
現在の水道普及率は96.6パーセント(平成13年3月31日現在)となっています。我々の日常の生活にとって欠かすことの出来ない水道水は、水道法による 「水質基準」によってその水質が規制されています。
水道法は昭和32年に制定され、 33年には同法に基づく水質基準が定められました。その後、水質基準は何回かの見直しが行われましたが、平成4年12月21日付で大幅な改訂が行われ現在に至っています。
水質基準は、水道水の衛生的安全を第1とし、また、日常の生活や一般の産業用水として差し支えないように、水中の成分や色、濁りなども規制しています。
現在の水質基準は46項目あり、味や臭いについての項目もありますが、「異常 でないこと」と言う表現であり水のおいしさ、まずさとの関係について特に触れていません。
しかし、消費者が求める質の高い水道水に対応するため、水質基準を補完するものとして「快適水質項目」が設けられ、これには色、におい、濁り、味覚などに関して13の項目が あり、それぞれに目標値が定められています。
また、現状での基準化は必要ないが、将来増加の懸念がある35項目に対し、「監視項目」として水質の指針値が設けられています。我が国で水の味が特にマスコミに大きくとりあげられたころ、厚生省は「おいしい水研究会」から次のような「おいしい水の要件」を発表しました。
| 蒸 発 残 留 物 | 30〜200 mg/l |
| 硬 度 | 10〜100mg/l |
| 遊 離 炭 酸 | 3〜30mg/l |
| 過マンガン酸カリウム消費量 | 3mg/l以下 |
| 臭 気 度 | 3以下 |
| 残 留 塩 素 | 0.4mg/l以下 |
| 水 温 | 最高20℃以下 |
※ 蒸発残留物 : カルシウムやマグネシウム、ナトリウムやカリウム、鉄やマンガンなどの鉱物質、いわゆるミネラル分が大部分を占めます。ほどよく含まれると水の味がまろやかになりますが、多くなると水に渋みや苦み、あるいは塩味を感ずるようになります。ただし、鉄やマンガンは俗に「カナケ」と言われる異臭味を水に与えます。※ 硬度成分 : カルシウムやマグネシウム分のことでミネラルの主要成分ですが、これが不足すると水の味のまろやかさが失われます。硬度成分のない軟水がこの例で、 おいしくありません。
※ 遊離炭酸 : 水に溶けた炭酸ガスのことで、これが水にたくさん含まれると、サイダーなどの炭酸飲料と同じように水に清涼感を与えます。
※ 過マンガン酸カリウム消費量 : 水中の有機物濃度の指標になる数値です。これが多いと水にカビ臭などの異臭味を 与えます。
※ 臭気度 : 測定しようとする水を無臭の水で希釈し、無臭になったときの希釈倍数を言います。特に「カビ臭」や「ドブ臭」が問題になります。
※ 残留塩素 : 水中に残っている、消毒用に使用され た塩素の量です。水道水は必ず塩素で消毒しますので、多くの人はこの臭いになれているようです。しかし、水中にフェノールなどがあれば、それと反応して悪い異臭味をもつようになります。
※ 水温 : 水温は特に水のおいしさを左右する要因となります。冷たい水のおいしさは格別です。10〜15℃の水は、人に最も清涼感のあるおいしさを感じさせると言われています。
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水は全く何も含まれない純水がおいしいかと言うと、これが全然おいしくありませんし、かえって常用すれば体に悪いと言われています。硬度成分のない軟水も同様です。上の表からも分かるように、水の味はそれに含まれる成分とそれらの間の微妙なバランスによって決まります。常温ではまずいとされた水道水も、10〜15℃ぐらいの温度では、市販のミネラル水より おいしいという結果のでた「きき水の会」が結構多くあったと、当時のマスコミは伝えています。
水の味も他の食物の味と同じく多分に感覚的なところがあり、人によって多少異なるばかりではなく、温度や気象条件、体調、その時の気分などによってもある程度左右されます。
このように見てくると、結局、100人中96人が飲んでいる日本の水(水道水)は、まずい水の要素(カビ臭やドブ臭、カナケによる異臭味など)を除去し、適度の冷たさに保てば おいしい水になると言ってよいのではないでしょうか。
厚生労働省の発表によれば、水道水の異臭味被害人口は減少してきており、例えば平成11年度を5年前のそれに比べると1/10以下に減っているそうです。これは高度浄水処理の効果や下水道の普及率(平成12年3月末62%)の増加、その他諸対策の総合的な結果によるものと思われます。
一方ミネラルウォーターはその需要が年々拡大しており、最近では最早我々の日常生活の中に定着したと言えるようです。 しかしできるならば、近い将来再び、水道水は冷やして飲めばおいしいというのが当たり前の世の中になってほしいのですが。(1998.5.3)