2001/05/04
                                            昭和63年健医発143
                                            最終改正 平成8健医発574
各都道府県知事宛

                                            厚生省保健医療局長通知

 精神保健対策における社会復帰対策の推進については,かねてから特段のご配慮を煩わしているところであるが,精神障害者の社会復帰・社会参加を促進するため,今般別添のとおり「精神障害者社会復帰施設設置運営要綱」を定め,昭和62年度から実施することとしたので,その適正かつ円滑な運営を図られたく通知する。
 なお,貴管下市町村長,社会福祉法人及び医療法人等の関係機関に対し,貴職から通知されたい。
 おって,昭和54年8月17日衛発第661号「精神衛生社会生活適応施設の整備について」は廃止する。


別添


精神障害者社会復帰施設設置運営要綱


総則

第一 基本的事項

1 趣旨
 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二五年法律第一二三号)第五〇条及び第五〇条の二に規定する精神障害者社会復帰施設(以下「社会復帰施設」という。)の設置及び運営は,この要綱に定めるところによる。

2 基本理念
 社会復帰施設は,精神障害者の社会復帰及び自立と社会参加の促進を図るため設置するものであることを鑑み,適切な構造・設備を備えて良好な環境を確保するとともに,利用者の適切な処遇に資するため,精神障害者の社会復帰に関する業務に熱意及び能力を有する職員をもって運営されなければならない。

第二 具体的事項

1 設置及び運営主体
 社会復帰施設の設置及び運営主体は,都道府県,市町村,社会福祉法人その他の者とする。なお,地方公共団体が設置する場合は,営利を目的としない法人に運営を委託できるものとする。

2 利用の方法
 (1)社会復帰施設の利用は,保健所長の推薦書の交付を受けた利用者と社会復帰施設の長又は運営主体の長との契約によるものとする。
 (2)保健所長は,精神障害者から求めがあったときは,社会復帰施設の利用について,斡旋及び調整を行うとともに,社会復帰施設の長又は運営主体の長に対し,利用の要請を行う。この場合,社会復帰施設の長又は運営主体の長は,できる限り協力しなければならない。

3 利用者の負担
 (1)利用者は,施設の維持管理等に必要な経費として経営主体が定めた利用料を負担するものとする。
 (2)飲食物費,日用品費,光熱水料等利用者個人にかかる費用は,その実費を利用者の負担とする。

4 構造の一般原則
 (1)社会復帰施設に構造及び設備は,日照,採光,換気等利用者の保健衛生及び安全に関する事項について十分に考慮されたものでなければならない。
 (2)社会復帰施設は,消火設備その他非常災害に備えるため必要な設備を備えなければならない。
 (3)社会復帰施設の建物は,建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号)第二条第九号の二に規定する耐火建築物又は同条第九号の三に規定する準耐火建築物とする。

5 職員の専従
 社会復帰施設の職員(顧問医を除く。)は,専ら当該施設の職務に従事することができる者をもって充てなければならない。

6 顧問医
 (1)顧問医は,精神科の治療に相当の経験を有する者をもって充てなければならない。
 (2)顧問医は,社会復帰施設の長と連絡を密にし,入居者の状況を把握しておくよう,努めなければならない。

7 業務報告
 (1)社会復帰施設の長は,社会復帰施設の利用について,毎年六月三〇日現在の状況を,別に定める様式により,社会復帰施設の所在地を管轄する保健所長に報告しなければならない。
 (2)社会復帰施設の長は,利用者の入所又は退所があった場合は,速やかに別に定める様式により,社会復帰施設の所在地を所轄する保健所長に報告しなければならない。

8 管理規程等の整備
 (1)社会復帰施設の長は,利用料及び利用者が守るべき規則等を明示した管理規程を定め,利用者に周知しておかなければならない。
 (2)社会復帰施設の長は,設備,会計に関する帳簿及び利用者に関する記録を整備しておかなければならない。

9 経費の補助
 国は,地方公共団体又は非営利法人が設置する社会復帰施設の整備又は運営の要する経費について,別に定める国庫補助補助交付基準により補助するものとする。

第三 その他

1 社会復帰施設は,地域の事情等に応じて個別事項に掲げる施設を組み合わせて整備することができる。
2 社会復帰施設を設置する者は,地域で生活する精神障害者に対し,別に定める実施要綱に基づき,地域生活支援事業を実施することができる。

個別事項

第一 精神障害者生活訓練施設(援護寮)

1 設置の目的
 精神障害者生活訓練施設(援護寮)(以下,援護寮という。)は,回復途上にある精神障害者に居室その他の設備を一定期間利用させることにより,生活の場を与えるとともに,精神障害者の社会参加に関する専門的知識をもった職員により生活の指導等を行い,もって社会復帰の促進を図ることを目的とする。

