第1回目の“How To Play”は、楽曲を取り上げる前に“ベンチャーズサウンド”とは何ぞやという部分から始めましょう。御存知であろうと思われる用語については説明無しで記しますので、もし解らない場合は、BBSにでも書き込みお願いします。
まず、ベンチャーズのサウンドとして特徴のある部分とはどういった所でしょうか。
やはりグルーヴ感、ドライヴ感ではないでしょうか。また、非常に叙情的な部分もあると思います。もちろん、これはプロフェッショナルであるメンバー個々のテクニックや経験、信頼関係が高いレベルにあってこそ生み出されるものであるのは間違いありません。
もっと単純に考えてみましょう。例えば……
●歌がない
●ウン、タタ、ウン、タンというリズムが多い
●テケテケテケというギターがカッコイイ
●リズムギターの音が大きい
●ベースギターのフレーズが細かい
●曲に抑揚がある
……等でしょうか。『そんなの解っているよ』と言わないでください(笑)。あたりまえのことが以外と難しかったりするものなのです。
私は今までベンチャーズコピーバンド以外のいくつかのコピーバンド(ジャンルもパートも違っていました)に参加した経験があるのですが、今も変わらぬ考えとしてコピーバンドを演るなら“とりあえず、そのバンドとなるべく同じ機材を手に入れる”というのがあります。私はここからが第一歩だと考えています。プロの使用する機材は高価で、例えばオールド物であったり、特注(シグネチャーモデル)だったり、改造してあるものであったりと、予算的に手の届かないもの、物理的に手に入らないものが多いのは事実ですが、可能な限り近い機材を手に入れれば、コピーするバンドのサウンドにより近付ける事ができるでしょう。
とは言っても、“あまりにも的はずれ”でなければ何とかなるものです。ベンチャーズをプレイするのに“フルアコ”のギターを使ったり、6弦ベースを使ったり、バスドラが26インチもあるような大口径のセットを叩く人はいないでしょう。単純に“ベンチャーズをプレイする”のであれば、これはこれで“アリ”なのでしょうし、意外と面白いかもしれません(笑)。しかしここでは実際にベンチャーズのサウンド“っぽい”サウンドを目指してみようと思っていますので、出来るだけ彼等の使用して来た物に近い機材を用意していただきたいと思います。
まず楽器に関してですが、65年〜66年頃のベンチャーズサウンドに『モズライトギター』は必要不可欠です。『モズライトギター』があの時代のベンチャーズサウンドを作っているといっても過言ではありません。この時代のベンチャーズサウンドを求めているのであれば、モズライトギターを手に入れなければ厳しい物があります(笑)。しかも、できればその当時のモズライト。オールドのモズライトと言う事です(笑)。詳しくは書きませんが、やはり追求して行けば行く程、どうしてもオールド・モズライトのサウンドでなければ出せない部分があるようです。まあ、これはあくまで“究極”の話しでもあり、いわゆる『モズライト』と言われるギターであれば、“その気”にもなれますし(笑)、目標である“っぽいサウンド”も出せると思っています。そしてフェンダー社の真空管アンプを大音量で鳴らしてください。これならほとんどの方が『うひひ・・・♪』となるはずです(笑)。
現在のベンチャーズサウンドを追求なさるのなら、手っ取り早いのがアリアのベンチャーズ・モデルを揃えてしまう事です(笑)。近年のベンチャーズサウンドは、あまり歪ませないクリーン・トーンになって来ていますから、アンプはローランドのジャズコーラスや、フェンダーのツインリヴァーブあたりでも“っぽく”なりますし、選択肢は多いと言えるでしょう。その他にもストラトキャスター、ジャズマスター、ジャズベースも無難なところだと思いますし、ノーキー時代のサウンドならテレキャスター、プレシジョンベースなんかも良い選択でしょう。ベンチャーズは他にSGやレスポールスタンダード(いずれもギブソン社)、バイオリンベース(ヘフナー社)等も使用しましたが、まずベンチャーズサウンドとしてファンが思い浮かべるのは、モズライトサウンドとのシングルコイルソリッドギターの音ではないでしょうか。特にジャズマスターは初期ベンチャーズサウンドでも多く耳にする楽器ですので、1本持っていればいろいろと楽しめます。
インストのバンドでありがちなのは、リードギターのプレーヤーばかりが目立ってしまうというものです。しかし、ベンチャーズというバンドはメンバー全員が主役であり、個々に重要な部分を受持っているように感じます。自己主張が強いだけだとバンドとしてのまとまりが無くなり、ただの大音量バンドになってしまいますが、『出す所は出し、退くところは退く』といった絶妙なバランスがベンチャーズの素晴らしい部分ではないでしょうか。この点にもぜひ注目していただきたいと思います。そしてこれこそが、ベンチャーズのコピーバンドの醍醐味なのではないでしょうか。
