                   +----+
ペグの図

 

なお、滑りを良くするためにとりあえず使い古しのカラカラになった石鹸を塗る人がいますが、湿気の多いとき(梅雨時とか)に糸巻きが止まらなくなるように思いますので私はオススメしません。 原理的には石鹸に含まれる脂肪分で塗膜を作らない塗装をするような感じ(工芸的家具などで使われるソープ仕上げ)だと思います。 滑りすぎる場合にはペグを布で拭いて余計な潤滑成分を掃除するというのも試してみるとよいでしょう。 また、ペグを挿すほうのペグボックスの穴の内側も綿棒などでゴミ掃除をするのも多少の効果があるように思います。 

滑らなくするために普通のチョーク(石灰が主成分)の粉を付ける人もいますが、専門家でないならこれはやめたほうがよいと思います。 なぜなら チョークの粉は非常に硬い固体なので研磨剤のように働き、糸箱の穴がだんだん大きくなったり、面がガタガタになって調弦しにくくなると思われるからです。  私は滑りにくくするためには松やにを使うのがよいと思ますが滑りが全くなくなってしまう(調弦のときにパキパキ言います)ので推薦しない人もいます。 ビリヤードのキューの先につける用のチョークを滑り止めに使う人もいるらしいですが、これは普通のチョークよりさらに明示的に研磨成分が配合されているので、私はまったくオススメしません。

それでも滑り具合/止まり具合に納得がいかない場合は、普通の人にはわからない何かが起こっている可能性がある(糸箱にヒビとかペグがしなっているとかペグの軸がが長年の調弦で削れているなどが考えられます) ので楽器屋で見てもらうほうがいいでしょう。 ちなみに、昔の楽器と最近の楽器ではペグの細り方(テーパー)が違うので、ペグを交換する際にやむを得ずペグ穴の部分を埋めて穴をあけなおす(ブッシング)ことがあるかもしれないという話を聞いたことがあります。 昔のは 1:20〜1:25、現代は 1:30 ぐらいだそうです。

 

ペグボックスについて

ペグボックスはペグの穴の位置関係が重要です。 ひどいものはD線ペグとペグボックスの内側の壁や底が近すぎて弦を十分にペグに巻きつけることができなかったり、すでに巻いてある弦の部分の上をまたぐような巻き方をしているときにひっかかることがあります。 また、ペグ穴の配置によっては、D線がG線のペグをこすっているものがあります。 D線とG線のペグが当たっているモノは、G線の調弦のときにD線が狂ってしまうので調弦が大変しにくいです。 楽器購入の際には良く確認したほうがいいでしょう。 可能ならば、G線を外してペグを抜き、G線のペグ穴からのぞいてみて D線がペグ穴を横切っていないことを確認したいです。

ちなみにこだわりの制作者による楽器は、ペグボックスの内側までテカテカに仕上げられていて美しくトラ杢が浮き上がっているそうです。 逆に激安量産品の場合には、スプレー塗装が十分にまわっていなくて木肌が見えていたり塗装に無し〜茶色のグラデーションがかかっていることがあります。

 

弦の評価など

いろいろなメーカーから多様な弦が発売されていますが、弦から見た要素としては、芯材や巻き線の材質/製法(芯材が編んであったり巻き線の仕組みなど)/弦の太さやテンションなどがあります。 これらの要素の違いによって音量/音量感/サステイン、音程感(音程がはっきり感じられるかどうか)、音色(基本的な音色と変化の幅)、発音や弓の咬み具合、ボーイングの変化に対する音の変化、調弦のしやすさと狂いにくさ、寿命(コストパフォーマンス)などの特徴が出てきてキャラクターの違いを生みます。

弦の基本構造は芯材のまわりに金属の巻き線が巻いてあるものが大半を占め、モノによっては芯材と巻き線の間に布みたいなものがはさんであることもあります。 芯材には大きくわけて、ガット/合成繊維/金属(スチール,クロム,タングステンなど)の3カテゴリーがあります。 巻き線には、アルミ/タングステン/チタン/金/銀/銅などの種類があります。  巻き線は1重とは限らずその巻き方は各メーカーによって工夫が凝らされているところです。 昔は巻き線のついてないガットを裸で使っていたそうですが張力が低いことなどから今では古楽器用などの特殊な用途にしか使われませんし、それ以外で巻き線がないのは Violin の E線の一部ぐらいです。

芯材について簡単にまとめておきます。

 

楽器屋さんの楽器にはドミナントがはられていることが多いですが、SUZUKIはスチール、イーストマンはヘリコアなど量産モノではブランドによって出荷時のデフォルト弦は違っていることがあります。

# 星の数は私の好みです。

印象など

ラーセン/?
★★★★★

従来 A線しかなかったので,新登場ということになります。 カテゴリとしては高級合成繊維弦かな。 他の弦ではそれぞれの特徴がわりと感じられるのに対し、ラーセンは意外なほど普通な感じです。  奏感はオブリガートとアリアンスの中間。 音はどちらかというと落ち着いた感じですが、けして地味ではなく誠実という言葉がよくあてはまるように思います。  特にピチカートの音色はクリアでよくのびます。

アーティストというよりは職人という感じがします。  いい仕事してますねー。  A線をヤーガーにした組み合わせがお気に入りです。

コレルリ・アリアンス/サバレス/フランス
合成繊維
★★★★★

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ガット替わりのハイテク弦の代表。 値段はガットと変わりませんが、調弦の安定性は抜群によいです。  奏感は固く反発力があり、発音はやや鈍めでハイポジは慣れないと弾きにくいですが、音量感はあります。  ハーモニクスがよく響いた明るく伸びのある硬質の音色。 それでいて音は太いです。 ガットにあるような音色のざらざら感はあまりありません。  曲げストレスには極端に弱いようで巻き直しを何度かすると調弦中不意にペグ部分で切れることが結構あります。

左手をきちんと押さえないと不要なハーモニクスがしばしば気になってしまうので手の握力が弱い人にはちとつらいかもしれません。  C線はガットよりも明るくブリブリ鳴ります。  弾いているとピチカートのときはもう少しサステインが欲しいと思うこともありますが、録音してみると小さな音(たとえば pp のピチカートなど)でも音程感がしっかりと感じられます。  弾き方を変えるとそれに応じて音色もがらっと変わって表現力の幅が広いのが印象的です。

芯材は KF という釣り糸に使用されている素材(多芯)です。  巻き線は4重になっており、内側から丸線を右巻き左巻き右巻きで3本(内1本は銅っぽい)、平線を左巻きで1本と交互に巻きの向きがかえてあり非常に複雑な作りであり弦自体が硬いのもうなづけます。 また、この独特の4重巻きの構造が曲げストレスで崩れやすいのではないかと思います。

オリーブ/ピラストロ/ドイツ
ガット
★★★★★

弦の王者。  張力は高めで奏感はわりと硬いです。  音はガット特有のザラザラブリブリ感がめいいっぱい鳴って気持ちいいです。  パワーをかけるとかけただけリニアに音が強くなる感じがします。 奏法の変化にも敏感です。  湿度の変化に敏感でストレスのかかりやすいペグ部分で切れやすい.

ただし,C線は普通のやつだとこもりがちです。  D線は楽器によってはうるさいと感じるかもしれません。  音のうるうる感はガットならではですが、各弦間のバランスはとりにくいと感じることもあります。

Warchal/Warchal/?
合成繊維
★★★★★

2008年登場の新商品。 ラーセンより少し強めの弦です。

 

ヤーガー/デンマーク
スチール 

A 線
★★★★☆
D/G/C
★★★☆☆

A 線はクリアで伸びのある音。 ただ,クリア過ぎてA線の低いポジションは少し幼い感じがするので,コレルリアリアンスを DGCに持ってくるとAだけ浮いてしまう. A線以外の弦はすべりやすい感じがして,きちんと鳴らさないとスチール特有のこもった感じになるので右手が疲れるが,音色は包み込むように柔らかく,楽器の値段を隠してくれる. C線は力を入れて弾くとピッチが上がるなど良くも悪くもスチール弦.

