前章では2B型と2B3T型について述べましたが、これらの型式はカチオン樹脂とアニオン樹脂の塔が別々でした。しかし、
カチオン樹脂とアニオン樹脂を一つの塔に収容
した混床式(MIXD
BED型、略してMB型)という型式があります。これに対し、2B型や2B3T型を複床式と言います。前章図1
イオン交換のシステムのハ.MB型が混床式純水装置と称されるもので、 H型強酸性陽イオン交換樹脂とOH型強塩基性陰イオン交換樹脂とを一つの塔に混合して充填してあります。
[1] 混床式純水装置
図1 混床式純水装置
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図1は混床式純水装置の簡単な概念図です。
2B型のような複床式の純水装置は2段、3段……と多数段に
なればなるほど純水の純度が高くなるのは当然です。
混床式純水装置の場合、塔内のH型強酸性陽イオン交換樹脂粒とOH型強塩基性陰イオン交換樹脂粒との無数の組合せは、塔内に小さい無数の2B型純水装置がある
のと同じことになります。それが上下に多数段繋がっているわけですから、 塔上部から流入する原水は塔内で繰り返し2B型純水装置を通過することになり、電解質がよく除去され
て処理水は非常に純度の高い純水になります。
混床式純水装置のカチオン樹脂とアニオン樹脂の組み合わせは、前記のようにH型強酸性陽イオ
ン交換樹脂とOH型強塩基性陰イオン交換樹脂との組み合わせが一般的です。この組合せ以外にもH型強酸性陽イオン交換樹脂とOH型弱塩基性陰イオン交換樹脂などの組合せもありますが、一般的でないため本文では省略しま
す。
混床式純水装置に使用される樹脂とその組合せの例としては次のようなものがあります。
@ Amberlite IR-120B(強酸性陽イオン交換樹脂) + Amberlite
IRA-400J(最強塩基性陰イオン交換樹脂:T型)
A Amberlite
IR-120B(強酸性陽イオン交換樹脂) + Amberlite
IRA-410J(強塩基性陰イオン交換樹脂:U型)
B DIAION
SK1B(強酸性陽イオン交換樹脂) + DIAION SA10A(最強塩基性
陰イオン交換樹脂:T型)
C
DIAION
SK1B(強酸性陽イオン交換樹脂) + DIAION SA20A(強塩基性
陰イオン交換樹脂
:U型)
上記の組合せのうち
AやCが一般に広く用いられています。
これよりさらに高純度の純水を必要とする場合は、@やBのような最強塩基性陰イオン交換樹脂を用いた組合せを使用します。 しかし、
@やBの組合せはAやCよりもさらに塩基性が強
いため、再生レベルが高くなり運転コストが高く なります。
純水装置の純水純度を
電気伝導率でおおよそ比較してみますと、2Bや2B3Tは10〜1μS/p(0.1〜1×106Ω・p)程度の純度ですが、混床型では1〜0.056μS/p
(1〜18×106Ω・p)と桁違いに純度の高い純水を得ることが出来ます。
[2] 混床式純水装置の再生
混床式純水装置は、性質の相反するH型強酸性陽イオン交換樹脂とOH型強塩基性陰イオン交換樹脂とを混合して使用するわけですから、それぞれの樹脂を再生
するには混合されている両樹脂を分離せねばなりません。
都合のよいことにこの両樹脂には比重差があり、強塩基性陰イオン交換樹脂は軽く強酸性陽イオン交換樹脂は重いため、塔下部から上向流で水を流すことにより容易に両樹脂を分離することが出来ます。
図2 混床式純水装置再生略図
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混床式純水装置の再生操作を図2によって簡単に説明します。
まず、最初の操作は@逆洗分離です。
塔下部から流入した逆洗水により樹脂層は膨張しながら比重の軽いアニオン樹脂が上層に、重いカチオン層は下部へと2層に分離します。
逆洗による洗浄と樹脂層の分離が終了し、樹脂層が上下両層に分かれて沈降し安定(沈整)してから次のステップに入ります。
Aアニオン樹脂の再生では塔下部より水を、塔上部よりNaOH再生液を塔内に流入させ、両樹脂層の境界に設置したコレクター(集水装置)より排水を引き抜きます。この過程で上層のアニオン樹脂の再生が行われ
ます。また、塔下部よりの水はNaOH再生液の支持水となります。
次はBカチオン樹脂再生のステップです。この工程はAのアニオン樹脂再生とは逆に下部より上向流でHCl再生液が塔内に流入し、バランスをとるため上部からは下向流で水が入り、
再生液、水ともにコレクターより排水されます。このとき下層のカチオン樹脂が再生されます。
Cのステップは洗浄工程で、塔上下より水が入り両樹脂を洗浄してコレクターより排水されます。次いで最終のD空気混合に入り、
塔内に水が入った状態で塔下部より空気を吹き込み樹脂をよく混ぜ合わせます。
実際に純水を採水するには、Dの工程後に塔上部から原水を下向流で流入させ混合した樹脂を洗浄し、所定の純度に達してから採水するのが普通です。
採水から再生を含むこれら工程のサイクルは手動で行うことも自動で行う場合もあります。
[3] 混床式純水装置の採水終点
純水の採水終点は、処理水の純度が所定の値に達したときに終わるように設定されます。純度の測定には、通常電気伝導率計(電気抵抗率計を兼ねるものが多い)が用いられます。
これは電気伝導率計により漏洩する極微量のイオンを容易に、かつ鋭敏に測定できるからです。
ところで、混床式純水装置内の@H型強酸性陽イオン交換樹脂の貫流容量とAOH型強塩基性陰イオン交換樹脂の
貫流容量において、@>Aの場合はOH型の貫流容量が少ないですからシリカが先ず漏出します。しかし、@<Aの場合はその逆となりNa+
が先に漏出します。
シリカは漏洩しても電気伝導率計で検出することが出来ませんが、Na+
が漏出する場合はOH型アニオン樹脂からのOH-
と一緒になり、結果的に処理水中にNa+
OH-
ができます。NaOHは微量でも電気伝導率に大きく影響しますから電気伝導率計で計測することが出来ます。
図3 混床式純水装置処理水純度曲線の例
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したがって、@<Aとなるようにあらかじめそれぞれの樹脂量や再生レベ
ルを決めておくと、電気伝導率計で容易に感度よく混床式純水装置の採水終点をを検出できます。このように混床式純水装置においてNa+を
シリカよりも早く漏洩させるようにする方法をカチオンブレーク法と呼んでいます。
市販の混床式純水装置の採水基準は1μS/p以下(1,000,000Ω・p以上)が一般的です。
図3に混床式の純度曲線の一例を示します。1.0(1μS/p)目盛の直線
より上部の曲線が採水時の純度曲線です。
混床式純水装置には、手動装置および自動装置があります。自動装置には採水から再生までを自動的に行う全自動型(例えばシーケンス制御による)や再生工程のみ自動で行うものもあります。
純水装置には超純水装置などさらに複雑なシステムもありますが、これらについては別の機会に述べたいと思います。(06.1.10)
