水の電気伝導率については、
【4】の電気伝導率や
【14】の
水
電気伝導率の1/2の数値は?で既に簡単に述べましたが、本文では電気伝導率についてもう少し基本的な事項に触れたいと思います。
水は優れた溶媒としての性質を持っていますから、自然界を循環する間に大気や土壌、岩石に触れて種々の物質を溶かし込み、あるいは懸濁させて不純物(
自然水中の不純物参照)を含むようになります。
一般の汚染を受けていない自然水中の溶存固形物の多くは電解質であり、非電解質は分子状シリカや一部の有機物などで割合は多くありません。
水の電気伝導率はその水の電気の通し易さを示すものです。水が電気を通すのは水中の電解質によるものであり、電荷を持ったイオンが電流の担い手ですから、水中に電解質の量が多ければ多いほど電流が多く流れます。
したがって、水の電気伝導率は水中の電解質の量を知る目安になり、また、電解質の量は一般の自然水、用水では溶解固形分にほぼ比例しますから、電気伝導率は溶解固形分を知る目安にもなります。
[1] 電離度と電気伝導率
(1)電離度
電解質は水中で電離して陽イオンと陰イオンになります。この場合
電離する割合を電離度(α)と言い、電離度が大きいものを強電解質、電離する割合の小さいものを弱電解質
と言います。
下記に電離度(
α)の式を示します。電離度1とは電解質の全部が電離した場合、電離度0.8とは電解質の80%が電離し
ている場合を指します。
塩酸(HCl)、硫酸(H
2SO
4)などの強酸や苛性ソーダ(NaOH)、苛性カリ(KOH)などの強塩基、
また強酸と強塩基による塩、例えば食塩(NaCl)などは強電解質に属します。
また、炭酸(H
2CO
3)、硫化水素(H
2S)、アンモニア(NH
40H)や珪酸(H
2SiO
3)などは
弱電解質に属します。
(2)電気伝導率
図1 電気伝導率測定の原理
 |
水の
電気伝導率を測定するには、通常交流電源が用いられます。これは、直流を用いると電極表面近傍での被検水電解による水組成の変化や分極による障害を生ずるためです。
図1に電気伝導率測定の原理を示します。
いま、水中に面積Sp
2
の2枚の電極を距離ℓpを隔てて入れ、その間にVボルトの電圧をかけたときの電流の強さを I アンペア、抵抗をR(オーム、Ω)とすると、オームの法則
により V = I R となります。
抵抗
R は電極の面積 S に反比例し、電極間の距離 ℓ に比例しますから、
R = ρℓ/S
(
ρ は比例定数)となります。
比例定数ρ(Ωp)は、1pの距離をおいて平行に置かれた面積1p2の電極間
内の1p3の水の示す抵抗で、電気抵抗率と言います。
この ρ の逆数 κ が電気伝導率です。
すなわち、κ = 1/ρ = ℓ/RS
(単位S/p:ジーメンス/センチメートル)です。
一般に水処理で用いられる電気伝導率は非常に低い値なので、水質試験では S/p の百万分の一の μS/p(マイクロジーメンス/センチメートル)
を単位とし、25℃の値を基準としています。この場合のκ はA式のようになります。
したがって、A式から
電気伝導率(μS/p)の数値×比抵抗(Ω・p)の数値=1,000,000となります。 …B
表1に水の電気伝導率と電気抵抗率の関係を示します。
例.電気抵抗率200Ω・pの被検水の電気伝導率は? 電気伝導率=1,000,000÷200 μS/p=5,000 μS/p
表1 水の電気抵抗率と電気伝導率との関係(25℃)
|
|
電気抵抗率 |
電気伝導率 |
| 理 論 純 水 |
18.2〜18.3×106Ω・p |
0.0549〜0.0546μS/p |
| 混床式純水装置 |
1〜18×106Ω・p |
1〜0.0556μS/p |
| 二床三塔型純水装置 |
0.1〜1×106Ω・p |
10〜1μS/p |
| 市 販 蒸 留 水 |
約0.1〜1×106Ω・p |
10〜1μS/p |
| 水 道 水 |
約0.004〜0.015×106Ω・p |
250〜66.67μS/p |
※1…理論純水の数値の範囲が広くなっているのは、電気伝導率(あるいは電気抵抗率)の計算式に用いられる実験値にばらつきがあるためです。
※2…水の電気伝導率は温度の上昇によって増加します。水中には種々の電解質が溶け込んでおり、各電解質ごとに温度上昇による電気伝導率の増加の割合は少しずつ異なっています。
しかし、その増加の傾向はほぼ同様ですので、市販の電気伝導率計では温度変化が中間的な NaCl を温度補償の基準にしているものが多いようです。NaCl
を電気伝導率計の温度補償の基準(25℃)とした場合、1℃あたり約2%程度の補償となります。JISでは温度補償の基準として KCl を採用しています。(06.2.21)
