高森 千穂のページ

創作児童文学への想い



創作児童文学との出会い
創作児童文学との別れ
創作児童文学との再会
そして児童文学の創作へ
児童文学受賞歴
児童書の出版
三冊目とアンソロジー
四冊目はエンターテイメント
五冊目は続編
六冊目は課題図書!
新聞連載

ホームへ戻る

創作児童文学との出会い〜今西祐行「ねことオルガン」〜

 子どもの頃、私は本がとても好きでした。特に小学校4年生ぐらいまで、小学校低学年から中学年向きの創作児童文学や、世界名作物語の抄訳版を、図書館から借りて、片っ端から読んでいました。図書館は自宅から少し遠いところにあったのですが、当時は「移動図書館」と言って、ワゴン車に本を積んで、月に何回か近所を廻ってくれたのです。「移動図書館」がやってくる時に流れるメロディー、今でも耳に残っています。

 幼い頃に夢中になって読んだ本って、大人になってもはっきりと内容を覚えているものです。松谷みよ子さんの「竜の子太郎」「ももちゃんシリーズ」「ふたりのイーダ」など、文章まで覚えています。特に「ももちゃんシリーズ」で、ももちゃんの両親が離婚してしまう場面など、子ども心に鮮烈で、この本を読んで「離婚」という事実を知ったし、また「どうしてお父さんはこんな寂しい思いをしてまで、離婚をしなくてはならないのだろう」などと思ったものです。

 小学校2年生の時、初めて泣いた本が今西祐行さんの「ねことオルガン」。ノラの小猫が、同じくノラのおじさん猫に助けられて、最後には暖かい家庭に引き取られて幸せになる、というストーリーです。この本は今でも販売されていますので、数年前に購入しましたが、大人になっても泣けるんですよね。「ねことオルガン」を手に取るたびに、幼い頃の自分に出会える気がして、不思議な気分になります。
 「フランダースの犬」「母をたずねて三千里」「小公女」「小公子」「小鹿物語」「秘密の花園」などなど、のちに名作としてアニメになった作品の原作(ただし抄訳版でしたが)を読んだのもこの頃です。「小公女」のようなシンデレラストーリー、「秘密の花園」のようなミステリータッチの物語に、おおいに胸をときめかせました。 トップへ

創作児童文学との別れ〜手塚治虫「バンパイヤ」〜

 ところが小学校高学年になると、中学受験のために塾へ通い出して忙しくなり、とんと読書をしなくなりました。同時にその頃から「少年マンガ」にのめり込み、そのまま中学校へ入学、児童文学からはすっかり遠ざかってしまいました。勉強って、読書の敵だよなぁ、と今でも時々思います。もしあの時、中学受験をしなかったら、そのまま文学少女にでもなったかもしれないのに。

 でもマンガの影響は無視できないですね。物語といえば児童文学しか読んだことのなかった私が、ある日、通院していた耳鼻科の待合室で見つけたマンガ……手塚治虫さんの「バンパイヤ」。狼少年の話で、「満月を見ると狼に変身する」という物語設定といい、人間の善悪を浮き彫りにしたストーリーといい、それまでの私の狭い「常識」なり「世界観」なりを、完全に覆すものだったのです。「世の中には、こんな物語が存在したのか!」と、目から鱗が落ちる思いがしました。

 それ以来、私の興味は児童文学を離れ、少年マンガへと一直線に進みました。もしあの時、「バンパイヤ」を超えるような世界観をもった児童文学に出会っていたら、また違った人生を歩んでいたかもしれません。 トップへ

創作児童文学との再会〜古田足日「雲取谷の少年忍者」〜

 中学時代、そして高校2年生まで、このような感じで、私はどっぷりと少年マンガの世界にひたっていました。ただしあくまでも「少年マンガ」で、同じマンガでも「少女マンガ」はほとんど読みませんでした。つまらなかったんです。少女マンガは恋愛物が中心だったから。おそらく、スケールの大きな少女マンガもあったと思うのですが、「恋愛物」という先入観から、ずっと避けていました。

 高校2年生の春。私は朝日ソノラマ文庫に出会いました。少年向けの、エンターテイメント系のSF文庫です。清水義範さんの「エスパー少年シリーズ」。「宇宙史シリーズ」。夏文彦さんの「戦国少年隊シリーズ」これらも、当時の私にとって、まさに「目から鱗」の本でした。マンガじゃないのに、マンガのような世界観、そして面白さをもった小説がある! そして、同じ内容ならば、読者の自由度の高い小説の方が、マンガに比べてはるかに面白い!マンガばかり読んでいた私には、ひどく新鮮に感じられました。この頃から、マンガをつまらなく感じ始めるようになりました。マンガからエンターテイメント少年小説へと、読書傾向が変わっていったのです。

