緞帳を昇降・開閉するための舞台装置解説
- トバシ上げ方式
・緞帳の上部吊り紐(普通は純綿のスピンドルテープを使用します)をバトン(金属製の横棒)にくくり
バトンを上下することで広げたままの緞帳を上げ下げする方式です。
・緞帳は広がった状態のままで上下するため、後述するタタミ上げ方式やドラム巻取り方式のように
緞帳生地が折れ曲がったり丸まったりすることが無く、緞帳生地に負担が掛かりません。
・緞帳昇降装置ををトバシ上げ方式にするためには、舞台上部に緞帳が隠れるだけの充分な高さが必要です。
・比較的大規模なホール等施設の緞帳はトバシ上げ方式であることが多いようです。
・緞帳の下部に、通常仕立ではパイプ袋を取り付け、裾パイプを1本通します。(パイプ径は、緞帳の大きさによって異なります)
・裾パイプが落下することを防ぐために緞帳の上部吊りバトンと裾パイプを数箇所ロープでつなぐことがあります。
このロープを落下防止ロープと呼びます。
・緞帳が特に大きい場合など、吊り紐だけで緞帳重量を支えるのに不安がある場合は、
緞帳上部と吊バトンを金属ベルト等により何箇所か連結させ、緞帳落下防止策とすることがあります。
- タタミ上げ方式(3段タタミ上げ、5段タタミ上げetc.)
・緞帳をいくつかに折りたたみながら持ち上げて、舞台上部に収納する方式のことです。
・緞帳のタタミ数により、3段タタミ上げ、4段タタミ上げ、5段タタミ上げ等々呼び習わしています。
・3段タタミ上げ方式の場合、緞帳の裏面に中間パイプと呼ぶ吊り上げ用のパイプを1本取り付けます。
緞帳上部の吊り紐(チチ紐)は、上部バトンにくくりつけてあります。
・この中間パイプを数ヶ所ワイヤーでくくり、
そのワイヤーを垂直方向に持ち上げて巻き取ることで、緞帳を折りたたみながら吊り上げていきます。
・この方式は緞帳をいくつかに折りたたんで舞台上部に収納するため、舞台上部の空間にあまり余裕が無くても設置可能です。
・中間パイプの数を増やすと、緞帳を小さく折りたたむことになり、より少ない収納スペースにも対応できます。
この緞帳は中間パイプ2本と裾パイプも持ち上げた6段タタミ
・タタミ上げ方式の欠点は、緞帳を折りたたんで収納することから緞帳に折れ跡の横筋が残りがちな点です。
・この折れ跡の筋は、たたみ上げの数が増えるほど多くなります。
・また、緞帳を吊り上げるとき中間パイプ袋に力がかかるため、どうしてもパイプ袋周辺が損傷しやすくなるのは避けられません
- ドラム巻取り方式(ドラム巻き上げ、ロール巻き上げ)
・緞帳の上部を金属製の円柱筒(ロール、ドラム)に取り付け、
ドラムを回転することで緞帳をドラムに巻取りながら緞帳を昇降させる方式です。
・タタミ上げ方式よりさらに少ない空間で緞帳を収納できるため、狭い舞台や舞台上部に空間の余裕が無い舞台に適しています。
・ドラム巻取り方式の最大の問題点は、緞帳巻き取り時にシワが寄る危険があることです。
・ドラムは長い円柱状の金属筒を両サイド2点で固定するため、ドラムが長い場合(つまり、緞帳の間口寸法が長い場合)
自重プラス緞帳の重さで金属のたわみ等が発生する恐れがあります。
・ドラムの直径が小さいと、ドラムに緞帳が巻きつく回数が増えるため、緞帳にしわがよりやすくなります。
・緞帳の丈が長いと、緞帳自体の重さで生地が変形したりシワが発生しやすくなるため、
天地寸法の長い緞帳にはこの方式は適しません。
・あくまでも一般的な数値の目安ですが、緞帳間口10〜12 天地丈5〜6メートルを越える場合には、
巻き取りトラブルが発生するリスクが大きくなるため
緞帳や装置の設定仕様や吊り込み時の作業を慎重に行うことが必要と思われます。
巻き取り部分
・緞帳の織物組織が複雑で、緞帳表面に不均一な凸凹があると、
巻き取り径が部分的に変るため、シワ等のトラブルの原因になることがあります。
ドラム方式で綴織やフック織の緞帳を制作する場合には、片寄った部分の変化織りは避けて、
なるべく平坦な織りあがり面に仕上るのが無難です。
・ジャガード・紋織り緞帳を巻き上げる場合には、生地を縫い合わせた縫い代部分が厚くなるため、しわが発生してしまうことがあります。
この場合は、生地に裏打ちをするなどして、緞帳全体の厚さが均一になるように工夫します。
・緞帳に一旦シワが寄ってしまうと、それを解消するのは容易なことではありません。
ドラム巻き上げ方式で緞帳を設置するときには、各段階で慎重に設定を行う必要があります。
・巻き取り時にシワが寄る原因としていくつかの要素が考えられます。
- 緞帳本体に問題がある場合(例えば緞帳生地の厚みが不均一なため、ドラムに均一に巻き取れないケース等
- 装置(巻き取りドラム)に問題がある場合(ドラムがたわんでいたり、直径が不均一な場合等)
- 緞帳を巻き取りドラムに取り付ける作業に問題がある場合
・上部にレールを取り付けて、緞帳をカーテンのように左右に開閉する方式です。
引き割り方式ともいいます。
・客席から舞台に向かって右の上手緞帳と、舞台に向かって左の下手緞帳の2枚を取り付けます。
・上手緞帳と下手緞帳は舞台中央部分で数十センチメートル重なるように仕上がります。
これは、上手・下手両緞帳のすきまから舞台の奥が見えないようにするためです。
・日本では通常、客席から見て上手緞帳が手前にきて、下手緞帳は奥になるよう設置します。
(欧米のオペラ劇場では、上手・下手の重ね方が日本と逆になっていることも多いようです。)
・緞帳の開閉方式の中では、最も簡単な方式です。
・緞帳を1枚に仕立て、左右いずれかに収納する片引幕方式もあります。
・オペラカーテンは幕の裏側にロープ、ワイヤー等を何箇所か取り付け、幕が両サイド斜め上方に開くようになっています。
(オペラカーテンの解説参照)
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