ビオラ弾きにとっては A 線ヤーガー,DGC線オリーブという組み合わせが有名. 楽器によっては張力が低い Dolce の方があっているかもしれない.

エヴァ・ピラツィ/ピラストロ/ドイツ
合成繊維
★★★★☆

傾向としてはオブリガートと同じでもう少し人工的な(例えるなら「プラスチック臭い」)音がします。 音色としてはオブリガートよりも色気が感じられ好印象です。 倍音が整っているせいか音程が分かりやすく、重音も響きがわかりやすいです。 音量感があり、弾き方をあまり圧力をかけないようにすれば音の伸びも良いです。

A 線をヤーガーにしても違和感がなく、結構いいです。 ただ、伸びストレスに弱いのか、伸びきってしまうとこの弦特有の華やかな感じが薄れてしまうように感じます。 そんなところも「プラスチック臭い」を感じさせる要因かもしれません。

ドミナント/ トーマスティックインフェルド/オーストリア?
合成繊維
Weich
★★★★☆

Stark/Mittel
★★☆☆☆

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 スタンダードな弦として有名で著名演奏家も数多く使用しています。  奏感はまさに Easy Play。  ですが、強く弾くと音がつぶれやすく、楽器の値段がばれます。  A 線はアジャスターのところからバツンと切れやすく、切れるのが恐い弦の一つです。

Mittel、Stark は音量感はそこそこありますが「ミリミリ」という感じのニッケルっぽいノイズが気になります。 Weich はハーモニクスがよくでて気持ち良いのですが、如何せん張力が低いため弦自体の音量はあまりでません。 特にA/D は強く弾くと音がつぶれやすい(腰がない)ので、弦の音量が求められない大きめの良く鳴る楽器にはオススメですが、裏板長39.5cm以下の楽器に使うには力不足でしょう。  ピチカートは気持ちよく響きます。

芯材はペルロンというナイロンの一種らしいです(多芯)。 A線は巻き線は内側が細い平線2本を同じむきに巻いてあり、外側には平線2本が内側と逆向きに巻いてあります。 4重というよりは2本づつ並べて巻くことで2倍速で巻いてある感じで事実上2重。 巻き線自体も非常に薄いところが Easy Play であるとともに短寿命の一因と考えられます。 C線は内側に丸線が2倍速、その次に反対むきに丸線が2倍速、外側に平線が1重で巻いていあります。

スピロコア/ トーマスティックインフェルド/オーストリア?
スチール
D/G/C
★★★☆☆

チェロではC/G線の定番となっている弦です。  ビオラは小さなチェロというコンセプトのもとに使ってみました。  音量はかなりあり、G線はわりと「ブリッ」っとした感じの音も出ています。 4重弦を弾くときにも音がつぶれにくいです。 ヤーガーよりも明るい音色でヘリコアよりも太くしっかりした音が出る感じがします。  意外とオリーブの A線と一緒に使っても場違いな感じはしません。

ただヤーガーよりはましですが、スチール特有の発音のしにくさもあり、オーケストラのピアニッシモはカスミッシモになってしまうことがあります。 それと、弓の返しで雑音が出やすいです(腕次第ですが)。  ということで早弾きや弱音の表現にはかなり気をつかいます。  逆に強く弾いても音が潰れにくく音程が上がるようなことはないのでのびのび弾けます。  例えるなら、「声が大きくて内緒話の出来ない人」でしょう。 C線は普通のビオラの弓では発音がおいつかず「やっぱチェロの弦」という感じがします。  嫌いじゃないよ。

オブリガート/ピラストロ/ドイツ
合成繊維
★★★☆☆

もともとはガット代替として開発された. ハイポジでも弾きやすく音量感もある. 最近 Violin 弾きでも人気が高い弦. しかし,ガットライクなザラザラした音色を持っているくせに音にあまり芯がなくボヨンという感じの音なのが残念. 音色は好み次第だし機能的には優れた弦なのでオーケストラでむずかしい曲を次々こなしていかないといけない立場にある人は重宝するかもしれない.

アベルナ/?/中国/合成繊維

ヤフーオークションなどで出回っている中国製の弦。 音量はそこそこあり、響きもきれいです。  ドミナントとはすこし傾向が違いますがよりクリーンで倍音が素直に出る感じのこちらの方が私の好みにはあっています。  

圧力に関してはあまりレンジが広くないようで、音が潰れる圧力の上限があまり高くない感じがするのが残念です。 弾いた感触は「紙芯?」という印象です。

シノクサ//ピラストロ/ドイツ
ナイロン
A線 ★★★★☆

どちらかというと安めの弦です。  カラッと明るい感じがして、楽しい曲を弾きたくなる音色です。 圧力をあまりかけずにすーっと弾くと音程感もありいい感じですがあまりボーイングのレスポンスに関してレンジは広くない気がします。  ネックなどに結構振動が伝わってくるので弾いていて気持ちいいのですがその分外に出る音量はロスしている印象を受けます。

他の弦と組み合わせるときは弦によって弾き方を変えないと他の弦の音まで軽くなるし逆に他の弦と同じような弾き方をすると音に伸びがなくなってしまうように感じます。 とはいえシノクサA線に関しては、DGC線に他の弦を使用する組み合わの場合の音色はヤーガーよりも馴染みやすいと思います。 音色の馴染み易さをとるか弾き易さをとるか悩むところです。

ザイエックス Zyex/ダダリオ/アメリカ
★★★☆☆ 

一部のビオラ弾きの間では人気のある弦らしいです。  割と弾きやすく音量感もあり活舌がよいです。

音色は派手めでザラザラ感がありますがあまり硬くはなく、レスポール+リアハムバッカーのようなすこしウォームでファットな(笑)印象です。  ダダリオってエレキギターの弦も作ってるメーカーだったなと言う感じがします。  ただ、基本的な音色は悪くないのですが、(楽器の所為もあるかもしれないけど)音色の幅が狭く、スルタストで弾いてもソットヴォーチェで弾いても同じような音しか出てこない感じでニュアンスがつけにくいと感じます。  ベト5運命の2楽章とかを弾くと、なんだか一本調子にしか聞こえないのであまり使いませんでした。  別の楽器にこの弦が張ってあるのを試奏したこともありますが、そちらはなかなか響きがあり良い感じでした。 ダイナミクスを重視する駒より派にはオススメかもしれません。

コレルリ・クリスタル/サバレス/フランス

★★★☆☆

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音量感はほどほどありますが、アリアンスにあるような明瞭感に欠けるのでおとなしい音色です。  ラベルのパヴァーヌのような曲しか弾かないならいいかもしれません。

芯材は合成繊維(たぶんナイロン)で、巻き線は平線が2本。

ヘリコア/ダダリオ/アメリカ

★★★☆☆

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発音はよく、弾きやすいです。 音量感もそこそこありますが、弦の弾力が少ないせいか「チーチー」とした風邪ひいたような・ミュートをつけたような詰まった音になりやすい(特に小さめの楽器の場合)と思います。 やや軽い感じの音です。   音色なので好みによりますが人気は結構あるらしいです。 コストパフォーマンスは高いでしょう。

芯材はスチールを8本ぐらい寄り合わせたものです。 そのまわりに銅の平線が2倍速で巻いてあり、その外側にタングステンと思われる非常に固い丸線が2倍速で逆方向に巻いてあります。  その外側に平線が1重にまいてあります。

オイドクサ/ピラストロ/ドイツ

A/D
★★★★☆
G/C
★★☆☆☆

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ガット独特のブリブリザラザラ感はありますが、G,C はテンションが低いので小さい楽器だと籠もりがちの「モーモー」した音になります。  室内楽など音量をさほど要求されない分野では音色や表現の幅広さなどから人気が高いらしいです。 倍音がよく出ているので、音量のわりにはプロジェクションはよいと思います。

巻き線が傷みやすく寿命は短めな気がする.