 そして、フォア文庫から刊行されていた、古田足日さんの「雲取谷の少年忍者」。この作品が、私の人生を変えました。22歳。その時私は、すでに十分「大人」になっていました。
 もともと忍者物が好きだったので、本屋でこの本を見つけた時、「子ども向きの忍者か。読んでみようかな」ぐらいにしか思わずに手にとったのですが、実際に読んでみると、忍者を題材としていながら、人間としての生き方を掘り下げた本でした。「忍者」から「侍」になろうとする上昇志向の兄と、「忍者」から「百姓」になろうと、堅実な人生を歩む弟の物語──子ども向けの本で、なおかつ「忍者」という卑近な題材を使っていながら、こんなにも深い世界を描けるものなのか。大変な衝撃でした。
 「これこそが私が求めていた世界だ!」私は手当たりしだいにフォア文庫を読み漁りました。その後は偕成社文庫へ、それからハードカバーの児童文学本へ。気がつくと、すっかり児童文学の世界にのめりこんでいました。 トップへ

そして児童文学の創作へ〜石森章太郎「小説・サイボーグ009」から〜

 私が「物語」らしき物を書き始めたのは、中学2年生の時です。当時、たまたま友人から借りて読んだ石森章太郎さん(のちに石ノ森章太郎さんと改名。1998年没)の「小説・サイボーグ009」に触発されて、009の続編らしき物を書き始めました。要は「パロディ」です。「サイボーグ009」といえば、サイボーグ戦士たちの哀しみを描いた非常に有名なSF少年マンガです。それなのに、マンガではなく小説版を読んで触発された、というのも面白いですが、まだ「アニメのパロディ=アニパロ」なんて認知されていない時代に「アニパロ」を書いていたなんて、我ながら面白いものです。(余談ですが、この本は数年後、くだんの友人から「そんなに好きならあげるわ」と言われて譲り受け、今は私の手元にあります)

 しばらくは、当時流行っていた水島新司さんの「ドカベン」等のアニパロ小説を気ままに書き綴っていましたが、前述どおり、朝日ソノラマ文庫に出会ってからは、ジュブナイルSFとか、忍者小説をオリジナルで書くようになりました。

 書いていた物が「小説」と呼べるような代物になったのは、ちょうど児童文学と再会した頃です。それまで自分の書いていた物は「エンターテイメント少年小説」ぐらいにしか思っていなかったのですが、児童文学が「私の求めていた世界」と気づいたのと同時に、書き綴っていた自分の物語世界が「児童文学」に位置づけられる、と気づきました。私が今まで漠然と書いていたもの、自分の作品がいったい何のジャンルに属するのか……そんな不安な心に差し込んだのが「創作児童文学」の文字でした。アニパロでもない、エンターテイメントでもない、私が書きたかった世界は「創作児童文学」だったのだ。自分の居場所を見つけたような思いがしました。

 書きたい世界が「創作児童文学」だと気づいてから数年、私は児童文学サークル「ひまわり時計」に入会しました。
 その頃の私は、創作児童文学の中でも「ヤングアダルド」中学生以上向けの作品を主に書いていました。日本ではまだはっきりとジャンルの確立していない「ヤングアダルト」ですが、海外作品では、非常にすぐれた作品がたくさんあります。これらのすばらしい「ヤングアダルト」に負けないような作品を書くことが目標でした。
 かつて私が「パンバイヤ」や「エスパー少年シリーズ」「宇宙史シリーズ」「戦国少年隊シリーズ」に出会った時のように、今の子どもが「目から鱗が落ちる」ような思いのする創作児童文学〜ヤングアダルトを書くことが、当時の私の一番の夢でした。
 けれども日本で「ヤングアダルト」というと、「揺れ動く少女(小学校高学年〜中学生)の心理」を描く純文学作品、もしくは「かるーいライトノベル」を指すらしい、と気づいたのは、それからずっとあとのことでした。 トップへ

児童文学の受賞歴〜少ないですが〜

 はいっ、ほとんどありません! っていばることじゃありませんが。  私は書くのが遅いし、書く時間が物理的に少ないため(サラリーマン、やってますんで)、公募活動もあまり活発ではありません。さらに、書くものも相変わらずへぼへぼなので、「受賞」という経験がほどんとないのです。数少ない受賞は以下のとおりです。
 ★第12回(1997年)国民文化祭 瀬戸内こどもフェスティバル 入選
 ★第14回(1997年)ニッサン絵本と童話のグランプリ 佳作
 ★第8回(1999年)小川未明文学賞 優秀賞
 ☆2000年度 学研読み特 中学年部門 最終選考4作品まで残って落選 う〜ん残念!   トップへ

児童書の出版〜夢がかなった!?〜

 こんな日が来るとは、正直思っていませんでした。
 (1)高度情報処理技術者資格(システムアナリストとかシステム監査とか)をとること、(2)会社で上級専門職(管理職)になること、(3)出版すること。
 以上は、私にとって「まあ、乗り越えられないことだろう」と思っていたことですが、この中で最大の難関だと思われていた「出版すること」が、2002年1月15日にかなってしまいました。一生の夢がかなってしまった感じです。でも、一つの夢がかなうと、また次の夢が生まれるものですね。次の夢は「いつまでも作家でいられること」 ゆっくりでいいから、またいつか本を出せるといいなあと思っています。ちょっとずつでも書きつづけないとね。
 ★「ふたりでひとり旅」あかね書房
 ★「レールの向こうへ」アリス館
 どうぞよろしくお願い致します。   トップへ