2 利用対象者
 援護寮の利用対象者は,入院医療の必要はないが精神障害者のため独立して日常生活を営むことが困難と見込まれる者であって,かつ,社会復帰を希望する者のうち,次の各号に該当するものとする。
 (1)共同生活を営む程度の者
 (2)精神科デイ・ケア施設,精神障害者通所授産施設及び精神障害者小規模作業所等に通える程度の者

3 定員
 援護寮の定員は,おおむね20人とする。

4 利用期間
 援護寮の利用期間は,2年以内を原則とする。ただし,援護寮の長は,顧問医の意見等を聴いた結果,利用期間の延長が真に止むを得ないものと認める場合には,1年を超えない範囲内で利用期間を延長することができる。

5 構造・設備
 (1)援護寮の建物の面積は,原則として入居者1人につき14.9u以上とすること。
 (2)援護寮に必要な設備は,次のとおりとする。
  ア 居室
  イ 相談・指導室
  ウ 静養室
  エ 食堂(調理コーナーを設けること。)
  オ 娯楽室(食堂と兼ねることができる。)
  カ 浴室
  キ 洗面所
  ク 便所
  ケ 事務室
 (3) 前項に掲げる設備については,次のとおりとする。
  ア 居室
   一室の定員は4人以下とし,入居者1人当たりの居室の床面積は収納設備等を除き4.4u以上とすること。

6 職員
 (1) 援護寮には,次の職員を置くものとする。
  ア 施設長1名
  イ 精神科ソーシャル・ワーカー1名
  ウ 専任職員3名
  エ 顧問医1名
 (2)施設長は,精神保健福祉に関する業務に5年以上従事した者又はこれと同等以上の能力を有する者であって,援護寮を適切に管理運営する能力がある者を充てるものとする。

7 援護寮の運営
 (1)指導等の内容
  ア 生活技術(掃除,洗濯等)の習得のために必要な助言,指導
  イ 対人関係についての助言,指導
  ウ 通院等に対する助言
  エ 金銭の使途の指導
  オ 余暇の活用の指導
  カ 作業訓練に対する助言,指導
  キ 就労についての助言,指導
  ク その他独立自活を行うために必要な助言,指導
 (2)関係機関との連絡
 施設長は,入居本人の意向を尊重しつつ,関係機関と必要に応じ連絡をとり,入居者に対する指導等が円滑かつ効果的に実施されるよう努めるものとする。

8 給食
 援護寮においては,入居者の必要に応じて給食業務を行うことができるものとする。

9 精神障害者ショートステイ施設の運営
 援護寮においては,次により精神障害者ショートステイ施設(以下「ショートステイ施設」という。)の設置及び運営を行うことができるものとする。
 (1)利用対象者
 ショートステイ施設の利用対象者は,在宅の精神障害者であって,家族が疾病,
冠婚葬祭,事故等の事由により,在宅における処遇が一時的に困難となった者とする。
 (2)利用方法
 ショートステイ施設の利用の契約は,ショートステイ施設の特性に鑑み,総則の第2の2にかかわらず,より簡便な方法で利用希望者が利用対象者として適切であるかどうかの確認を行い,迅速に契約に応ずるものとする。
 (3)利用期間
 ショートステイ施設の利用期間は,7日以内とする。ただし,ショートステイ施設を運営する援護寮の長は,当該援護寮の顧問医の意見等を聴いた結果,利用期間の延長か真に止むを得ないものと認める場合には,必要最小限の範囲で延長することができるものとする。
 (4)ショートステイ施設の運営
 ショートステイ施設の運営に当たっては,利用者の居住地を管轄する保健所及び利用者の主治医等との連絡・調整を行うものとする。

10 非常災害対策
 施設長は,非常災害に備えるため,防災,避難等に関する具体的計画を立てるとともに,定期的に必要な訓練を行うものとする。

第二 精神障害者福祉ホーム

1 設置の目的
 精神障害者福祉ホーム(以下「福祉ホーム」という。)は,一定程度の自活能力のある精神障害者であって,家庭環境,住宅事情等の理由により住宅の確保が困難な者に対し,一定期間利用させることにより生活の場を与えるとともに必要な指導等を行い,もって社会復帰と自立の促進を図ることを目的とする。

2 利用対象者
 福祉ホームの利用対象者は,家庭環境,住宅事情等の理由により住居の確保が困難であるため,現に住居を求めている精神障害者であって,次の各号に該当するものとする。
 (1)日常生活において介助を必要としない程度に生活習慣が確立している者
 (2)継続して就労できる見込みがある者