芯材は一本のガット(これ自体は複数のものをよじってまわりをコーティングしてあるという話もある)で,そのまわりに布が織り込まれている. 巻き線は平線が1重で非常にシンプル.

トニカ/ピラストロ/ドイツ
合成繊維
☆☆☆☆☆

アンチドミナントのはしり。  発音は悪くないが倍音だけが先になってしまい「ギャリーン」という感じになりやすいのでタッチに細心の注が必要だと思います(腕次第)。 私の楽器ではパワーも感じられず、明るい音色はわざとらしいように感じますが、 ピチカートの音色は良いと思います。

私の好みではありませんが、よく鳴る古い楽器なら発音の良さとの相乗効果でクリアで響きの豊かな音色になるかもしれません。 ちなみに、キム・カシュカシャンが使用している模様。 ということで弦自体は悪くないのでしょう。

Chromcor (クロムコア)もしくは
プリズムのどっちか
☆☆☆☆☆

音量感はほどほどにありますが、超こもった感じです。

安い楽器にデフォルトで張ってあることも多く、安さが倍増してしまうように思います。

 

 

 

以下にお気に入りの組み合わせ.

A:ヤーガー
D,G,C:エヴァ・ピラツィ

重音がきれいに響く感じがします。 速いパッセージにも対応でき、なかなか良い組み合わせだと思います。

A:ヤーガー
D,G,C:ラーセン

こちらも弾きやすく、解放弦をからめた重弦が特にきれいに響く気がします。 音色もグーなオールデンマークです。

A,D,G,C:コレルリアリアンス

音色は天下一品だと思います。 ただし速いパッセージには少し弱いかも(自分が)。 A線はあまりコレルリアリアンスの特徴が生かせない感じがします。

A,D,G:コレルリアリアンス
C:スピロコア

アリアンスの C線って5千円もするの?! ということでCは定番&一生切れないスピロコアにしてみました。 ゴシゴシ弾けばブリブリ鳴ります。

A,D,G,C:スピロコア

音量追求型セッティング。 弓の返しの時に独特のメキメキノイズが耳につきます。

A,D,G,C:オリーブ

弓の微妙なニュアンスが正直に出ます。 C線はすこし硬くこもった感じがするのでコレルリアリアンスとかスピロコアのほうが良いかもしれません。

A:ヤーガー
D,G:コレルリアリアンス
C:スピロコア

一応、良いとこ取りのセッティングということでしばらく使っていました。 D/G とそれ以外の音色の差でどうしてもフィンガリングが制限される点が玉にキズかな。

A,D,G,C:ドミナント ヴァイヒ

音量のある楽器なら、音色が明るく重音も弾き易くてよいと思います。 鳴らない楽器につけると弓圧に弦が負けてこの世で一番ショボい音になります。

A,D,G:ヘリコア
C:スピロコア

実は現存する一番値段が安そうな組み合わせです。 にもかかわらず、楽器がよく鳴る感じで満足度も高いと思います。 本人しかわからないような微妙な違いにあれこれ凝るより練習に力を入れたい人は迷わずこの組み合わせでしょう。 浮いたお金でCDを買いましょう。

 

 

 

 

 

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2.3 駒(ブリッジ),指板(フィンガーボード),アジャスター

 駒の状態によって楽器の音色(鳴り)はものすごく変わってしまいます。 弦楽器奏者としては駒の取り付け方をきちんと覚えて、常に駒が正しい状態にあるかどうか 調整できるようにしておくべきでしょう。  トロンボーン奏者がスライドの手入れをするように/オーボエ奏者がリードの手入れをするように、弦楽器奏者が駒の付き方をこまめにチェックすることはあたりまえのことであり、楽器が良い状態で鳴るためには是非とも必要なことだと思います。  弾く前に毎回チェックするようにしましょう。

駒の傾きと位置

基本的には駒のテールピース側が表板に対して垂直になるよう、駒の脚はピッタリと表板にくっついている状態にします。 駒の背中が垂直になるようにする理由は,こまを制作/調整する人がその状態でベストフィットになるように作っているからです。  なお、最近は必ずしも垂直でない駒の作り方をしているところもあるという話を見かけるので、背中を垂直にして駒の脚が浮いているようならメンテナンスをしてもらっている楽器店に「あるべき姿」を確認した方がよいと思います。

そして、両側のf字口のfの字の横棒を結んだライン上に駒が来るようにします。  駒の位置は楽器のサイズ(ネックの長さ)によって決まってしまうので、音色の調節のために駒の位置を動かしてはいけません(音色の調節は魂柱の位置で行います)。

また、駒がちゃんとセンターに来ていないと、指板との兼ね合いで弦高がアンバランスなものになり、演奏自体にも支障をきたすことになります。  駒の足跡(ニス)が表板についていたとしても、必ずしもそれが正しいとは限らないので注意が必要です。

koma.png

 駒の表面には松脂がつきやすいので演奏が終わったらかるく松脂をふき取るとよいでしょう。 また、綿棒でハートマーク型の切り込みの中などもたまには掃除するといいと思います。

弦を張り替えたばかりのときや気温と湿度の変化が激しい時は弦(もしくはペグ)がゆるんで駒が倒れてしまう可能性が若干高いので、楽器をしまうときにテールピースの下に布を敷いてテールピースが表板を直撃しないようにすると安心です。 かといってニスの柔らかい楽器だと布の跡がつきそうなので悩むところでありますが。

 

駒に乗っている弦の張力バランス

 弦を張り替えたときには駒をはさんでテールピース側と指板側で弦の張力が違っているので、取り替えた弦のところだけ駒が指板の方に曲がってしまうことがあります。 張力のバランスが狂っていると駒の動きが抑制されて弦の振動が十分に楽器本体に伝わらなくなると思います。 このような場合には 弦を駒の両側からつまんで持ち上げ、張力が同じになるようにします。 

なお、糸巻きチョークを駒と弦の接点の部分に塗っておくと弦の張力だけで自然とバランスがとれやすくなり、調弦や駒のかたむきの調節もしやすくなるといわれています。 私個人としては、音色の観点から駒の溝に潤滑成分を塗るのはよくない気がしています。

 また、張力の強い弦を使っている場合(特にスチール弦、VnならE線とか)には、だんだんと弦が駒にめり込むようになってくることがありますが、そのようになるとその弦だけミュートをつけたような音色になってしまいます。  そうなると弦高も下がってしまうので、駒を交換してもらう必要があるでしょう。

 tension.jpg

弦高について

移弦がやりにくかったり、C線がすぐにビリついたり、A線とCカーブのクリアランスが足りない(楽器にフロッグをよくぶつける)場合には、弦高が標準的な高さから大きくズレていないか確認してもらうのがよいと思います。 単に駒がセンターからずれているだけのことも多いです。

 

 

アジャスターについて

 アジャスターは良く選ばないと、バリなどのせいで弦を引っかけているところから弦が切れることがあります。  このようなアジャスターは不良品なのですぐに交換するべきです。 もしくは、紙ヤスリなどでバリ取りをしましょう。

またアジャスターを使っている場合は、その弦(多くの場合にはA線のことですが)だけがテールピースの方向に弦を引っぱる(音程を上げるのにペグとは反対側から張力を上げるアジャスターを使う)ことになります。 ということは、その弦の溝だけ反対側に引っ張られることになります。 ですので、駒が曲がっていないかどうか常に気を配って、もし曲がっているようならこまめに調節しなければならないでしょう。

なおアジャスターを付けることによって、調弦・微調整がすばやく/あるいは簡単にできます(特にスチール弦の微調整)。 ですので、初心者の人は全ての弦にアジャスターを付けて素早くきちんと調弦できるようにしたほうがよいという人も多いです。   チェロには全ての弦にアジャスターが付いていますが、それも同じ理由(微調整のしやすさ)だと思います。 チェロでいつもペグ調弦してる人を見たことがありますが、調弦中は弦が切れたら怖いので近づきたくないです。

