十一月概括
- 10/31ベトナムは日ロ両国より各2基の原子炉を輸入することに調印した。我が国としては、官民合同のインフラ輸出プロジェクトの成功第1例となった。技術転移、放射性廃棄物質処理が含まれている。南シナ海の領海権問題で中国との緊張が高まる中、ロシア潜水艦購入も決定された。
- 尖閣諸島衝突事件のビデオが国会で非公開的に上映された。与党は国民への開示を躊躇した。11/5には、公開されなかった海上保安庁撮影の44分間の尖閣事件ビデオがユーチューブから拡散した。政府説明の通り、中国漁船が体当たりで遁走をはかっていた。私はあの中国政府の「日本巡視船から中国漁船にぶち当たってきた」という事実曲解の発表に対して、公開は政府が当然取らねばならぬ処置だったと思う。とにかく世界に特に中国人に真実を見せねばならぬ。中国政府はこの動画を国内インターネットから削除した。日中共同世論調査で、中国信頼せずが87%、対日不信が79%と読売に出た。11/23の読売の解説記事「メガチャイナ」に「漁業監視船は軍艦だ」と言う記事が出た。
- 警視庁からテロ関係重要書類がネットに流出した。世界の信頼を失う由々しき事件である。
- 11/8の内閣支持率が33-5%に下がった。11/22の毎日ではさらに下がって26%となった。11/22失言問題で柳田法相が更迭された。11/26、5.1兆円の補正予算通過後に仙石官房長官、馬淵国土交通相の問責を可決した。個人追求や言葉尻をあげつらう論戦ばかりで、国家の大事を議論する姿勢など国会に見あたらない。
- 7月の参院選挙の1票格差5倍は違憲という判決が東京高裁で出た。同種裁判の別の3件は合憲という。5倍は審議の滞っているねじれ国会の原因の1つだ。鳥取を代表とする1票の価値の高い地方が、自民圧勝だからである。11/21読売に出た意見広告で、東北と裏日本および鹿児島が東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の大都会よりも異常に有利な権利を有することが解った。米国連邦最高裁判決では、1:0.993の格差を違憲無効とした。現在も生きている判決という。1票同価値が民主主義の基本だ。何10年議論しても基本理念すら通せない参議院など無用の存在ではないか。選挙技術的に多少の格差がでるとしても1.5倍が限度だ。
- 10/1時点での来年度新大卒の就職内定率が、57.6%と例年にない低い値にとどまっている。従業員1000人以上の企業とそれ以下で比べると、前者では募集倍率が0.57だが、後者では2倍を超し、トータルでも1倍以上だ。大企業に比し、中小企業の説明会は閑散としていた。学生は(我々世代から見ると極端に)安全志向で、望みの企業に就職がかなわぬと大学院に行くとか留年するとか言う手を使うらしい。海外留学の減少、社員の海外派遣回避傾向など、若者の内向き性行が心配されている。企業側が外国優秀学生採用に向かっている。国内も厳選方式となり、定員よりも人材に重点を置くようになった。
- ロシアのメドベージェフ大統領が1日に北方領土の国後島を、ロシア最高首脳として初めて、訪問した。我が国は領土権紛争地であるから訪問に反対していた。彼らは既成事実化に積極的である。自民党は民主党政権の外交力のなさを攻撃しているが、領土返還問題については自民党政権時代も何ら進展はなく、ムネオハウスが世間の笑いを誘った程度であった。
- アメリカ中間選挙で共和党が大勝した。下院は過半になり、上院は僅差でまだ民主党が過半を占めている。与党がこのざまになったので、オバマ大統領の政・経政策が今後は停滞すると懸念されている。
- APEC首脳会議は「横浜ビジョン」宣言で幕を閉じた。アジア太平洋地域の自由貿易圏を目指す。二国間協定である自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)、環太平洋経済連携協定(TPP)、多国間協議の東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓(中国主唱のASEANプラス3)、さらに広域で米、印、豪、ニュージーランドも含む米国の協定案などを通じて共存共栄を図る。農業側に拒絶反応が見られるTPPに、ともかく踏み込んだのは現内閣の功績である。我が国が貿易立国にしか生きる道がないことを、目先の損得勘定に明け暮れる議員に、周知徹底させねばならない。我が国の農政は、近代化したあるいはしようとしている農家の支援に徹し、近代化の見込みのない農家に開国を妨げられることがないように歩むべきである。韓国は、「FTA(米国やEUなどとの自由貿易協定)こそが繁栄の道」として、「開国」で先行している事情を11/7の読売が伝えていた。11/20の読売に「軍事力よりGDP、強い経済 安全保障に有益」、「(TPPに関し)「平成の開国」へ交渉入り急げ」という論説委員解説がでた。韓国でのAPEC前のG20首脳会議はさらに抽象的で影は薄かった。
