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【39】Hサイクル処理水で触れれましたが、Hサイクル処理水は気曝することにより原水中の炭酸水素塩
(アルカリ成分)は炭酸ガスとして除去され、言わば酸性軟水になっています。この酸性軟水
をアルカリ中和することにより、脱アルカリ軟水を得ることができるのは容易に考えられます。
図1にHサイクル−アルカリ中和の大まかなフローを示します。HはHサイクル処理塔、Dは脱炭酸塔です。中和には通常薄めた苛性ソーダを使用します。
図2は、水中イオンの組成を四角枠内に示した図によりHサイクル-アルカリ中和の水質変化を表したもので、通常の化学式とは異なり水の成分を視覚的、かつ総合的に分かりやすくし、化学変化の様子を見ることができるようにしたものです。四角枠左側に陽イオンを右側に陰イオンを配し、また、下段にはイオン化していないSiO2やCO2などを配してあります。左側の陽イオン(全カチオン)と右側の陰イオン(塩構成アニオン)は等しくなっています(全カチオン=塩構成アニオン)。
図2で M2+ は
Ca2+ および Mg2+
などの硬度成分を表し、AはCl-、SO42-、NO3-
などを表します。イオン化していないものはSiO2で代表させています。
勿論、これらの成分を細かく記入しても良いわけですが、変化の様子を把握できるように簡単化してあります(水の分析表参照)。Tは原水、UはHサイクル処理水、VはHサイクル処理水を脱炭酸処理したもの、WはVを薄い苛性ソーダで中和した脱アルカリ軟水を表しています。
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Naサイクル軟水中に残留するアルカリ成分でも当然Hサイクル処理水中の鉱酸を中和出来ますから、中和の際に生じた炭酸ガスを脱炭酸塔で除去すれば脱アルカリ軟水を得ることができることになります。これがH、Naサイクル中和です。
図3にH、Naサイクル並列型脱アルカリ軟化のフローを示します。
すなわち原水を二つに分け一方をH塔に他方をNa塔に通して後両者を混合するわけです。
H、Naサイクル中和にはH塔とNa塔を並列に並べる場合と直列に並べる場合がありますが、ここでは並列に配置する場合を取り上げま
した。
ここでH、Naサイクル並列型脱アルカリ軟化について図2のような中和の水質変化図をつくってみ
るとよいでしょう。
なお、H塔とNa塔に供給する水の量やそれぞれの樹脂量比については、水の鉱酸酸度やアルカリ度、それに陰陽それぞれのイオン交換樹脂のBTCapなどいろいろの要素が絡み合い複雑なので省きます。
[3] 脱アルカリ硬水軟化の応用
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塩構成アニオン中のアルカリ度(酸消費量=炭酸水素イオン)の割合が大きく、硬度の少ない原水の場合は、Hサイクル処理水中の鉱酸が少ないですから、これを原水
のアルカリ度で中和後脱炭酸塔に送ることは当然考えられます。もともと原水中の硬度が少ないですから、アルカリ度のない低硬度の処理水が得られます。このような方法をHサイクル原水中和といいます。図4にHサイクル原水中和型脱アルカリ軟化のフローを示します。
現在、脱アルカリ軟水はボイラ用水、染色用水、洗浄用水やその他各種工程用水などに軟水を超える品質の水として普及するようになりましたが、さらに今までに述べたような脱アルカリ硬水軟化法で、HサイクルとNaサイクルの比やHサイクルと原水の比を変えてみたり、適量の酸
、アルカリや硬度成分を加えたりすることにより産業用水として望ましい水質の水に近づけることが出来ます。
現在蛋白工学が花盛りですが、蛋白質はそれに触れる水の質によって微妙に変化します。美しい絹糸の白銀色、日本酒のまろやかさ、人間の肌もそうです。
数十年前まで水質は与えられたもの、決った条件として受け入れられてきましたが、今では水処理技術の進歩によりほぼ希望する水質の水を得ることができるようになりました。その水処理技術の一つが脱アルカリ硬水軟化です。
例えば、製糸産業の製糸工程(繭から生糸をつくる工程)においては
、経験的にこのような水質が適しているとの大凡の基準があり、そのような水を得られる場所を立地条件の一つとしてきました。
しかし、脱アルカリ硬水軟化の手法を基礎とする製糸用水処理を採用することにより、
製糸工程に適する水質の水を得ることが出来るようになりました。残念ながら、かっては我が国を代表する産業であった製糸産業も現在衰退してしまいましたが、製糸に限らず、食肉加工、皮革、醸造、製麺、製パンなど蛋白に関係する工業は数多くあります。(07.2.23)