
- 片道の航空運賃で1泊2日のツアーだから全くの格安である。途中で消えたヤング・ペアーが帰途飛行機ではまた一緒だった。格安航空券として使っている組もあるわけだ。紅葉前のシーズンオフだから出来るのであろう。青森空港から萱野高原、八甲田・睡蓮沼、谷地温泉、奥入瀬渓流、十和田湖、古牧温泉(泊まり)、渋沢公園、観光リンゴ園、種差海岸から三沢空港というコースであった。さすがに第1日目のバスはガイド無しの温泉のシャトルバスであった。
- バスの窓から見たナナカマドの赤い実が鮮やかであった。青森空港を出たあたりである。ナナカマドにはその後あちこちでお目に掛かったが、山中ではまだ色づいていなかった。丘陵の中の萱野公園は何とはない休息所だった。だが一帯が見知らぬ樹木で囲まれていた。シナノキと聞いた。八甲田山という山はないそうで、いくつかの連山の総称という。山中にいろんな木を見る。千葉とは随分違う。優勢なのはブナ。トチノキがある、カエデ、モミジ。アオモリトドマツとはこの地方だけだからか。イチイが割と目に付く。ダケカンバがあると聞いたが、車窓からは区別できなかった。睡蓮沼は小さな沼だが、連山の山容を水面に映して美しかった。
- NHK総合テレビに各地の鄙びた温泉を紹介する夜の短い番組がある。湯治客がゆったりと湯に浸っている姿を見ると一度はそんな場所を訪れたいと思う。谷地温泉はそんな気分を満たしてくれる場所だった。背の低い古びた木造の細長い一軒家で両側が広くもない客用和室になっている廊下を進むと浴室がある。かすかに硫化水素の臭いがする。20人も入れば満員だろう。微温湯と熱湯の二風呂ある。熱湯と云っても家で沸かす風呂程度で、諏訪で体験した飛び上がるほどの熱さではない。イワナの養殖池があって、その串焼きを売っている。運転手お勧めの串刺しオデンは種に若竹と田螺に似た一枚貝が付いていて美味かった。
- 奥入瀬渓流は道路面と川面にあまりレベル差がないのが良い。降り立てば川岸遊歩道なのである。十和田湖を巡って火山活動の痕を実感する。湖畔の自然観察センターに湖の模型があって、目では見えぬ湖底の構造を教えてくれる。二度目の噴火後の陥没で出来た凹部が異常に深い。そこでトチの実を見た。初めてである。ホオノキとその実もあった。トチノキとホオノキは外見だけではなかなかハッキリしないから、私の見たトチノキの半分はホオノキだったかも知れぬ。山を下り十和田市を通過する。道路計画先行の計画都市である。起源は新渡戸稲造の祖父だそうだ。次の日渋沢公園が渋沢栄一・敬三の記念公園であると知ったが、敬三は栄一の孫である。共に優れた家系に高い志が伝承される良い例だろう。勉強だけが出来るエリートしか生めないシステムでは、国の行き先が思いやられるのである。
- いつかは見たかったリンゴ園であった。そう広くない農場にいろんな品種がごったに植わっている。観光農場だからだろうか。ちょっと前にNHK教育テレビ日本・映像の20世紀「青森県」を見た。なるほど人の手が届くように剪定している。姫リンゴはもう遅く、真っ赤な紅玉と程良い色合いの津軽が今盛りのようだった。紅玉が枝が折れんばかりにたわわに実っているのを見ると、何か病的で、品種改良もちょっと行き過ぎのように感じた。黄色いのは陸奥なのかデリシャスなのか、まだもぐのは早いと云われた。農園の境界にイチイが植わっている。それに小さいが赤い実が生っている。つまんで食べてみる。甘いが癖のある味だった。
- 種差海岸でウミネコの声を聞く。繁殖期は8月中旬まででもう彼らもシーズンオフだ。八戸の小売り市場で昼食をとり土産を買う。ガイドのお薦めどうり回転寿司にした。回転寿司は初めてなので比較は出来ないが、好きなものを好きなだけ食って1000円あまりだった。東京で握って貰ったら3000円ぐらいは簡単に出てしまうのを考えたら安い。それにしても私の学生時代京極裏通りの屋台では1皿3個の握りで20円だったから、随分高くなったと云ったら家内にどやされた。だが、にぎり寿司が芸術家気取りでお高く留まっていたから、回転寿司のようなゲリラ商法にしてやられたのは事実であろう。昔若かりし頃、神戸三宮あたりでふらりと入った寿司屋が一見客に無愛想だった、その時以来私は寿司屋に冷淡である。たかが江戸時代のファーストフードなのにと。回転寿司を流行らせたのは一般大衆だが、たいして味に差がないことをしっかり舌分けしてしまった。大衆を馬鹿にしてはいかん。
- 三沢空港で戦闘機やレーダーアンテナを背負った偵察機の離着陸を見る。ここは軍事基地だと再認識する。小さい空港ロビーに米兵が目立った。
('99/10/04)