- ミャンマー総選挙で軍政派が圧勝、連続7年半足かけ15年の長期にわたり軟禁状態にあったスー・チーさんを解放した。軍の見かけの民政移管の味付けだと冷笑する向きもある。スー・チーさんの第1声は穏和な、軍政に対する対話呼びかけであった。
- 11/23北朝鮮軍が韓国西方沖の延坪島を突如砲撃し、韓国軍が応戦した。北朝鮮軍は海岸砲基地2個所から曲射砲で軍と公共施設を狙い打ちした。韓国軍は自走砲。双方が計250発ほどを2回にわたって撃合った模様。現在は交戦状態が収まっている。島の住民にも被害が出た。黄海で米韓海軍軍事演習が行われる。横須賀より原子力空母が参加する。中国は演習そのものには反対していない。
- フィギュア・スケートGPシリーズ第3戦中国杯で、小塚崇彦と安藤美姫が優勝した。米ポートランドでの第4戦女子ではシニア戦初参加の村上佳菜子が逆転優勝しGPファイナル出場権を得た。男子は再び高橋大輔だった。ロシアでの第5戦は安藤で、2位の鈴木と共にGPファイナル出場を決めた。腰痛を押しての安藤は立派だった。最終のフランス戦では小塚が優勝し、ファイナル出場を決めた。プロ野球日本シリーズをロッテが対中日戦4勝2敗1分けで制した。最終戦はナゴヤドームで延長12回8-7の熱戦だった。最優秀選手は今江であった。パ・リーグ3位から勝ち上がったため、世間は下克上と称した。サッカーJ1優勝は名古屋であった。2010女子バレーボール世界選手権が日本で開催され、日本チームは銅メダルを獲得した。東洋の魔女時代から何十年ぶりのメダルであったか。大相撲九州場所で白鵬が稀勢の里に敗れ、連勝は63で終わった。同じ14勝1敗の平幕・豊ノ島との優勝決定戦に勝ち、5連覇を遂げた。
- 広州アジア大会での金メダルは、トライアスロン女子の足立、男子の細田、水泳100m平泳ぎ男子の立石、200mの富田、100mと200m背泳ぎ男子の入江、50mの古賀、200m個人メドレー男子に高桑、400mメドレー男子、軽量級かじなしフォア男子、軽量級シングルスカル女子の若井、柔道52キロ女子で中村、57キロ女子で松本、63キロ女子で上野、73キロ男子で秋本、90キロ男子で小野、無差別男子で高橋、ソフトテニス女子団体、女子ダブルスの杉本・上原組、サッカー男子女子、射撃女子クレー・トラップの中山、ビリヤードに鈴木、馬術個人の佐藤、その総合団体、セーリング470級男女、レスリング男子グレコローマン55kgの長谷川、男子フリー・スタイル66kgの米満、女子55kgの吉田、空手女子個人形の宇佐美、組み手61kgの宮本、陸上100mと200m女子の福島、やり投げ女子の海老原、男子の村上、フェンシング・エペ団体女子、ラグビー7人制男子、ソフトボール、カヤックシングル200m女子の北本、男子の松下、男子ペアの水本、松下、バレー男子。最終日の男子マラソンで北岡が銀を取った。囲碁は全くの不振だった。江戸時代から続く、他国にない強固な基盤を持ちながら、この不成績はなんとしたことか。日本の金は目標60に対し48個で、中国の199,韓国の76から遠く離された。両国が獲得率でも向上しているのに、日本は減っている。
- 柔道の審判に酷いのがあった。上野に対する北朝鮮選手の6回に及ぶパンチの無視、48キロ女子の防戦一方の中国選手の勝利判定など、観衆を意識したのであろうか。サッカー女子開始前の国歌「君が代」演奏に、観衆はブーイングを浴びせた。非礼を国家意識高揚の手段とでも心得ているようだ。レスリングの吉田は日の丸を背にかざすパーフォーマンスを中国役員に阻止された。どこでも見かけるパーフォーマンスなのに。中国は会場の立派さとは対照的に、まだ国際舞台としては未熟である。
- 小惑星探査機「はやぶさ」が、イトカワの物質を、電子顕微鏡サイズながら、1500個持ち帰ることに成功していた。隕石並みの鉄を含むことから判断された。太陽系原形物質として起源の解析に役立つ。地球や月は生成時の高熱で表面が変質している。
('10/11/28)