逆にヴィオラの場合はアジャスターをはずしてもさほど問題はないです。   ヴァイオリンの人達はA線をアジャスターなしできちんと調弦しています。 ここは音色をとるか機能性を取るか微妙なところです。 私はアジャスターなしの音のほうが好きですが、現在はアジャスターを使っています。

 

アジャスターの音への影響

 アジャスターを付けると音色がチーチーした感じ(金属的に)なります。  私見では音色が変わる主な理由は,アジャスターをつけたことによって、駒〜テールピース間の弦の角度(ブレークアングル)が浅くなり駒へのテンションが変わってしまうからだと思います。

一般的にアジャスターのサイズが小さいものほどアジャスターなしの本来の音色に近くなるようです。  また、この問題を解消するために最近はチタンなどの新素材を使ったものも発売されており、それなりの効果をあげているらしいと聞きます。  なお、演奏の時にビビッているようなノイズが出ているときにはアジャスターを止めているネジがゆるんでいることが多いのでまずここを疑いましょう。  このネジは指だけで締めるのには限界があるので適宜ラジオペンチなどを使ってきっちりと留めたほうがよいと思います。  それでも雑音がする場合、顎当てのネジがゆるんでいることなど別の要因が考えられます。

なお、アジャスターによる音の影響を減らすための方策の一つとして、逆転の発想で全部の弦にアジャスターをつけるという方法があります。 いわば、毒を食らわば皿まで的な発想ですが、A線だけにアジャスターをつけたときよりも違和感は少ないと思います。  心なしか重量が増えた分サステインは伸びるような気もします。

adjuster.jpg

低い弦にアジャスターをつける場合は弦を通す溝が狭すぎることが多いです。 こういうときは溝に太めのマイナスドライバを上からさして静かに左右に動かします。 そうすると少しづつ溝が広がってくるので、これで微調整します。 ただし、微調整を繰り返すと溝部分が金属疲労で折れますのでご注意ください。

 

HILL 型テールピースとアジャスター

HILL 型テールピース(表の中央が角ばった山のようになっているタイプ)の場合、裏側の面が丸く、表側の面はかなり山型になっていています。 多くの場合、弦を通す穴は裏面に垂直に開いていて伸びる方向が表面と直角になりません。 逆に言うと、表面に対し垂直に穴が開いていないということです。  これはアジャスターを留めるネジが表面の斜面にかろうじて引っかかるような感じになるということを意味します。

しっかり締めてあれば実用上は問題ないようですが、その形状(相性)からもともと緩みやすい宿命なので弦を交換する際にはアジャスターを留めるネジもゆるみがないことをこまめに確認したいです。

 

指板について

 指板は年月とともに弦のあたる部分が溝のようになってくるので,そのようになったら楽器屋さんで削ってもらわなければならない. 溝のようになる以外にも,巻線のめくれかけた古い弦をずっと使っているとめくれた巻線が指板を傷つけ,横方向に細かい筋が入ることもある. このような状態をそのままほうっておくと音がビリビリいったり(特にピチカートにおいては致命傷になる)弦高がちぐはぐになって弾きにくくなったりする. また,指板を削ってもらうと指板が元どおりに平らになるので発音がはっきりするという特典もある.

 なお,指板はやや順反りになるように削られているべきである. これはViola に限らず,ギターなども同じである. エレキギターなどはネックに反り調整のロッドが埋めこまれているが擦弦楽器にはないので指板そのものを削ることになる.

 

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2.4 本体

本体の掃除

 本体は年に一回ぐらいは中を掃除して埃を取り除いたほうがよい. 楽器屋さんによっては小さなスーパーはぼきのついた掃除機のようなものを用意していてサービスで掃除してくれたりする. 一般には,研いだ米を(もちろん油なしで)煎ったものをほんのひとにぎり入れて静かにシャッフルする. そうすれば,米を取り出すときに埃も一緒に出てくる(米が汚れを吸着する).  間違っても米を1合も2合も入れてはいけない. そんなにいれると魂柱が米で倒れてしまう. なお, 生米をそのまま掃除に使う人がいるが,米ぬかが楽器の中に残り虫がつくのでぬかをおとしたモノを使うのが良いと思う. 楽器の掃除に最適な小さなビーズのようなものを創れば特許が取れるかもしれない.

 最近のオススメはパソコンとか OA 機器を掃除するためのジェットエアー(スプレー缶)である. ノズルをf字孔から挿入し,シュッシュッとやると反対のf字孔から驚くほどほこりが噴き出てくる.  購入にあたっては,可燃性のガスや石油由来のものを使用していないもの,洗浄成分や芳香剤などの入っていないもの,長めのノズルがついているものを選択するのが良いだろう. 使用にあたっては

□ ノズルの先端が裏板に近づきすぎないこと    (近づきすぎると結露することがある)
□ ノズルが魂柱に当たらないこと(強く当たると倒れるかも)
□ シューッと長時間エアーを出さずに小刻みにシュッシュすること    (気化熱で一部分だけ温度がさがるのを防ぐ)
□ 缶は直立に固定して楽器の角度を工夫して空気の吹き込み具合を調節すること(缶をななめにすると冷却液が出る)
□ 缶自体がキンキンに冷えてきたら少し時間をおくこと

等に注意すれば非常に簡単に楽器の中のほこりを掃除することができる. 楽器の中だけでなく,駒のまわり/糸箱の中/テールピースの下/側板と表裏板のつぎ目の溝(とくにCカーブあたり)/肩当ての細かいパーツなど従来は掃除したくてもなかなかできなかった部分にも有効である.

 aircleaner.jpg

 また,あくまで噂だが,楽器を綺麗に磨くと音もきらびやかになると一部で言われている. なお,楽器屋さんは松脂がこびりついたようなきたない楽器を嫌がる. というよりはその様な手入れしかしていない(楽器を粗末に扱う)人間をあまりよく思わないので掃除はこまめにしておくのが楽器のためにも自分のためにもなる.

 

ネックについて

 ネックはVの字型のシェイプのものが弾きやすいといわれている. ネックのシェイプがUの字型になっていると実際に左手の触れる部分が太く感じられポジション移動やビブラートがやりにくくなる. ネックが太すぎると指板を押さえるのに余計に力が必要になって(指が開きにくくなるため)左手への負担が増大するからである.

 また,ネックの部分の仕上げは椿油を染み込ませて研磨したものがよいと思うが,多くの楽器にはニスが薄く塗られているようである. 安い楽器でネックの部分にもニス(というよりこんな所に塗料を塗ってあるような楽器は ラッカーを使っていることも多いが…)が厚く塗ってあるものは汗でネックの滑り具合いが大幅に変ってしまい,ポジション移動などが大変やりにくいのでラッカーを剥がしてもらってきちんとしてもらうべきである. 度胸があるなら,自分で削るのもアリかも知れないが,仕上げに普通の乾性油を使うとニスと同じなので粘りが出て滑りが悪くなる可能性があるので注意(まぁ,問題ないと思うけど).

 なお,ネックは年月とともに弦の張力で起き上がってくるので,何十年かに一度くらいは調整(修理)してもらわなければならないかもしれない.

 

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2.5 緒止め(テールピース)

テールピースの音への影響

 緒止め(おどめ:テールピース)が関係するのはその材質(密度/重さ?)ぐらいだろう. 一般的にはツゲや黒檀が材質としてよく使われている.  ツゲのものはハッキリとした発音と明るい音色黒檀のものは落ち着いた中味のつまった音色が特徴である. Violaの場合にはツゲも黒檀どちらもある. 割と好みの問題のようである. なお低弦の場合にはツゲのテールピースは強度の関係からか特殊な部類にはいるようである.

テールピースをはじいたときの音程は音の響きに影響する. はじいた音程に近い音はサステインが長くなる.  駒-テールピース間の余弦のピッチは開放弦の11度上がよいという話を聞いたことがある.

