大河ラインのように数カ国をその流域に持つ国際河川は、我が国のように一国だけの河川とは異なり、関係各国間の取り決めによる水質の規制があり ます。各国ともその遵守に努力していることは勿論ですが、それでも中流から下流にかけて汚濁が多くなることは否めません。そこで、中、下流のドイツやオランダでは、自然の浄化能力を利用した地下浸透法が浄水方法として水道に取り入れられています。ドイツやオランダの浸透池法や砂丘浸透法がその例です。
浸透池法とは、河川沿いの地域に設けた貯水池(浸透池)に河川水を導き、そこから水を地下浸透させて水を浄化する方法です。地下浸透による水の浄化の原理は、浄水場で用いられいる緩速濾過法と同じ原理によるもので、土壌中の微生物の働きによるものです。
下図は浸透池法の簡単なイラストです。

まず河川水を浸透池に揚水して貯水し、そこから水を地下に浸透させます。次に浸透させ地下水として涵養した水を井戸から汲み上げ、さらにこれを浄水場に送り水道水とします。砂丘浸透法も基本的な処理の仕方は浸透池法と同じですが、オランダのアムステルダム市の砂丘浸透法は有名です。
アムステルダム市での方法は、まずライン川の水を通常の急速濾過で前処理をし、処理水を約60キロメートル離れた砂丘まで送り、ここで移送してきた水を砂丘に浸透させます。そして約2ヶ月後に浸透水を地下水として取り出し、浄水場で急速濾過、緩速濾過、塩素消毒を行っています。
またオランダ南部を流れるマース河沿いの地方では、深刻な地下水位の低下による飲料用地下水汲み上げ規制に対処するため、壮大な浸透池法による飲料水づくりの計画が進められています。
計画水量は年5000万トンで、1.8平方qに及ぶ浸透池一帯は自然保護地域に予定されており、地下に浸透した水は8ヶ月間地下水として涵養された後浄水場に送られるそうです。(1998.9.4)