第10回目『HOW TO PLAY』は、前回からの続きでDON氏のコードフォームにおける特徴的な部分のお話です。特にベンチャーズの楽曲でもよく出て来る“E7”のコードと“9th”のコードを、DON氏がよく使うパターンで考察してみましょう。
●DON氏が使うシェイクハンドグリップでの“E7”
これまでにDON氏がハイポジションでコードを押さえる時は、ほとんどが人差し指で1弦から6弦までセーハ(バレー)するコードフォームであると書いて来ました。当然“例外”もあるわけで、DON氏にしては珍しく“シェイクハンド・グリップ”でコードを押さえる場合もあるのです。その代表的なコードに“E7”のコードフォームがあります。ベンチャーズの楽曲の中でも数多くに出て来るこの“E7”のコードですが、DON氏の場合は3通りの押え方でほとんどの曲に対応しています。まず第一にローコードの“E7”(画像1)、そして7フレットをセーハ(バレー)するハイコードの“E7”(画像2)、最後に“シェイクハンド・グリップ”での“E7”(画像3)です。
(画像1)
(画像2)
(画像3)
この3種類の押え方で、最も“E7”を意識させているのが画像3の“E7”です。何だか変な書き方ですが、前回お話した『E7なのにE7で弾かない』をDON氏が選択している場合(笑)、画像1と画像2のコードフォームは、どちらも“E”で弾かれるわけで、そして実際に“E”で弾いている場合も少なくないのです。理論的な事を書くと混乱してしまうし、DON氏がなぜ譜面上“E7”の箇所を“E”で弾いているのかは、本人しかわからないのでここでは書きませんが(笑)、画像1のローコードなら、ここにプラス4弦2フレットを薬指で押弦すればEになりますし、画像2のハイコードの場合なら3弦9フレットを押弦すればEになります。しかし画像3のコードフォームでは、大きくフォームを変えないとEのコードにすることは出来ません。よって画像3のコードフォームで弾いている時のコードは間違いなく“E7”なのです(笑)。
“E7”に限らず、このセブンスコードというのはブルースには無くてはならないコードです。セブンスの音を加える事により、よりブルージィーな響きを出す事ができるので、DON氏の場合は音楽理論のような頭で考える事ではなく、『この曲のこの部分では、セブンスの響きが必要だ』と言うように、体で感じて、意識的にセブンスコードを弾いているように思えるのです。ですからこの画像3のフォームの“E7”で弾かれている曲の場合は、我々も同様に弾かなければいけないのです(笑)。このフォームでは3弦の7フレット、小指で押さえている音が“7th”です。この音が欲しい為に、いつもの『1弦から6弦までを鳴らし切る』コードフォームを捨てて(笑)、シェイクハンド・グリップのコードフォームになっているわけですが、実は6弦も1弦も開放弦は“E”ですよね。通常、このフォームの時は6弦、1弦共にミュートする場合が多いようですが(画像でも6弦は親指でミュート状態ですね)、開放弦が“E”ならば、鳴らしてもコードの構成音的には間違っていません。よって、シェイクハンド・グリップでも実際は全ての弦を鳴らし切る事が出来るというわけなのです。特に6弦の開放はギターの1番低い音ですから、思い切ってこの低音も鳴らしてしまいましょう(笑)。結構DON氏は、このコードフォームでのサウンドがお気に入りなのかもしれませんね。
もうひとつ、この“E7”は5〜7フレットを押さえるコードなので、KeyがAやAmの曲を演奏する時に、フレット間をコードで行き来しないですむという事もあるでしょう。AでもAmでも、ハイコードなら5フレットセーハ(バレー)のコードフォームですが、これらのKeyで他によく出て来るコードはDやDm、そして“E7”です。DもDmも、5フレットセーハ(バレー)のコードフォームで押さえる事が出来ますから、こういった場合ならグリップ位置を変えることなく、また、視線を指板に向けなくてもコードチェンジが容易に出来、演奏も楽になります。
●DON氏が使う“9th”コード
次に“9th”コードです。正確には“□7”に“9th”を加えたコードになります。これは代表的な曲に皆さん御存知の『キャラバン』がありますね。『キャラバン』では“E9”となるわけですが、押え方は(画像4)のようになります。2弦7フレットの音が“9th”です。慣れていないと押え辛いコードフォームかもしれませんが、特にこの“9th”の音と、3度の音である4弦6フレットの音がしっかり出せるように練習してみてください。
(画像4)
その他に“9th”コードを使っている曲と言えば『ワイプアウト』や『ブルーシャトー』、『さすらいのギター』等があります。『キャラバン』と『ワイプアウト』については、他の点も交え、それぞれの曲で後日取り上げたいと思っているので、今回は『ブルーシャトー』と『さすらいのギター』での“9th”コードについて書いてみます。この2曲ですが、両曲共に“9th”コードが同じように使われています。どう同じなのかと言うと、“7thとの絡みで9thを使う”という点です。また意味が分りませんね(笑)。実際にコードを示しましょう。まずは『ブルーシャトー』のメロディー(♪森と〜泉にぃ〜♪ の部分)からです。
Am_ _ _E7_E9_Dm_ _ _E7_E9_
Dm_ _ _Am_ _ _E7_E9_Am_ _ _
続いて『さすらいのギター』の、B♭に転調してからのコードです。
B♭_ _ _ _ _ _ _F7_ _ _ _ _ _ _
F7_F9_F7_F9_B♭_ _ _ _ _ _ _
“_”は1拍を表しています。ただし、“E7_E9_”の箇所及び“F7_F9_”の箇所は、この通りだと2拍づつという事になってしまいますが、実際には最初の“E7(F7)”が1拍半、次の“E9(F9)”は2拍目の裏から食って入り、1拍のシンコペーションへ続くように弾いています。更に『さすらいのギター』の場合は最初の“F7”の1拍半は16分カッティングで弾く事も多く、無理矢理文章にすると“ジャカジャカジャッ♪ジャァ〜ララン・ジャカジャカジャッ♪ジャァ〜ララン”となります(笑)。“ジャカジャカジャッ”の部分が“F7”、“ジャァ〜ララン”の部分が“F9”となるわけです。これら“□7”と“□9”のコードを連続して弾く事はDON氏のよく使うパターンです。『キャラバン』の場合は先に“□9”から“□7”へ行くパターンもあるのですが、どの場合も基本のコードは“□7”であり、“9th”というテンションの音を加える事により、DON氏は意識的にサウンドに変化を付けている事が分ります。『ブルーシャトー』などは「なんか無理矢理って感じ?」とも言えなくはないですが(笑)、ここを普通にE7のまま弾いてしまうと、やっぱり何か物足りない・・・(笑)。まぁ何にしろ、この“9th”コードはベンチャーズを演奏するのに大変重要なコードでもありますから、しっかり弾けるようにしておきたいものですね。
いかがでしたでしょうか。このあたりは御存知のV-fanも多かったとは思いますが・・・(苦笑)。ではまた!