西彼杵層群間瀬層上部(蛎ノ浦層)        

西彼杵層群

 本層群は大島・崎戸および西彼杵半島に広く分布し,600mあまりの層厚があり,下位の松島層群を不整合におおい,また西彼杵半島においては,花崗岩類や結晶片岩の基盤岩類を直接不整合におおっている。本層群は下位から間瀬層・徳万層・百合岳層・塩田層・日切層に5分される。
 本層群はおもに帯緑色砂岩・砂質泥岩・泥岩および凝灰岩などからなる。所々に海棲軟体動物化石を含み,特に間瀬層から多産する。本層群は石炭層をまったくはさんでなく,全体として純海成層と考えられる。場所によって岩相や層厚を異にしており,概して東部は陸地に近い堆積層を示し,西部は沖合の堆積層を示している。とくに本層群の下部は層相や岩相の変化に富み,雲母片を多量に含んでいる。したがって,崎戸・大島地域と西彼杵半島地域との岩相は異なり,前者においては間瀬層は,層相から上部(蛎ノ浦層)と下部(板浦層)とに2分されるが,後者においては区分することができない。
 本層群は杵島層群・姫ノ浜層群および芦屋層群に対比される。その地質時代は漸新世中期〜後期と考えている。

間瀬層

 本層は崎戸・大島および西彼杵半島などに分布するが,崎戸・大島付近においては下位の松島層群に対して不整合の関係にあり,一方西彼杵半島では基底れき岩をもってかこう岩や結晶片岩の基盤岩類をおおう。すなわち,本層は瀬川村川内南方・大串村大石および白浜南西方や西海村乗越東方などにおいては結晶片岩を,多以良村高帆山西麓海岸では花崗閃緑岩を,不整合に直接おおっている。前に述べたように崎戸・大島地域においては,本層は岩相から
上部(蛎ノ浦層)と下部(板浦層)とに2分することができる。

間瀬層上部(蛎ノ浦層)

 層厚は50〜130mで,大島の間瀬,崎戸の蛎ノ浦地域に発達する。本層はおもに砂岩からなり,貝化石,砂管(サンドパイプ)などを含み,とくに上部は著しく石灰質である。本層の下部は大島鉱業所では筍貝層,崎戸鉱業所においては穴口砂岩層と呼ばれ,おもに暗灰色細粒〜粗粒砂岩からなり,れき岩層もはさまれるが,泥岩層は一般に少ない。本層には上下を通じて多数の砂管が認められる。
 崎戸地域においては本層の下部に化石を含むれき岩の発達が見られるが,これに対して大島地域においては,その中部に数枚のれき岩層が発達している。れき岩は拳大あるいはそれ以下の大きさの結晶片岩や,石英などのれきからなる。これらのれき岩層中には,カキ化石を多数含んで連続性のある厚さ1〜1.5mのれき岩層が2枚あり,両者の層間距離は数mである。これらのれき岩層を大島鉱業所では下位のものから下カキれき岩・上カキれき岩と呼んでいる。本層の上部は崎戸鉱業所ではアボ下砂岩層,大島鉱業所においては蛇ノ目砂岩層と呼ばれているが,15〜50mの厚さがあり,崎戸・大島地域においてもっともよいかぎ層となっている。この本層上部の砂岩層は,雲母片を含む堅硬な細粒〜粗粒の石灰質砂岩からなり,ときにれきを含み,また風化した露頭表面が波状を示す著しい特徴がある。この砂岩層は他層に比べて風化に強いので,顕著な崖を形成していることが多い。
 崎戸地域においては,基底に結晶片岩れきを含み,化石の密集する化石帯があり,1m内外の厚さがあり,これを第1化石帯と呼んでいる。一方,大島地域のこの砂岩層(蛇ノ目砂岩層)中には,二枚貝化石などを多数含む2枚の化石帯がある。これらの化石帯はその風化面の外観が,蛇ノ目状を示すので蛇ノ目と呼ばれ,崎戸地域における第1化石帯とともによいかぎ層となっている。
 なお,本層の上下を通じて,環虫類の痕跡と思われる長さ4cm内外,径3mm内外の弓状の砂管が,層面にそって無数に重なって入っている。
  
            (5万分の1地質図幅説明書「蛎ノ浦」,地質調査書)