 また,緒止めを止めているヒモ(テールガット:昔のものはガットでできていたが最近はナイロン等)が伸びて緒止めが全体的に駒のほうによると良くなといわれているが,実際にどのような不具合があるのかは確認していない. 低弦楽器についてはチタンやモリブデンのテールガット/エンドピンが発売され,音色に大きな変化が現れているという噂である.  チタンは音量の増大に,モリブデンはハッキリとした発音になるそうである.  ハイテクマルチファイバー(?)を編み上げたテールコードという製品も Bios d'harmonie から出ている.

 

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2.6 顎あてと肩あて

顎あての身体への影響

 顎あてのかたちは非常に大切である. 体に合わない顎あてを使っていると歯のかみ合わせ悪くなったり,顎が開きにくくなったりする. とくに顎関節症などというものになるとのちのちまで後遺症がのこる. さらには無理な楽器の持ち方が姿勢を悪くし,首がつりそう/背中が左だけ凝る/背骨が歪むことにもなりかねない. 楽器を長時間弾いたあとに,奥歯の噛み合わせが気持ち悪いものは替えたほうがいいだろう. また,ポジション移動(とくにシフトダウン)のときに,首に力が入るものも NG である.

また,長時間楽器を弾く場合ことが多い時期には顎のアザの部分がかぶれ,炎症を起こすこともある.(ハンカチを挿んである程度予防することが出来る)  末永く楽器を弾くためにも顎当てと肩当て,そして楽器のもち方はなるべく身体に負担のかからないものにしたい. 基本的には顎当て+楽器の厚さが首の長さにあっているかどうかということを第一に,そして顎の形と顎当ての形がフィットしているかどうかという点に気をつけるとよいだろう. 顎のあざは弦楽器奏者の勲章ではなく無理な力が集中して一部分にかかっている証拠である.

 顎当てには大きく分けてテールピースをまたぐタイプとそうでないタイプがあるが,またいでいるタイプのほうが一般的(violin では高いものには横につくタイプはほとんどない)なようである. ただし,どちらのタイプにするかということについては値段よりも,顎あてとしての機能と裏板側の留め金の位置がどこにあるかということから決めるべきである. これには2つの理由があって,1つ目はこの金具の場所が悪いと楽器を支えている鎖骨の部分に食い込んで神経を圧迫したり腕への血の流れが悪くなって腕がしびれてしまうということと,2つ目はテールピースをまたいでいないタイプの顎当ての金具は楽器本体の左側に偏っているので低い弦の鳴りが悪くなりやすいということである. 楽器のバランスによってどちらかのタイプのほうが相性がよいということもしばしばあるが,いずれにしても身体にあっていれば(楽にかまえられて長時間弾いても疲れない)それでよい. 高さの低いものを探すなら,テールピースをまたがないもののほうが探しやすいだろう.

顎当ての音への影響

 音的には,質量(材質)と顎あての形状(緒止めをまたぐかどうかに伴う金具の位置)と金具の形状が影響する. 緒止めをまたぐもののほうが音に対する影響は少ないはずである. さらに,裏板側の留め金の部分が分離しているものとそうでないものがあるが,これは分離しているもの(ヒル・タイプと呼ばれる)がおすすめである. なぜなら,分離しているタイプのほうが楽器の裏板の振動をとめない( 楽器と接触する部分の面積が少ない)ので楽器本来の響きを損なわず伸びやかな音になる. また,表板側もコルクがたくさん貼ってあるなら必要ない部分を切り取って表板に接する面積を減らすことで楽器の響きを押さえないようにできる.

chinrest.jpg

顎あてをはずした状態で楽器をひいてみて,顎あてをつけたらどの弦の音がどのくらい変わるかというのをためしてみよう. 音域により影響に差があるのかは不明なので自分で判断してほしい. 顎当ての金具を利用して固定するタイプのS式肩当てなどは,ミュートをつけたような音になってしまうのでそれを補うだけのメリットがないならばやめたほうがよいと思う.

肩当ての材質としては黒檀/紫檀/ツゲが一般的である. 振動を止めないということであれば,なるべく軽いものがいいはずである. 材質により,テールピースと同様,黒檀は中身のつまったしっかりした落ち着いた音,ツゲははっきりとした明るい音,紫檀は中間ぐらいになるといわれている. きちんとした(顎あてについて自分の見解を持っている)工房では重さについても裏を削るなどして調整をしてくれるだろう.

 また顎当てを止めるネジをどのくらい締めるかによって楽器全体の鳴りのバランスが左右される(左右のどちら側をより強く締めるかとか)ので,一度きちんと調整するべきである. まず基本として,顎当てが演奏中にずれたりはずれたりしない程度に締めなければならない. そして高い音の弦がやかましいなら右側のネジを,逆なら左側を少し締める. そのようにして全部の弦がバランス良く鳴るような締め具合いにすればよい. 締める一方ではなく反対側をゆるめるというふうにして左右のバランスをとるのも一つの方法である. 強く締めすぎると発音はしっかりするもののウルフトーンのような感じの音色になったりするし,逆に緩すぎると音量感は増すがホゲホゲした感じの音になるようである.

 顎あてのネジ回し(レンチ)について,手で硬すぎるネジを緩めることは出来ないし,その直後に手が疲れた状態で演奏するのは敬遠したいのなら,ネジ回しの購入/もしくは持っている人を友人に持つのをおすすめする. ネジを締めるには専用の道具が1000円位で売っている(バイオリンの形をしているものもありお洒落なキーホルダーとしてもピッタリ,もしくは自作も出来る).  ネジを締めるほうは握力の強い人なら左手で顎当てと反対側の留め金の部分を手で強くはさんで万力のようにしておいて右手でネジを締める程度でも十分だと思われる. 楽器屋の中には工具で力一杯締める人がいるので気をつける.

 

顎当ての楽器への影響

 顎あてのコルクが貼ってある部分の形状は普通平らになっていると思うが,それでは表板の微妙な傾斜(アーチ)にあっていないことが多い. これでは表板に不要なストレスをかけることになるのでアーチに合わせて削ったほうがよい. また,violin の顎あてをそのまま Viola につけている場合には,テールピースをまたぐ部分の穴の大きさが小さすぎて,テールピースと接触していたり緒止めの台に顎あての内側が食い込んでいたりするので注意しよう.

 新しく購入した顎当ての場合は楽器にあたっているコルクの部分がだんだん潰れてくるので定期的に締めていかなければならないだろう.  コルクの材質により音が変わるかどうかは不明.

顎あての材質は先に述べたとおりだが,テールピース/ペグ/エンドピンとの4点セットでの美的調和についても考慮するべきだろう. 演奏時には顎あてはそれほど見えないし,誰も自分を見ているとは思えないし,見ていても顎あてとテールピースの色が違うからどうしたということもないが,自分の個人的な満足度には大きく影響するファクターである.

顎当てに関するチェックポイントをまとめておこう:

高さ

高すぎると顔が上向きになってしまうし,顎への負担もおおきくなる.

 楽器との位置関係

楽器の構えかたに影響するので,楽器を構えたときのヘッドの向きが正面に大して45度(ここは個人差がある)ぐらいかを確認し,ある程度の時間弾いていても身体が開いてしまったり,弓が指板よりに流れてしまうといったことがないようにする.

左右傾斜(奥歯)

端だけ骨にあたると痛い. また,楽器の傾き具合が移弦に支障ないかどうかを確認する. Viola の場合,楽器の厚さ自体が 40mm から 50mm 程あるので,多くの場合 violin の顎あての形状をそのままViola に適用すると,少し窮屈な感じがするだろう. 楽器屋で削ってもらうこともできるらしい.

前後傾斜(顎のラインと引っ掛かりぐあい)

一部だけが接触すると痣ができる. ポジション移動がスムーズにできるかどうかを確認する. また,左手で楽器を支えるときに必要以上に重さを感じるなら顎で楽器を押さえた重さが影響しているので顎あての前後傾斜をもう少しきついものを選んだほうがよい.

金具が鎖骨に喰い込まない.

ヒルタイプの場合は金具の足に厚みがあるので,気になることがある.

