【5】理論純水より純度の高い?水

霜
   
美しい霜の結晶




理論純水より純度の高い水なんてあるはずがないでしょう。そうです。あるはずがありません。ところが、水の純度の代表的指標である 電気伝導率が理論純水より低い(電気抵抗率の高い)水があるのです。
今25℃の理論純水の電気伝導率を 0.055μS/pとします。この理論純水に水酸化ナトリウム(苛性ソーダ.NaOH)を少しずつ加えていきますと、電気伝導率は次第に低下して NaOHが約0.73ppbのところで最小になります。
さらにNaOHを加えていきますと、電気伝導率は反転して上昇し始め約 1.6ppbの濃度で理論純水と同じ0.055μS/pになり、その後は増加し続けます。
NaOHが 0.73ppbのときの電気伝導率は約0.0542μS/pです (下図参照)。
※…ppm:parts per millionの略で100万単位重量中の単位重量数。g/ton、mg/kgと同じことです。水の場合1リットルを1キログラムとしてよいですから、実用上  mg/l=ppm として計算します。
※…ppb:parts per billionの略で、10億単位重量中の単位重量数。ppmの1/1000。実用上μg/l=ppbとして計算します。
 
   「理論純水より純度の高い水?」説明図
このような現象が起こるのは、水素イオン(H)の電気伝導率が水酸化物イオン(OH)の電気伝導率に比較し、約1.75倍大きことによります。 ※…理論純水は、ごくごく僅かですがその一部分が電離して水素イオンと水酸化物イオンに解離しています。
H2OH++OH- ……(1)   [H+]・[OH-]=Kw ……(2)   Kw=1.01x10 -14(25℃)
理論純水中の水素イオンと水酸化物イオンは、水だけが電離しているので同数であり、25℃で1リットルの理論純水中には1.0X10−7 モル(6.02X1016)のH+OH-が存在します。
[H+]は水素イオンの濃度、[OH-]は水酸化物イオンの濃度で、両者を掛け合わせた [H+]・[OH-]は一定であり、これをKw(水のイオン積と言います)で表します。
したがって、理論純水にNaOHを加えれば、(2)式によってHは減少しOHは増えます。 このときのHの減少とOHおよびNaの増大、 またそれぞれのイオンの電気伝導率の違いによって理論純水の電気伝導率より低い電気伝導率の水ができるわけです。
理論純水より純度の高い水があるのではなく、電気伝導率の低い水があると言うのが正しいことになります。
また1.0X10−7mol/lの濃度のH+の電気伝導率は0.035μS/p、 OH-の場合は 0.02μS/pです。
両方を加えれば0.055μS/pになり、これは理論純水の25℃のときの電気伝導率です。(1998.5.3)
   

            
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