3 定員
 福祉ホームの定員は,おおむね10人とする。

4 利用期間
 福祉ホームの利用期間は,2年以内を原則とする。ただし,運営主体の長は,顧問医の意見等を聴いた結果,利用期間の延長が適当と認める場合には,利用期間を延長することができるものとする。

5 構造・設備
 (1)福祉ホームの建物面積は,原則として入居者1人につき23.3u以上とすること。
 (2)福祉ホームに必要な設備は,次のとおりとする。
  ア 居室
  イ 娯楽室
  ウ 調理室
  エ 浴室
  オ 洗面所
  カ 便所
  キ 管理人室
(3)前項に掲げる設備については,次のとおりとする。
  ア 居室
   原則として1人部屋とし,入居者1人当たりの居室の床面積は収納設備,調理設備等を除き6.6u以上とする。
  イ 調理室
   調理室は,居室に調理設備を設ける場合には,入居者共同の設備として設けないことができること。

6 職員
 (1)福祉ホームには,管理人1名及び顧問医1名を置くものとする。
 (2)管理人は,福祉ホームを適切に管理運営する能力がある者を充てるものとする。

7 管理人の業務
 (1)管理人は,施設の管理並びに入居者の日常生活に関する相談,助言及び保健所等関係機関への連絡業務のほか,入居者が独立して生活できるよう住居,就労等について相談,助言を行うものとする。
 (2)入居者が,疾病等により生活に困難を生じる虞がある場合には,入居者本人の意向を尊重しつつ,顧問医,関係機関と速やかに連絡をとるなど,入居者の生活に支障をきたさないよう適切な配慮を行うものとする。
 (3)入居者の食事は,原則として自炊によるものとし,その他の日常生活も原則として入居者自身で処理するものとするが,入居者が一時的に援助を希望する場合には,管理人はその援助を行うことができるものとする。

第三 精神障害者授産施設

1 設置の目的
 精神障害者授産施設(以下「授産施設」という。)は,相当程度の作業能力を有する精神障害者に利用させ,自活することができるように必要な訓練及び指導を行い,もってその者の社会復帰の促進を図ることを目的とする。

2 利用対象者
 授産施設の利用対象者は,雇用されることが困難な精神障害者であって,かつ,将来就労を希望する者とする。ただし,入所施設の入所者(以下「入所者」という。)は,上記のうち,住居を確保することが困難であって,かつ,多少の介助があれば,日常生活を営むことかできる者とする。

3 定員
 授産施設の定員は,おおむね20人以上とする。
 ただし,入所施設の定員は,おおむね30人以下とする。

4 利用期間
 授産施設の利用期間は,利用者各人の作業能力等を勘案して当該施設において適宜決定すること。

5 構造・設備
 (1)建物の面積は,通所施設については,利用者1人当たり15.8u以上とし,入所施設については,入所者1人当たり23.5u以上とすること。
 (2)授産施設に必要な設備は,次のとおりとする。ただし,通所施設については,アからキまでとする。
  ア 事務室
  イ 食堂
  ウ 作業室又は作業所
  エ 静養室
  オ 集会室・娯楽室(食堂と兼ねることができる。)
  カ 洗面所
  キ 便所
  ク 居室
  ケ 相談・指導室
  コ 浴室
  サ 調理用コーナー
 (3)前項に掲げる設備については,次のとおりとする。
  ア 居室
   一室の定員は,4人以下とし,入所者1人当たりの床面積は,収納設備等の部分を除き4.4u以上とすること。
  イ 作業室又は作業所利用者が安全に作業に従事できるよう必要な設備を設けること。

6 職員
 (1)授産施設には,次の職貝を置くものとする。
  ア 施設長1名
  イ 作業指導員1名以上
  ウ 指導員助手(非常勤で可)1名
  エ 精神科ソーシャル・ワーカー1名以上
  オ 専任職員1名以上
  カ 顧問医1名
 (2)前項のイからオに掲げる職員は,定員30名までは各1名とする。また,通所施設にあっては,定員が30名を超える場合には,30名を超え10名を増すごとにこれに加えてイ,エ又はオに掲げる職員いずれか1名を置くものとする。ただし,入所施設にあっては,これに加えてイ,エ又はオに掲げる職員いずれか2名を置くものとする。
 (3)施設長は,精神保健福祉に関する業務に5年以上従事した経験がある者又はこれと同等以上の能力を有する者であって,授産施設を適切に管理運営する能力がある者を充てるものとする。
 (4)作業指導員が作業療法士以外の者である場合にあっては,別に作業訓練の計画作成及びその評価のため非常勤の作業療法士を置くものとする。

