四月概括

4/5の読売は内閣支持率が33%に急落したと報じた。もはや存続の危険域に落ち込んでいる。自民党の内部分裂が加速しそうである。先月に鳩山邦夫氏が離党した。4/10に与謝野、園田、平沼、藤井、中川の5氏が平沼氏を党首に、新党・たちあがれ日本を結成した。財政再建をうたうが、今の赤字体質を恒久化したのが、彼ら自民系政治家だったから何とも口は重宝である。さらに新党として、首長新党が設立された。首長とは地方自治体首長の集まりを意味する。舛添要一前厚生労働相ら6名の参議院議員が「新党改革」を結成した。新党乱立は、次期参院選挙で民主も自民も過半に達しないのを見込んでの、キャスティングボート狙いの結集であることに疑いはない。現在の国民新党や社民党の立場を次期政権で目論んでいるのであろう。私は経済だけでなく政治までも混迷を深めることを恐れる。衆愚政治亡国論の書籍はどの時代にも店頭に出ているが、最近は数が増えた。
日産・ルノーとダイムラーの提携が発表された。新車販売台数で世界第3位に浮上する。業務提携に重点があり、資本上は互いに株の3.1%を持ち合う程度。技術ではEVの日産、小型車のルノー、ジーゼルエンジンのダイムラーという構図か。
4/10の新聞は、国労組合員のJR不採用に対し、解決金1人2200万円で政治決着したと報じた。支払いを認めたのは政府与党と公明党である。アメリカ大統領が正式に謝罪した、二次大戦中のアメリカにおける日本人および日系アメリカ人の強制収容問題への、アメリカの謝罪金は1人2万ドル、水俣病の和解金も1人200万円ほどである。桁違いに法外な和解金である。JR不採用が反事業の政治活動にあったのはすでに公知の事実だ。政権に対する印象が、決定的に悪化する理由になりかねない不当な決着と思う。読売はその指摘を社説で行った。毎日は決着をともかく祝おうという姿勢だった。
4/11の読売「地球を読む」に、山内東大教授の、原発受注失敗に関しインフラ輸出に国家戦略を要望する記事が出ていた。対照的なのが韓国大統領のトップセールスである。我が国の政権トップは未だに過去の経済大国時代のお大尽の雰囲気のままで、内側にだけしか目が向いていない。巨大インフラはとても企業1社2社の手に負えるものではなく、総合的な国家事業とせねば外需を逃がしてしまう。経済地盤低下と財政赤字に悩む日本の将来にとって、前代政権までで何とか収まりかかっていた普天間基地問題を蒸し返すよりも、はるかに重要な努力目標であると政府や民主党は思わないのであろうか。普天間基地問題はアメリカも沖縄も政府の目論見にはそっぽを向いたままで、どうやら鳩山首相の言う5月決着は絶望的な様子になってきた。鳩山首相がどんな計算でなぜに進んで火中の栗を拾い墓穴を掘るのか心中を計りかねてきたが、今もそうである。4/29の読売に、政府最終案という但し書きで、辺野古に移設、桟橋方式、徳之島へ米軍1000人という記事がトップを飾った。辺野古では旧案と同じだ。
春の高校選抜野球で、沖縄の興南高が優勝した。米軍軍政下の沖縄から、はじめて甲子園に代表チームが出場したときの観衆の歓迎ぶりを思い出す。
4/17 NHK総合の新土曜時代劇「まっすぐ〜鎌倉河岸捕物控」を見た。時代考証が全くなっていない。外観だけが江戸時代で、登場人物の言葉遣い、仕草のどこにもその時代らしさが感じられない。御家人も岡っ引きも女将も仲居も、平等社会の対等の付き合いが当たり前と思っている。ちょんまげを付けた現代劇と言ったところだった。俳優の質の低下が原因なのか、演出者が無知なのか。「雲霧仁左衛門」の再放送をやっていた。これも捕物の話だが、演技の質は月とすっぽんだった。
4/5山崎直子宇宙飛行士の乗ったスペースシャトルが打ち上げられ、7日国際宇宙ステーションISSと無事ドッキングした。20日に15日を超す宇宙活動から無事ケネディ空港に帰任した。4/11のNHK SPは「ハッブル宇宙望遠鏡 宇宙の始まりに挑む」であった。さしあたって何の利益があるか分からない基礎研究に膨大な国家予算を費やす米国に敬意を表したい。前回仕分け人が見せた理化学予算に対する近視眼的姿勢と全く好対照である。それが今日の米国を作った一つの理由でもある。
4/5のNHKクローズアップ現代で「シリーズ・アジア新戦略」が放映された。今までは安い労働力目当ての進出先ほどに思っていたアジアが、急速に社会水準を向上させ高速の経済発展を見せている。インド11億、ASEAN 6億の巨大市場がFTAで結ばれ、関税障壁が無くなる。産業はグローバル化を目指さざるを得ない。中心がそちらへ移動をはじめる。それが日本産業の空洞化をもたらす。そして雇用に反映している。家内がワイシャツの製造地がラオスになっていると言って驚いていた。いまや経済成長率の高い中国ではなくなっている。我が国もFTAを結んで進出すればいいが、日本の農業がそれを許さない。農家保護が日本全体の将来を暗くしている。
