【36】イオン交換樹脂の交換容量

【U】イオン交換樹脂の交換容量
[1]イオン交換樹脂の交換容量
イオン交換樹脂のイオン交換容量を表すのには、総イオン交換容量、中性塩分解容量、貫流容量の三種類があります。

(1)総イオン交換容量

総イオン交換容量(Total Capacity 略称:T.Cap.)とは、湿潤状態(樹脂はこの状態での市販が普通)の単位樹脂量あたりのイオン交換にかかわる全部のイオン交換基数を言います。 したがって、T.Cap.はイオン交換樹脂の基本的な交換容量を表すものと言えます。通常イオン交換樹脂1mlあたりのミリ当量、すなわちmeq/ml-RあるいはgCaCO3/l-Rで表します。Rは湿潤樹脂を表します。

下記の例は代表的な市販イオン交換樹脂の総イオン交換容量(カタログ値)です。
@.強酸性陽イオン交換樹脂
 1.ダイヤイオン(DIAION) SK1B(市販時Na型)… ≧2.0meq/ml-R(=100g CaCO3/l-R)
 2.アンバーライト(Amberlite) IR120B(市販時Na型)…≧2.0meq/ml-R(=100g CaCO3/l-R)
A.強塩基性陰イオン交換樹脂
 1.ダイヤイオン SA10A(市販時 Cl 型)… ≧1.3meq/ml-R(=65g CaCO3/l-R) ※T型:最強塩基型
   ダイヤイオン SA20A(市販時 Cl 型)… ≧1.3meq/ml-R(=65g CaCO3/l-R) ※U型:強塩基型
 2.アンバーライト IRA400J(市販時 Cl 型)…≧1.4meq/ml-R(=70g CaCO3/l-R) ※T型:最強塩基型
   アンバーライト IRA410J(市販時 Cl 型)…≧1.3meq/ml-R(=65g CaCO3/l-R) ※U型:強塩基型

(2)中性塩分解容量
強酸、強塩基はNaClやKNOなどの中性塩を分解しますが、強酸性、強塩基性のイオン交換樹脂も中性塩を分解しイオン交換をします 。この強酸性、強塩基性イオン交換樹脂が中性塩を分解し、イオン交換する容量を中性塩分解容量と言います。新品の強酸性陽イオン交換樹脂や強塩基性陰イオン交換樹脂では総イオン交換容量と中性塩分解容量は同じと見なしてよいのですが、イオン交換樹脂は使用中に次第に劣化し 、一部が弱酸性、あるいは弱塩基性の交換基へと変化していきます。
したがって、使用中のイオン交換樹脂の場合、
総イオン交換容量=中性塩分解容量+弱酸性(弱塩基性)イオン交換容量
となります。中性塩分解容量の低下はイオン交換樹脂の劣化の目安にもなります。

(3)貫流容量

図3 再生レベルと貫流容量

イオン交換樹脂を樹脂筒に充填して通水するとき、通水開始から通水を終了(処理水中の漏出イオンがある決められた濃度に達し た点、、すなわち貫流点=Break Through Pointで通水終了とする)するまでにイオン交換樹脂に交換吸着されたイオンの量を貫流容量(Break Through Capacity:略してB.T.Cap.)といいます。
B.T.Cap.は、通常、使用した樹脂1リットルにつき交換吸着したイオンの量を炭酸カルシウムのグラム数に換算した値(gCaCO3/l-R)で表します。

通水終了後は、イオン交換能力を元の状態に戻す再生操作を行います。この工程を再生工程と称します。また、B.T.Cap.は使用する再生剤の量(再生レベル:Regenelation Level、略称R-L)とともに増大しますが、再生効率は次第に低下します。 図3にその様子を示します。
再生レベル(R-L)は樹脂量1リットルあたりの再生剤グラム数g/l-Rで表します。
このようにB.T.Cap.はイオン交換樹脂を樹脂筒(あるいは樹脂塔)に充填し、実際に使用する状態でのイオン交換樹脂の交換容量を表すので、実用上非常に重要な値です。
B.T.Cap.は、もしイオン交換樹脂が100%再生できるならT.Cap.(総イオン交換容量).と等しくなるわけですが、実際には上記のように再生レベルなど再生条件によって変わり、また、再生効率と経済性のことを考えあわせて決められるのでT.Cap.のように決まった値はありません。これについては後述します。

 
図4 貫流点でのイオン漏出量の変化

 

※貫流点(Break Through Point、略してB.T.P.):貫流点は、一般的にはイオンの漏出量 が図4 のように急激に 増加する点をいいます。装置を設計する際には貫流点に 達する少し手前の、ある決められた濃 度のイオンの漏出点(通常は保証値) を貫流点としています。
(04.12.15)