7 授産施設の運営
 (1)授産施設における訓練項目は,地域の実情,製品の需給状況等を考慮して選定するものとする。
 (2)施設長は,利用者に対し,各人の状態,作業能力等を十分勘案して適切な処遇を行うものとする。
 (3)施設長は,利用者本人の意向を尊重しつつ,関係機関と必要に応じ連絡をとり,利用者に対する訓練指導等が円滑かつ効果的に実施されるよう努めるものとする。
 (4)作業収入
 授産施設においては,事業収入から事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として利用者に支払うものとする。
 (5)入所施設にあっては,入所者に対し,生活技術.対人関係,余暇の利用,住居,就労についての助言及び相談を行うものとする。

8 給食等
 授産施設においては,利用者の必要に応じて給食業務を行うことができるものとする。ただし,入所施設にあっては,入所者の自炊設備を備えることができるものとする。

9 非常災害対策
 施設長は,非常災害に備えるため,防災,避難等に関する具体的計画を立てるとともに,定期的に必要な訓練を行うものとする。

第四 精神障害者福祉工場

1 設置の目的
 精神障害者福祉工場(以下「福祉工場」という。)は,精神障害者であって,作業能力はあるものの,対人関係,健康管理等の事由により,一般企業に就労できないでいる者を雇用し,生活指導,健康管理等に配慮した環境の下で、社会的自立を促進し,もってその者の社会復帰及び社会経済活動への参加を図ることを目的とする。

2 設置場所
 (1)福祉工場は,地域における精神障害者の就労の実態,精神障害者授産施設利用の状況等を十分考慮の上適当な地に設けるものとする。
 (2)福祉工場の敷地は,保健衛生,安全の保持,交通の便等を十分考慮の上選定する。

3 従業員の要件
 精神障害者授産施設等において指導訓練を受け,一般企業に就労できる程度の作業能力を有しているが,対人関係,健康管理等の事由により,一般企業に就労できないでいる精神障害者とする。

4 定員
 福祉工場の定員は,20名以上とする。

5 構造・設備
 福祉工場には,次に掲げる設備のほか,福祉工場の運営に必要な設備を設けるものとする。
 (1)作業場
 (2)更衣室
 (3)シャワー室
 (4)休憩室
 (5)食堂
 (6)相談室
 (7)静養室
 (8)医務室

6 職員
 (1)福祉工場には,次の職員を置くものとする。

50人 以上 49〜 40人 39〜 30人 29〜 20人
常勤 非常勤 常勤 非常勤 常勤 非常勤 常勤 非常勤
施設長
事務員 (1)
指導員
指導員助手 (1) (1) (1)
看護婦 (1) (1)
栄養士(調理業務含む)
顧問医 (1) (1) (1) (1)
(2) (1) (3) (4)


 (2)施設長は,精神障害者の社会復帰に理解と熱意があり,かつ,企業経営の能力又は実績を有する者等福祉工場を経営するために適切であると認められる者とすること。
 (3)指導員は,福祉工場の作業に必要な知識技能を有し,かつ,従業員の指導に熱意を有する者とすることとし,そのうち1名は,精神科ソーシャルワーカーとすること。

7 福祉工場の運営
 (1)運営の基本原則
  福祉工場は,適正かつ円滑な事業の運営に留意するとともに,従業員の処遇の向上に努めるものとする。
 (2)労働条件等
  ア 経営主体が従業員を雇用するに当たっては,関係機関の意見を十分尊重して行うこと。
  イ 労働時間,休日,賃金,退所等については,就労規則に定め,労働関係法規に従って行うこと。
 (3)従業員の健康管理
  ア 医師,看護婦を中心として健康管理に十分配慮すること。
  イ 健康診断は,雇用時のほか,年2回以上実施すること。
  ウ 健康状態に応じ,休養等について必要な措置を講ずること。
  エ その他環境を常に清潔に保ち,衛生管理に留意すること。
 (4)給食
  ア 給食は,原則として福祉工場において給食すること。
  イ 福祉工場における給食は,利用者のし好,必要な栄養等に十分配慮して行うこと。
 (5)非常災害対策
  ア 施設長は,非常災害に備えるため防災,避難の具体的計画を立てるとともに,定期的に防災,避難に関する必要な訓練を行うものとする。
  イ 施設長は,非常災害を未然に防止するため,特に火災発生の危険の多い場所を定期的に検査し,所要の措置を講ずるものとする。
 (6)会計の原則
  福祉工場の会計は,福祉工場の財政状況及び経理成績を明らかにするため,正規の簿記の原則に従って,整然かつ明瞭に記録整理されるものとする。
 (7)関係機関との連携
  福祉工場は,社会復帰施設であるとともに一方では,労働関係法規の適用を受ける事業所であることにかんがみ,保健所,精神保健福祉センター,公共職業安定所,労働基準監督署,従業員の家庭等との連絡を密にし,福祉工場の運営が円滑かつ効果的に行われるように努めるものとする。


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