さらにそれに拍車をかけるているのが若者の無気力である。出演の法大教授は、「日本の学生に限らず若者がリスクを負いたがらない、あるいは海外に出たがらない。新しいことに挑戦をしていく、そういう人たちを企業は求めているのに、その数が相対的に減ってきた。」と言った。学生の就職難と言っても安定大企業志向のためで、中小企業には応募も少ないという記事はもう何度も見た。脚本家の倉本氏の私塾「富良野塾」の閉鎖が話題になった。理由に応募者の質の低下(受け身型人間が多い)が上がっていた。私が教授をしていた頃すでに「若者の指示待ち傾向」が学内で議論されていたのを思い出す。次世代を心配する現場の声などに、マスコミは全く無関心であった。あれからもう20年経っている。当時はマスコミが、年功序列とか終身雇用とかしごきの旧来文化への攻撃に、うつつを抜かしていた時代ではなかったか。彼らは歌舞伎とか文楽の狭義の伝統文化には迎合的な報道ぶりだったが、それを支える背景の日本文化にはいたって否定的であった。
4/13の毎日新聞に世界最貧国パングラデシュの衣料品輸出が躍進しているとあった。低賃金(中国上海の1/4)のため新「世界の工場」となりそうという。かって日本は低賃金を武器に英国の繊維業界を圧倒した。それが排日の原因に成り、世界大戦への流れを作った。現代は低賃金諸国に産業が移転し自国産業が空洞化しても、その阻止のために戦争手段に訴えようなどと考える国はない。二次大戦という我が国の大きすぎる犠牲も後進国の浮上という目的には役立っている。それをまともに評価しようとする後進国がほとんど無いのは残念だ。
NHK SP 「アフリカンドリーム 第1回“悲劇の国”が奇跡を起こす」はルワンダが悲劇の大虐殺から立ち上がり、年間8%の経済成長を続けていることを報道した。大虐殺時代に世界に散った200万人からのディアスポラ(離散者)の中の成功者たちが帰国し、国の発展に貢献している。彼らは近代的な経営術、技術を身につけ、成功者としての豊富な資金を投資する。一例として日本を出発点とした不動産王の建てる高層ビルが紹介されていた。フツ族とツチ族の抗争は、ベルギーが植民地政策として民族間対立を煽ったためとされている。この対立を和らげる目的も兼ねて、ツチ族の農業資本家が、フツ族の貧しい農村に、対等の条件でコーヒー事業を持ちかける姿が映し出された。
中国1~3月の経済成長率が11.9%となった。4/16の毎日によると、5/1にオープンの万博を控えて上海では土地建物の価格上昇が過熱している。安定期の3倍を超すという。バブル景気を心配する声が出ている。青海省チベット族自治州でM7.1の直下型浅層地震が起こり、600名を超す死者を出した。
米ロの新核軍縮条約に双方の大統領が署名した。弾頭数についての検証体制が明記された。「核兵器無き世界」への前進として歓迎される。初の「核安全保障サミット」がワシントンで日本の鳩山首相を含む47カ国の首脳を集めて開かれ、テロ防衛のために核管理を強化する方向で一致した。ウクライナとカナダは高濃縮ウランの国外移転を表明し、日本は核不拡散分野の人材育成を進める支援センター設置を表明した。
アイスランドの火山噴火が欧州の空のダイアを乱している。4/16時点で上空の飛行禁止処置を打ち出す国が12カ国になり、英ヒースロー空港、独フランクフルト空港ほか4大空港が閉鎖になった。過去に長期噴煙活動で低気温と酸性雨をもたらし飢饉になった歴史がある。1783年の噴煙は北半球を覆い、日本では天明の大飢饉を引き起こした。
G20は世界経済の回復が予想以上との認識を示した。ギリシャがEUとIMFにたいし緊急融資を要請した。ギリシャの10年もの国債の利回りは同日8.9%まで上昇した。ドイツものとの利回り差は一時6%以上に拡大した。5兆円規模の支援がなされる模様であるが、金利は数%(ドイツなら1.5%)と予想されている。ギリシャの'09年の対GDP債務残高は115%という。EU諸国の最悪はイタリアでほぼ同程度だが、'09年度財政赤字は5.3%とギリシャの13.6%より格段にいい。日本の対応数字は190%、10.5%だ。奈落の底を毎日眺めて暮らす薄ら寒い現状だ。4/29の読売の「国債暴落のシナリオ」に、日本国債の保証料率が年明けに昨秋の2倍になったとあった。

('10/05/02)