その他

材質. ヒルタイプかどうか. 見た目. ヒル脚の場合,金具の向きが楽器のカーブとあっていること.

あごあてにどんな種類があるのかは http://www.e-pizz.com/accessories/chinrests.html などが参考になるだろう.

 自分で削る場合は 200-300番ぐらいの紙ヤスリか小さいスクレーパーが便利だろう. 形を出したあと,400,600,1000,1200,2000 と紙やすり磨いて削り跡を消していく.  削ったら,オイル系の塗料を薄めに塗って仕上げる. 亜麻仁油は東急ハンズでも売っている.

 

肩当て

 肩当てについては,あくまで楽器を支えるための補助道具であるということ,そして顎当てよりも必要性の低い物であるということをきちんと認識しておかなければならない. 基本的には 肩当てなしの状態(もしくはベストの構え方)を基準として,その状態を崩さずに左手が楽になるような肩当てのセッティングを見つけだすことができるかどうかというのが肩当てを選ぶ上での条件である. 楽器の構え方が変わると,移弦,ポジション移動,ビブラート,スピッカートなどのありとあらゆる奏法のやり易さ/やり難さが変わってくるが,一つの構え方で全てが楽にできる構え方というのが理想の構え方となる. そのような唯一の構え方が本当にあるのか,フレーズの技術的難易の種類(めざす音楽的表現)に合わせて構え方の調整をリアルタイムに行うべきなのかは私にはわからないが,演奏に関する天賦の特殊な才能がなければ試行錯誤を繰り返して自分なりの答えに近づくしかないだろう.

いくら頑張ってみても肩当てを使うことによって楽器を持つ時の自由度が大きく制限され,楽器の響きもわずかながら悪くなる. 特に楽器を弾いた後に肩が凝っているという人は,顎当てか肩当てか楽器の持ち方のどれかに原因があるので今一度楽器の持ち方の基本にもどって考えなおしたほうがよい. なお,「肩当て」といいつつもできるだけ肩が自由に動くもの(あまり肩にあたらないもの)を選んだほうがよい.

その一方で実際のところ,肩当てを使うことによって,ポジション移動,ビブラートなどが楽にできる( 左手が疲れにくい)ということや譜めくりの時に楽器から手を離しても大丈夫といったような利点も大きい. また,初心者についてはビブラートの練習のために,楽器を支えるという左手(左腕,左肩も含まれる)の使命を一旦解放して左手をビブラートに専念させるということは大変良い考えである. 一概に肩当ての存在を否定することはできない.

 最近は音質の観点から材質に木を使った(裏板の振動を妨げにくいと言われる)マッハワンや KUN ブラボーのようなものも出てきている. どこのオーケストラにも肩当てコレクターはいるはずなので,その人にどんな肩当てがあるのかみせてもらうとよいだろう.  なお,イーストマンのターティスモデルの様に楽器の幅が非常に広いものは普通の肩当てがはまらないこともある. 同じものの買いなおしでないならば実際に自分の楽器で試着/試奏して楽器と身体にあったモノを選ぶようにしたい.

 

肩当てと楽器の構え方

肩当ての種類(なし,座ぶとん,ブリッジ)によって構え方(楽器の持ち方)は変わる. 肩当ての違いで主に影響があるのは楽器の左右傾斜(A線側がどのくらい下がるか)と前後傾斜(糸巻き側がさがるかどうか)だと考えられる. また,右手の弾き方についても(微調整という感じだが)若干変わる.

□ 肩あて無し(座ぶとん型肩当てあり)の場合

楽器と肩のスペースを確保するものがない(少ない)のでかなり裏板と左肩が接近する. 楽器の右側(中心)は鎖骨に乗っているので結果としてかなり水平に近くなる.

このタイプの肩当ては肩の部分には楽器を支えるモノがないため鎖骨のあたりに楽器の重さが集中する. 楽器を支えるために鎖骨-楽器-顎がつねに接した状態をキープしないといけないが,左手で支えなくても楽器が落ちないようにしようと正直に顎で挟もうとすると力が入りすぎて「万力状態」になってしまう. このような持ち方を維持しようとするとかなりの圧力が楽器と鎖骨の接する面にかかるためTシャツとかの薄手の服だ鎖骨のあたりにとあざが出来ることもあるし,非常に疲れる. また,楽器+顎あての厚さが厚すぎるとスジが伸びた状態で力が入るので背骨を痛めることがあるし,神経がつっぱって頭皮がシビレることもあるかもしれない.

こういった不具合を回避するためにはスクロール側を下げて楽器が滑らないようにする程度の持ち方にし,左手にも楽器保持の役割を持たせることになる(ならざるをえない).  あえて言葉にするならバロック風な持ち方(イメージのみ)とでもいうべきか.

また,楽器の左右傾斜が足りない場合には,それを補うために無意識のうちに左肩が内に入ってくることがある.

    ・---------●-------              ;楽器を緒止め側から見た感じ
               ↓楽器の重さが集中する
    左肩       鎖骨
        ▽指              ▼あご
    指板 ------------- (緒止め)●      ; 楽器をヨコから見た感じ
        ▲親指/腕          ▲鎖骨

左手に対する影響としては,

右手に対する影響としては,

 

□ ブリッジ型肩当てありの場合

肩当てで左肩と楽器の間にスペースが確保される. その分左右傾斜がきつくなる.

肩当て全体に楽器の重さが分散されるので鎖骨へ重さが集中することはない. また,肩当てに楽器全部の重さを乗せられるので,肩当てを支点とするシーソーのような感覚で(鎖骨から楽器を浮かせて),左手で弦を押さえる重さをあごで上から軽く触るだけで楽器が落ちないようにバランスをとることができる.

だたし,楽器の左右傾斜がきつい状態だと,皮膚の弱い(肉の薄い)エラの近くに楽器を押さえるポイントが移動するので, あざができやすいということがあるかもしれない.

    ・---------●-------・            ;楽器を緒止め側から見た感じ
            肩当て
    ↓         ↓       ↓楽器の重さが分散される
    左肩       鎖骨     胸

           ▼指                            ▼あご
    指板 ---------------- (緒止め)●      ; 楽器をヨコから見た感じ
           △親指/腕                        △鎖骨
                                 ▲肩あて

    左手に対する影響としては,

右手に対する影響としては,

 

肩当てのメリットを享受する構え方

肩当てをすることのメリットは先に述べたとおり,楽器の位置が安定し左手の負担が減ることにあると思う. そのメリットを生かすには,以下のようなコンセプトで構えるとよいのではないだろうか.

題して,直角水平運弓... あとはリラックスした左手を楽器の所に持ってきて,自由自在に指版の上を駆けめぐる,と...

 

肩当ての評価と音色への影響

肩当てには, 大きく分けて座布団型/ブリッジ型のカテゴリがある. また,肩当ても楽器と接している部品のため,弾きやすさへの影響以外に音への影響も無視できない. 以下に今までに試したことのある肩当ての印象についてまとめてある.

肩当てナシ

楽器本来の鳴りが最大限に生かせるかも.

ただし,楽器の厚さや顎あての形状などにより,楽器の構え方に苦労することも多い. 夏場は裏板にTシャツの痕が残ったりしないように注意.

Viva La Musica

ブリッジ型. 脚の高さ,角度,幅の調整が可能. それほど売れ行きが良くないためか単にはずれだったのか,脚の金具の角度調整のところがさびついていて硬くなっているものがある(油を注せば復活する). 箱を開けた瞬間にちょっといい匂いがした.

材質はウォルナットの一枚板を曲げたもので音色はやや甘くなる. 新しめの楽器の場合,軽すぎる肩あてよりも Viva La Music のようにある程度重量のあるもののほうが裏板がしっかり振動する感じがする. かなりお気に入り. 姉妹品でプラスチック製のコンパクトというのもある.  