三冊目とアンソロジー〜夢の続き〜

 初めての本が出た2002年は、本職のシステム屋の仕事が大混迷を極めた年でもありました。精神的に疲れて、ろくに原稿が書けずに終わりました。2003年、一つの作品に力をかけた結果、三冊目を出版することができました。また、初めてのアンソロジー(共著)もだすことができました。私の夢は、なんとかまだ、続いています。
 ★「四国へGO!サンライズエクスプレス」国土社
 ★「怪奇スープをめしあがれ」岩崎書店
   ※アンソロジーです 「スタミナドリンクは血の色」という作品を載せています
 どうぞよろしくお願い致します。  トップへ

四冊目はエンターテイメント〜新たなジャンルへ〜

 「エンターテイメントを書いてみませんか? 今までの本とは違った感じの作品を書けますか?」突然、そんな話がふってわいて、エンターテイメントに挑戦することになりました。ミステリー(探偵物)は、読む分にはいいけれど、書くことなんて想定もしていなかったので、「どうなることか」と思っていましたが、無事に本になりました。推理力ゼロの私に本格ミステリーは無理なので、得意の鉄道を舞台に、推理よりも冒険に力をおいた物語にしました。2005年8月刊。
 牛の歩みですが、もうちょっと前に進めたら、と思っています。このところ、中学年向きの作品がメインになってしまいましたが、もう少し、いろいろなグレードのものが書ければね。
 ★「トレイン探偵北斗」ポプラ社
 どうぞよろしくお願い致します。
 ついでに……
 2006年4月、上級専門職に昇格しました。あとは、高度情報処理技術者資格を取ることか……これが実は一番難しかった……
 アンソロジーも増えてます。
 ★「死をよぶ月光のソナタ」岩崎書店
   ※「ぼくがのっとられる」という作品を載せています。
 ★「死の国へ走るワゴン」岩崎書店
   ※「竹馬がやってくる」という作品を載せています。   トップへ

五冊目は続編〜シリーズものって……〜

 2005年8月刊行の「トレイン探偵北斗」。1年後の2006年9月にめでたく続編がでました。シリーズものというのは、前回と同じトーンで、それでいて違うキャラクターを使って……物語はより面白く……などなど、むずかしさを感じています。
 そして、「本は文化財というだけでなく商品でもある」という側面を強く感じました。また一歩、新しい世界へ足を踏み入れている私です。がんばらなきゃね。
 ★「トレイン探偵北斗 特急はくたかのヒロイン」ポプラ社
 どうぞよろしくお願い致します。   トップへ

六冊目は課題図書!〜びっくりびっくりびっくり〜

 2008年11月中旬のことです。「高森さんの夢ってなに?」児童文学とはまるで関係のない友人と飲んでいて、聞かれたことです。お互い趣味の話をしていて、友人は「はまっているスポーツで少しでもよいタイムをだすこと。すでに趣味の域は凌駕しています」と言いました。私は「そうねぇ、何かの文学賞をとるとか、課題図書になって全国の本屋に本が置かれることかな。あり得ないけど(笑)」と答えました。
 それから四か月。青少年読書感想文コンクールの中学年部門の課題図書に、六冊目の本が内定されたという連絡がありました。まさか夢が本当にかなうなんて思っていなかったので、とにかくびっくりびっくりびっくりです。電車も出てきますが、自転車メインの物語です。
 ★「風をおいかけて、海へ!」国土社
 どうぞよろしくお願い致します。
 ついでに……
 怪談アンソロジーも3冊増えました。
  トップへ

新聞連載〜死ぬほど大変だった……〜

 2008年9月下旬から12月上旬にかけて、毎日小学生新聞で50回の連載をしました。1回2枚半と決まっていて、さらに月〜金の連載ですから、5回分ずつある程度の話の切れ目になるように書かなくてはなりません。この規則に従って書くのがすごく大変でした。さらに、書き始めてから締め切りまで2か月しかなく(依頼をいただいていてからは4か月あったのですが、最初の2か月は構想で使い果たしていたのでした)、遅筆の私はそれこそ「血を吐く」ぐらいの苦しみで書いたのでした。ちょうど会社の仕事も忙しかった時期で、書きあがった時は「もー、しばらく何も書きたくない……こんなこともう一度やったらホントに死んじゃう」と思いました。
 依頼のときに「旅物を」ということだったので、いつもどおり旅のシーンもありますが、めずらしくSFタッチの物語で、テーマを前面に出しています。
 ★「空からUFOが落ちてきた」毎日小学生新聞連載 単行本にならないかな……
  トップへ



takamori@za2.so-net.ne.jp
ホームへ戻る