美味しい良質の水道水を供給するための基本が、公共用水域の水質保全にあるのは勿論です。しかし、実際には、湖沼やダム、河川など水道水源の富栄養化に起因する水道水の異臭味被害、また、有機塩素化合物による地下水の汚染、トリハロメタン前駆物質(THMFP)と塩素の反応による
トリハロメタン(THM)の発生など多くの問題が発生しています。
このような水源水質悪化の事態に対処するには、水源の水質を改善しなければなりませんが、これは大きな問題で簡単に処理できるものではありま
せん。国や地方、企業や住民など総力を挙げての努力が必要で、早急な改善が困難であることは否めません。したがって、水源水質の普段の改善努
力と合わせて、当面浄水場での何らかの対処が必要となってきます。しかしながら、凝集、沈澱、濾過
、消毒を基本とする従来の方法では、水道水のこのような問題を十分に解決することはできません。
この問題に対処するため、厚生省では昭和63年3月に「高度浄水施設導入ガイドライン」を作成し、また、昭和63年度からこのような高度処理施設を設けようとする水道に対して国庫補助制度を発足させました。
このガイドラインで「高度浄水施設とは、通常の浄水処理方法では十分に対応できない臭気物質、トリハロメタン前駆物質、色度、アンモニア
性窒素、陰イオン界面活性剤等の処理を目的として導入する活性炭処理施設、オゾン処理施設及び生物処理施設をさすものとする」としていま
す。
これらの高度浄水施設を単独または組み合わせて従来の浄水場に付設し、問題を解決しようと言うわけです。ただし、オゾン処理は単独で用いられることはなく、オゾン酸化によって生ずる副反応生成物を除去するために、その後段に粒状活性炭処理を設けなければなりません。
また、産官学一体となっての取り組みにより、急速に研究、利用技術が進んだ水道水の膜ろ過技術(MAC21計画)が実用化されて普及の段階に入りつつあり、高度処理 との組み合わせに大きな期待が寄せられるようになってきました。
※.MAC21計画
「膜利用型新浄水システム開発研究」のことでMembrane Aqua Century 21の頭文字からとったものです。MACが膜に通ずることから「マック21計画」と呼ばれていま
す。厚生省の研究費補助金と参加企業の負担により、産官学共同のプロジェクトとして平成3年から3年間行われた水道水の膜ろ過技術の開発研究です。
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従来の処理方法にオゾン処理、活性炭処理を加えたものです。処理フロー中にはpH調節用薬剤の注入などもありますが省略してあります。
左図は
活性炭再生設備の例です。
活性炭処理設備には、能力の低下した活性炭を再生する活性炭再生設備(加熱法による再生炉)を付属させることもあります。再生量が多い場合、このような再生設備持つことは経済的です。
下記のフローは高度処理の一例です。
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オゾンは、前述したように原則として活性炭と組み合わせて用いられます。THMFPを活性炭に吸着されやすいTHMに分解するなど、オゾンは難分解性有機物の生物分解性を高めますが、ジオスミンや2-MIB(2−メチルイソボルネオール)などの臭気物質の分解脱臭、フミン質による着色水の脱色などにも非常に効果的で、殺菌作用も強力です。 これらの作用は、オゾンの強い酸化作用によるものです。
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粒状ヤシ殻活性炭 |
※.生物処理
生物処理は、水中に含まれる各種の物質を微生物の働きによって分解または凝集させ、水を浄化する方法です。
生物処理は原水中のアンモニア性窒素を効果的に除去でき、また、臭気なども除去できるので、その後に加える塩素の量を減少させることができ、
また、クロラミン(結合塩素)の生成がないので適切な塩素処理の管理が可能となります。
高度浄水施設の生物処理の方式としては、浸漬濾床方式(ハニコ−ム方式)、回転円板方式、生物接触濾過方式などの方式があります。
しかし、生物処理ではTHMFPを効率的に除去できないので、THMFPの除去に適した活性炭処理とを組み合わせることが望ましく、このような観点か
ら、両方の特長を備えた生物活性炭(BAC)処理が新しい生物処理として各方面で研究、実用化されています。生物活性炭処理は生物接触濾過方式の新しい方法と言えるでしょう。
活性炭はその細孔構造により比表面積が非常に大きく、微生物の繁殖に適しています。塩素処理されない水が通過すると活性炭層には微生物が繁殖します。この繁殖した微生物により活性炭層は生物処理の効果も持つようになります。このような効果を持った活性炭を生物活性炭と称し、
これによる処理を生物活性炭処理と言います。活性炭処理が塩素処理の前段にある場合や、オゾン−活性炭処理の前段に塩素処理がない場合などは活性炭層がBACになります。(2001.5.17)