【11】湖水の変化

日月たん(台湾)

日月潭(台湾)



 

湖沼やダムの水は上水道や工業用水の水源として大量に使用されますが、水質の変化も河川水に次いで比較的大きくなっています。

湖沼水やダムなどを水源とする浄水場では、春から夏にかけて濾過池や濾過装置が閉塞したり、処理水(水道水)にいやな臭いや味がつくことが多くあります。また、秋には忽然として水中に鉄やマンガンが出現することもあります。

これら水源となる湖水には、年間を通じて夏期、冬季の湖水停滞期と、春期、秋期の湖水循環期があります。気温が比較的安定している夏期や冬季には、温度的に水層が成層化し湖水が安定しています。
例えば、夏期には湖面から湖底へと水温が下降し、冬季にはその逆となって湖水が温度的に成層し安定しています。この間、湖水は停滞して動きません。このような状態を湖水の停滞期と言います。

 
湖水の停滞と循環
  12月〜3月   冬季停滞期
  3月〜4月   冬季部分循環期
  4月頃   春期全循環期
  4月〜8月   夏期停滞期
  8月〜11月   夏期部分循環期
 11月〜12月   秋期全循環期
  しかし、気温が変化する春、秋には、湖水表面の水温の変化によって対流を生じ、湖水は大きく循環することになります。

この期間を湖水の循環期と言います。さらにこれを細分化すれば、循環期は部分(小)循環期と全(大)循環期に分けられます。これをまとめたのが 左の表です。











 


忽然と出現する鉄イオンやマンガンイオン
   


A.春〜夏の湖水停滞期 微生物の繁殖
「春〜夏の湖水停滞期」説明図

春から夏にかけて湖面近い表層水中には、藻類を主とする微生物が繁殖します。特に、環境汚染により富栄養化した湖沼やダムでは藻類が大発生します。
そして、そこを水源とする浄水場では濾過池の目詰まりがひどくなったり、藻類自体やその死骸からでる異臭味が大きな問題となります。


B.夏から秋へかけて 微生物の死骸沈積
「夏〜秋の湖水停滞期」説明図

春〜夏にかけて大発生した藻類や微生物などが夏から秋にかけて死滅し、死骸が湖底に堆積するとそれが腐敗し湖底水中の溶存酸素は消費されて嫌気性の腐敗が始まります。
このような状態になると水に異臭味がつき、湖底は還元状態になります。


C.秋の湖水循環期 鉄やマンガンが検出される
「秋の湖水循環期」説明図
 


湖底が還元状態になると、底土中に含まれる鉄やマンガンがFe2+やMn2+のようなイオンとなって湖底水中に溶けだしてきます。
やがて秋期の湖水循環が始まると湖底水が湧出し、異臭味のある水や鉄、マンガンのイオンが忽然として湖水表層中に出現するということになります。
同じような現象は、新設したダムなどの湖底に草木が大量に残されたときなどにも見られますが、理由は同じことです。

(1998.8.23)