純水は電気を通しませんから、普通の水のようにこれを電気分解することはできません。硫酸や苛性ソーダなど酸、アルカリを加えて水を電気分解すれば、これは、最早、純水の電気分解とは言えません。
しかし、1970年代初期にアメリカのGE社(General Electric)が開発したSPE電解法により、純水の電解が簡単にできるようになりました。
SPEは固体高分子電解質(Solid Polymer Electrolyte)の略ですが、SPE電解法は固体高分子電解質であるイオン交換膜を電解質として水を電解する方法です。![]()
一般によく知られているイオン交換樹脂には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂があります。陽イオン交換樹脂には酸型(H型)と塩型(例えばNa型)があり、陰イオン交換樹脂には塩基型(OH型)と塩型(Cl型)があります。
これらのイオン交換樹脂は母体が水に不溶の固体粒状の高分子重合体であり、水中で電離して、それぞれ酸、アルカリ(塩基)や塩としての性質を示します。また、湿潤状態ではよく電気を通すことから、固体高分子電解質とも言われるわけです。
したがって、酸性度の強いH型強酸性陽イオン交換樹脂は、水に溶けない固体粒状の強い酸であると言えますし、OH型の陰イオン交換樹脂は、水に溶けない固体粒状のアルカリであると言えます。通常見受けられるイオン交換樹脂は「数の子」のような球状ですが、その他に膜状、繊維状や液状などもあります。SPE電解法に用いられる固体高分子電解質としては、このうち膜状のイオン交換樹脂、すなわちイオン交換膜が用いられます。イオン交換膜は0.3mm位以下のごく薄い膜が多く、やはり強酸性陽イオン交換樹脂膜と陰イオン交換樹脂膜とがあります。
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SPE水電解法の原理
SPE電解法では、上述のように酸やアルカリなど電解質溶液の代わりにH型のイオン交換膜が用いられます。 下図にSPE水電解法の原理を示します。
イオン交換膜にはスルフォン酸(-SO3H)型の強酸性陽イオン交換樹脂が用いられ、通常この膜の両面に多孔質の電極が直接接合されています。これらの電極には、白金族の金属やその合金、あるいはその酸化物などが用いられます。
この電極用イオン交換膜は、耐熱性、耐酸化性などの点からフッ素樹脂系の膜が良いとされ、製品としてはデュポン社(アメリカ)のナフィオン(NAFION)などがよく知られています。純水は不良導体ですが、両極間に直接電圧をかけると、まず膜中のスルフォン酸基(-SO3H)のH+が陰極に移動し、 それを補うようにして陽極で発生したH+が次々と流れ電流が流れることになります。陰極に移動したH+は電荷を失いA式のように水素を発生します。
陽極では@式のように純水が電解されて酸素を発生し、また、生じたH+は上述のように膜中を移動して陰極に移動します。このときの電解電圧は水の理論電解電圧である1.23V(25℃)より高くなります。
陽極 : 2H2O → O2↑+ 4H+ + 4e- …@
陰極 : 4H+ + 4e- → 2H2↑ …A

※.給電体:電源につながる極板から電極に電流を通す役割を持ち、また、純水の通り道にもなっています。(1999.3.21)
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