パート別に特徴をお話しします。
■リードギター
ベンチャーズではご存じのとおり現在まで3人(ボブ・ボーグル氏を入れて)のリードギタリストが存在します(正確にはボブ・スポルディング氏も入れて4人ですが・・・)。まずボブ・ボーグル氏ですが、彼のプレイは初期の音源で聴くことができます。ほとんどがジャズマスターのセンターピックアップの音で、コードを押さえたままのフレーズが多いのが特徴です。極端に難しいフレージングやトリッキーなプレイをしている曲はありませんが、ピッキングのタイミングやアーミングに独特の雰囲気を持っていて、サウンドメイクよりもその雰囲気を出すのが難しそうです。次にノーキー・エドワーズ氏ですが、カントリースタイルのすばらしいフレーズを数多く楽曲の中に残しています。フラットピックでのプレイもサムピックでのプレイも得意とし、曲によっては難易度が相当高くなります。若干、“ツッコミ気味”に弾くのが特徴でしょうか。モズライトおよびテレキャスターでの音が私は好きです。そして最後にジェリー・マギー氏ですが、ケイジャン・ミュージックで育ち、ブルースやカントリーをルーツに持つ彼のスタイルが前面に出ていて、また違った雰囲気です。サムピックでのプレイがほとんどの為、慣れていない方にはとても難易度は高くなってしまうでしょう。ストラトキャスターでのプレイが多く、ほとんどピックアップはレースセンサー、もしくはバーマグネットのものに替えており、ディレイ、コーラス等のエフェクター等も積極的に使用しています。また、ピックアップのセレクターも曲によって頻繁に切り替えるなど、音作りにも非常に繊細な部分が見られます。
■リズムギター
こんなプレーヤーを私はドン氏以外に知りません!
決して“サイドギター”ではないのです。“リズムギター”なのです。そのくらい存在感があり、ベンチャーズサウンドの“影の核”になっているのがドン・ウィルソンなのです。彼のカッティング技術は素晴らしく、16分の高速カッティングはもちろん、シンコペーションの使い方やアップピッキングの使い方が絶妙且つ正確です。しかも80年代に流行った様な“軽い”カッティングではなく、“パワフル”カッティングなのです。是非、きき腕を鍛えまくってください!ヤワな体では彼のプレイを真似することはできません。そして何と言っても“テケテケ”!これについては別にコンテンツを設けておりますので、そちらをどうぞ!
■ベースギター
ベンチャーズの面白い部分でもありますが、“ボブ氏がリードギターを担当する場合、リードギタリストがベースを担当する”というのがあります。この場合はあくまでルート音を追ったシンプルなフレーズに終止します。もちろんピック弾きです。しかし、ボブさんの本職(現在では)であるベースにおいては結構タフなフレーズが多く聴かれます。基本的にはピック弾きですが、そのフレーズはリードギターさながらの細かく、速いフレーズも多く、なかなかコピーするのは難しいかもしれません。『テルスター』等は、彼のように弾けるかどうかで決まってしまう曲の代表的なものでしょう。また、LIVEでボブ氏が指弾きを披露しているのを私は見たことがありませんが、アルバム『ラテン・アルバム』でのいくつかのプレイは指弾きであるように思います。
■ドラム
ベンチャーズ及びサーフサウンドの2拍目、2拍目裏、4拍目にスネアが入る特徴的なリズムは、譜面通りにただ叩く分にはそれ程難しくはないのですが、“ベンチャーズっぽく”聴かせるのは、実はとても難しいのかもしれません。それはタイム感であったり、叩き方そのものであったりするのですが、私もまだ完璧には把握できていません(苦笑)。また、メル・テイラー氏が他界後、リオン・テイラー氏が現在のベンチャーズのドラマーですが、親子であっても、当然ですが叩き方やニュアンスは違っています。是非この2人を“叩き分けられる”レベルまで頑張ってください(笑)。4拍目のスネアのリムショットや、『ワイプアウト』でのソロ部分におけるアクセントの付け方等は、“っぽさ”を強調出来る箇所かもしれません。更に曲中によく出てくるシングルストロークの“ツブの揃い方”も、特にメル氏は特徴的です。きれいにツブが揃っていて繊細で、それでいてパワーがあるメル氏のシングルストロークは驚異的でもあります。ドラマーの方は大変でしょうが是非マスターしていただきたいです。
さあ、みなさん、偉大なロックグループ“ザ・ベンチャーズ”をコピーしましょう!必ず役にたちます!(?)