メニューイン

ブリッジ型. 脚の部分は針金で一筆書きのような構造になっており,幅,高さの調節はほとんどできない. 角度の調整は針金を曲げることである程度可能. ただし,最近入荷はないらしく(製造終了したのだろうか)メンテナンスパーツを含め入手は困難になりつつある. パッド部分は直線的なデザインで高低差の湾曲がないため,見た目の印象よりも高め(急傾斜)の設定になる. 音色,音量の変化は比較的少ないが,気持ち硬くなる.

KÜNSTLER という会社がドイツで,また Becker "Surefit" violin shoulder rest という名前でアメリカ(かな?)で同じタイプの肩当てを作っているようだ.

KUN SUPER/KUN Bravo

ブリッジ型. 脚の高さ,角度,幅の調整が可能. パッド部分は身体の形にあった湾曲がつけてありプラスチック製(SUPER)もしくは薄い板を重ねてプレスしたもの(Bravo)でやや軟弱.  肩当ての設定によっては台の背中が楽器の裏板と接触する. 音色は音が硬くなる.

MachOne風薄型木製

ブリッジ型. 角度の調節はできない. 音色はあまり固くは感じないが,肩あてが振動を吸収するためか低音が引き締まった感じになる.

TIDO KUN Bravo 風木製(ソリッド)

ブリッジ型. 脚の高さ,角度,幅の調整が可能. メイプル版中国製コピー.本家 KUN Bravo はベニヤ構造だがこちらは単板削り出し.

当初,イマイチ音がこもってしまう感じがしていたが,下のスポンジをはがしてみたところ全体的に明るさが失われず非常に響きがよくなった. 楽器を載せるフォークの部分の楽器の側板と当たるところが出っ張っているのでニスに痕がつく. Viva La Musica のフォークと交換して最近愛用中. 遊びで買ってみるのも一興かと.

GEWA

座布団型. テールピースのボタンと楽器の角にゴムを引っ掛けて固定する. 肩当ての位置調整は基本的に直線上のみで,高さの調整はない. パッドが硬めなのがドイツ風なのかなぁという感じがする. 音色,音量の変化は比較的少ない.

ショルダーペット

長方形のお手玉みたいなのを肩に乗せる. 無理なく楽器を保持できる感じがするので,肩あてなし派にも違和感なく受け入れられそうな気がする. ややマイルドな感じの音になる.

Play on Air

座布団型. ゴムバンドで裏板に引っ掛けるタイプ. 空気の入れ具合で高さの調節は可能. 裏板のかなりの面積に当たるため,音量はかなり減ってしまう. もう10年近く活躍してない.

S式

座布団型. 顎当ての金具と楽器ではさんで固定するタイプ.高さの調節はおまけパッドをつけるかつけないかで可能. また,長期間つけっぱなしにしておくと楽器のニスにゴムの跡が残ることもあるようである. 音色はかなりミュートした感じに近くなり,音量も減る. オススメできない.

 

shoulderrest.jpg

Viva la musica

http://www.viva-sas.com/

Mach one 風

KUN

http://www.kunrest.com/

 

ショルダーペット

http://www.ky-pro.jp/violin/

Menuhin

GEWA

Play On Air

 

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2.7 松脂

松脂が変わると弦のひっかかり(発音)とノイズの具合が結構変わる. 楽器との相性というよりは,弦や弾き方との相性が大きいと思う. 松脂をつけ過ぎると発音が硬くなりガリっといいやすくなる. 松脂が少なすぎると,音がカスカスな感じになる.

少し趣きを変えて,いままでに使ったことのある松脂についての印象など.

PARIS Superieure Colophane / ミラン / フランス

★★★

\4500 ぐらい

特徴: JADE よりもう少し引っかかりがよくなった感じ.

音: JADE がシュークリームなら,こちらはカヌレって感じ. 発音がクリスピーで最近お気に入り.

Gold and Silver / Thorvaldsson E.U.R.L., / フランス

★★★

\2,000 ぐらい

特性: Mullant-Deloux のメーカーが出してる黄色いフタのやつ. わりと塗りやすく,かといってベタベタする感じは少ない. ネコ松脂とベルナルデルを混ぜたような感じ.

音: 引っ掛かりがよく,ガサガサしない. 弦がしっかりと振動するので音量があり,しかも発音のクリスピーな感じは Viola にとてもよくあうと思う. あまり張力の高くない弦と組み合わせた場合は特に弓の毛をそんなに張らなくても音が出るので弾きやすく,楽器がちょっと上等になった気がする.  クリスピーな感じがあまり長続きしないので頻繁に塗らないといけない感じがする.

名前はゴールドアンドシルバーだが,松脂の見た目はカッパーな感じ...

L'Opera JADE J100M(黒箱) / Thorvaldsson E.U.R.L., / フランス

★★★

\2500 ぐらい

特徴: 緑色. 特に粒が細かいという感じはしない. ギョームとネコの中間ぐらいだが,アルシェよりはギョームに近い気がする.

音:とくに目立った特長はないが,それがよい. 引っかかりも Good.

Guillaume ( ギヨーム ) / ギョーム / ベルギー・フランス

★★★

\5,000 ぐらい

特徴: しっとりした感じ. 粉の粒子は非常に小さい(片栗粉ぐらい)気がする. ギョームって弓つくってるところですかね.

音:ノイズもなく,結構良い. ただ,ねばりがないので音量感は少し小さめな気がする. どちらかというと,松脂に邪魔されないという感じ. 逆に言うと松脂に何らかの効果を期待するならハズレ. その意味でアウクスのカーボン弓みたいなのとは相性いいかもしれない. 高いから音色がいいはずと思ってこの松脂を使い,音量がもっとほしいから圧力をかけて弾くことになり,音がつぶれてノイズが増えるという悪循環にはまる可能性あり.

コレルリアリアンスとの組み合わせでは主張がなさすぎて夏場の相性としてはイマイチな気がする.冬はひっかかりも良くなり音量感も Up するみたいなのでいいかも.

Millant-Deroux ( 黒ネコ Dark) / Thorvaldsson E.U.R.L., / フランス

★★★

\2,000 ぐらい

特性: そこそこの値段でスタンダードな松脂. 松脂の粒が若干大きい感じがする. つけすぎると弦を弾くたびに白い煙が舞い上がり,指版や駒のまわりがこれでもかというぐらい真っ白になる. つまり,松脂のつきはよい. 楽器の掃除はこまめにしよう.

音: ノイズは少なく,音量感は結構ある. コレルリアリアンスとの組み合わせは最高だと思う. ベルナルデルの松脂を使っていて発音がもうすこしはっきりすればという楽器やあとちょっとパワーがあれば気持ちよく弾けるのにという場合にはいいかも. 季節(湿度が低いと?)により音がカスカスした感じになることがあるかもしれない. ヘリコアとかだと,少しミュート&ノイジーな感じに聞こえるので相性問題はありそう.

ちなみに,この松脂のオリジナルは弓製作者の Deroux さんが作ったもので,その娘さんが Millant さん(非製作者)と結婚. その子孫が松脂を改良して Millant-Deroux という名前とネコ印を付け,現在に至っている. ということでオリジナルは100年以上前からあるらしい. 最近イミテーションが出回ってるのでご注意とのこと.http://www.rosinmakers.com/index.html

Bernardel (ベルナルデル)/フランス

★★☆

\2,500 ぐらい

特性: さらっとした感じ. あんまりべとつかないのでつけすぎてもそんなに気にならない. 最近売ってるものは以前のものより色がさらに薄い気がする.サラサラ感 Up か. 毛替えしたての弓に松脂を塗ろうとしても丹念に100往復ぐらいしないと全然松脂がのらなかったりする. フロッグの半月リングがぶつかるといとも簡単に欠ける. 古くなってくるとサラサラすぎる気がするので月日が経つと粉々に砕けていくタイプなんでしょう.

音: ノイズはほとんどなく非常に透明感のある音色.音量感は普通.早い弓でもすべらずにきちんとひっかかる気がする. 硬い弦だと少し発音が悪い気がする.

ヴァイオリンだとちょうどいいのかもしれないけど,ヴィオラにはすこし物足りない感じが...

