最近の新聞で刺激に反応する人工皮膚を装着したロボットの写真を見ましたが、そのリアルさはなかなかのものでした。また、この人工皮膚のベースになるシートには
イオン交換膜が用いられていましたが、イオン交換樹脂もこのようなものにまで応用されるようになったのかとの感慨もありました。
普通見受けられるイオン交換樹脂は「鰊の数の子」のような小さい球状ですが、その他に膜状、繊維状や液状などもあります。
イオン交換膜については
【17】電気を通さない純水を電解するで触れましたが、膜は約0.01〜0.3mm程度の厚みの薄い膜でできており、イオン交換樹脂と同じようにやはり陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とがあります。
また、イオン交換樹脂は母体が固体粒状の高分子重合体であり、湿潤状態のとき電気をよく通すことから、固体重合体電解質(
Solid
Polymer
Electrolyte:SPE)とも言われます
が、
イオン交換膜も同じで「固体重合体電解質膜」ということが出来ます。
イオン交換膜のもっとも大きな特徴は、同符号のイオンは通過できるが異符号のイオンは通さないという性質を持っている
ことです。この性質を利用して海水の脱塩、濃縮などに利用されるほか、
【17】で述べた
固体重合体電解質電解(SPE電解)など特殊な用途に利用されています。
下図に海水の脱塩と濃縮の原理を示します。
図の容器は海水で満たされていますが、この容器は陽イオン交換膜と陰イオン交換膜で小室に仕切られています。いま両極間に電気を通すとNa
+とCl
-とはそれぞれ陰極と陽極に引かれます。しかし、これらのイオンは同符号の膜は通過
できても異符号の膜は通過できませんから、A室及びC室のNa
+とCl
-は他室に移動できますが、B室にもともと存在したNa
+とCl
-及び移動してB室に入ったNa
+とCl
-は他室に移動することができ
ません。したがって、A室とC室の海水は脱塩されますが、
B室の海水は濃縮されることになります。
この原理をプラント化し、大量の海水を脱塩して飲料に供し
たり濃縮海水から製塩したりすることができます。このほか、イオン交換膜は廃棄物焼却灰最終処理での浸出液や焼却灰洗浄水の処理などに応用されるようになってきましたが、我が国はイオン交換膜及び周辺技術で世界的レベルにあり、国内はもちろん海外へもプラントや技術を輸出しています。(04.5.1)