アルシェ301 / アルシェ / 日本

★★☆

\3000 ぐらい.

特徴: わりとしっとりしているが,かといってネバネバした感じは少ない. 黒猫とギョームの中間ぐらい. 長方形の木枠がついているので塗りやすい.

音:ノイズは少なめだが,やや生っぽい音がする. ダダリオヘリコアとの相性はいいらしい. 楽器屋の試奏用の弓の松脂につかっているのを見たことがある.

Hidersine ( ハイダーザイン/ハイダージン ) / ?/ イギリス

★☆☆

\600 ぐらい

特徴: DeLuxe Dark というのを使ったことがあるが,ねばりが強い感じ.手につくと非常にペタペタした気がする. ずーっとドイツ製だと思ってたけど,イギリスらしい.

音: 木のきしむような感じの少しこもった音がする. よくなる楽器なら渋い音が期待できると思うが,そこそこの楽器だとちょっと好みがわかれると思う. この松脂をつかっている人は独特の音がするので,すぐにわかる. 新作の少しやかましい感じ楽器にはいいのかもしれない.

ベースの松脂(たぶんペッツ)

★☆☆

特徴:とてもねっとり(というかベタベタ)している. ゆっくりの弓だととても引っ掛かりが良いが,弓のスピードをあげるとすぐにすべる. 夏場に使うと,毛が板のように固まってしまうのでためしてみるなら毛替えの直前に.

とばし多用な曲には向かないがロングトーンの練習には良いかもしれない.

Tonica ( トニカ ) / Pirastro ( ピラストロ )/オーストリア?

☆☆☆

標準価格:\1,000

ノイズが多くてイマイチ. とくに2,3年たつと表面にひび割れも入り,さらにイマイチ度が増す. トニカの弦にこの松脂はないんじゃない?

Liebenzeller ( リーベンツェラー ) / ? / ドイツ

\3,500 ぐらい.

使用経験なし. No.III はヴィオラに最適な固さとのこと.機会があればつかってみたい.

主観的ひっかかりマップ

さらり

中庸

しっかり

ベルナルデル   ギョーム JADE Gold and Silver ミラン   アルシェ   猫印

Hidersine

 

松脂の賞味期限

松脂には基本的に賞味期限はないといわれているが,長年ほうっておくと表面が酸化しもしくは松脂に配合されている物質の蒸発などにより硬くなる. こうなると松脂をつけるために弓を動かしても松脂の表面がつやつやしてすべるのであまり松脂がのらなくなってしまう. 松脂を付けたあとに松脂の表面に毛のあとがつかずにテカるようなら表面が硬くなっていることを疑ったほうがよい.

このような場合は#300ぐらいの紙やすりを敷いてその上で松脂を動かして松脂の表面を1mmほど削る. 力任せに押さえつけると松脂が割れるし,早く動かすと摩擦熱で松脂の粉が溶けてかたまるのでソフトかつ丹念に墨をするようにすこしづつ削っていくのがよいだろう. こうすることで本来の新鮮な面が出てくるので松脂が復活する.

毛についた松脂

そろそろ毛替えしたいなぁと思いつついろいろな理由で毛替えにいけないとき,お手軽復活法の一つとして布で毛についた松脂をふきとるというのがある. コツとしてはあまり毛を強くはさまないこと,布の往復を速くしないこと,布の拭く場所を頻繁に変えて布についた松脂が毛に戻っていかないようにすることがあげられる. これによって,すこしづつ堆積していった固くなった松脂が落とせるので多少松脂ののり具合が毛替え直後に近くなる.  ただし毛が伸びてバランスが悪くなってしまったものは戻せないのでホントは毛替えに出した方がよいだろう.

 

木箱の松脂

木製の入れ物はかっこいい. ということで箱が木製の松脂を列挙

 

 

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2.8 その他

気温

 楽器を車の中などの高温になる場所に放置してはいけない. 最悪の場合,弓の松やにがとけて毛が板状に固まり(音が出なくなる),楽器のニスがどろりととけて(悲惨な見た目),ニカワがゆるんで楽器がバラバラ(裏板が浮いたりするぐらいならまだかわいいものだが,弦の張力でネックがはずれるなどもっと悲惨なことになることもある)になる.

陽ざしの強い日の移動は日焼けも心配だが,楽器ケースへの直射日光も心配である. たとえば駅から練習会場まで十数分であっても意外と楽器に熱が伝わっている場合が多い. 練習会場に到着して楽器を持ってみたときに,少しひんやりした感じがしないばあいはほどほどに温まっていると思ってよいだろう. 最近はリュックのように背負えるタイプの楽器ケースが増えたが,背中からの熱が伝わりやすいものもあるようなので,適度に背中に風を通したりして熱がこもらないようにするとよいかもしれない.

 

湿度

 演奏の前には楽器のケースを開けて楽器を練習(演奏)場所の湿度や気温に慣らしておくこともたいせつである. 湿気で冷たい楽器の指板がべとべとになったり,スポットライトで調弦が狂ったりということはよく起りうる状況である. その他にも空調が効きすぎているところ・乾燥しているところなどは木管楽器の人にとっても恐怖の場所である. 梅雨どきの日本には持って行ってはいけない楽器(家が建つぐらい高価な楽器にそういう条件が付いていることが多いらしい)などというものも存在するくらい楽器と湿度の関係は密接である. 湿度が 30% をきると木にとってはヤバいと言われている.

湿度を知る

湿度を知るには湿度計が必要だが,楽器ケースに湿度計がついているものもあるが,そうでないものの場合には湿度表示カードというものがあればおおよその目安を知ることはできる. 湿度表示カードはダンピットのオマケでついてくるが,それ以外だと電子機器の部品の梱包に一緒に入ってたりするもので(一般にはほとんど小売りされていないようだが)電子機器製造関係の知り合いがいればそちらの方面からの入手も難しくないだろう.

humidity indicator card 

もっと正確に湿度を知りたい場合はデジタルのものがよいと思うが,精度という意味では市販の湿度計でも十分よいと思う. 市販の湿度計を楽器ケースに入れている人もいるらしい.

なお,楽器ケースを開けて楽器のネックを握った瞬間に楽器がどの程度湿気を帯びているかはわかると思うので,湿度計と合わせて湿度の目安にするとよいだろう.

湿度を調節する

楽器ケース内の湿度が低いことが多い場合はダンピットなどを使えば調節できる. 逆にいつも湿度が高い場合はドライフォルテなどの楽器用湿度調整を使えば乾燥しすぎることなく湿度を下げることができる. 焼き海苔などの乾物に入っている乾燥剤は湿度を下げすぎるので楽器には使わない方がよいだろう.

演奏あとの指板の汗などを拭いた布を楽器ケースの中に楽器と一緒に入れておくと布の汗が蒸発して湿気として楽器に戻っていくのであまりにも湿った布は楽器と一緒にしない方がよいと思う.

部屋の湿度の調整には加湿器や除湿器などを導入するのが普通である. 機器の置き場所(楽器との距離などもあるだろう)によってかなり効果(影響)が違うようなので楽器周辺の実際の湿度を測定しながら湿度調整の方法を工夫するのがよい.

季節によるが,室内の湿度が40〜70%ぐらいの時期(さらさら〜ややしっとり)なら,家にいるときは楽器ケースの蓋を開けて楽器と楽器ケース内を新鮮な空気と入れ替え湿気を取るようにしたほうがいいのではないだろうか. 逆に湿度が20%を切ったり(カラカラ)80%を超える(ベタベタ)ような時には適切な調湿グッズとともに蓋を閉じておいたほうがいいだろう.

 

メトロノームとチューナー

練習のための小道具として欠かせない. カード型から据え置きタイプまでさまざまなものが販売されているが,一般的には楽器ケースに一緒に納まる程度のものが邪魔にならずよいと思う.

ちなみに,今井信子氏のCD 「G.P.Telemann Twelve Fantasies for viola solo」のライナーノーツの最後のページの写真にて,譜面台にもメトロノームらしきものが置かれていた.

 

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