慰霊の旅

2002年夏

堤さん、都子さん、龍彦くんそれぞれの慰霊地を訪ねる音楽巡礼の旅


 夏も終りの8月24日(土)から2泊3日の日程で、坂本弁護士一家巡礼の旅コンサートが行われました。サクソフォン奏者中川美保さん、ピアノ伴奏の阿部由紀子さん、独奏ピアノ奏者山本麻紀さんらの演奏により、新潟、富山、長野と3人の慰霊地を訪れながらのコンサートが開かれ、私は24日、25日と大山さんご両親と一緒に参加しました。

 この音楽巡礼の旅は、日本フィル協会の今野さんの呼び掛けに賛同した方々からなる一行によるもので、今回で3度目となります。関東近辺より約20名が参加し、新潟県名立町役場に集合して、まず大毛無山(堤さんの地)へ。今年の台風の影響で崖崩れの危険があるため町の車が先導してくださり、山道の途中に立つ「慰霊碑まで7キロ」などの道標を横目に登りました。
慰霊碑を前に、サクソフォン奏者の中川さんが「すみれ」など追悼の曲を演奏してくださり、静かな音色の響く山の中、一人ひとり線香をあげて手を合わせました。

 

 初日の午後は障害者救護施設「名立園」でコンサート。その後、富山県魚津へ移動して、僧ヶ岳の麓にある「片貝小学校」での『星ふる夜』のコンサート。新築の体育館は、150個用意したイスがほぼ満席になりました。

 翌日は朝一番に僧ヶ岳(都子さんの地)へ。車を運転しながら大山お父さんは、「この山の中で穴が掘れるのはあそこだけとのこと。計画も立てずにあんなところを選べるわけがない。」と怒りを抑えての言葉。実行犯への怒りと共に、計画的な犯行かどうかをきちんと検証しない検察や裁判所への不信の言葉でもありました。慰霊地へはその土地の所有者の方々も一家で同行して下さったのですが、小学校でのコンサートには手作りの押し寿司を、またその日は畑でとれたというスイカを頂きました。そしてお母様からは「自分の娘だったらと思うと・・・」といつも慰霊碑の周辺をきれいにしてくださっている思いも伺いました。

 都子さんへの祈りの後は魚津から長野県へ入り大町へ。龍彦ちゃんが発見された土地にはお花も供えられ、周りはきれいに草が刈ってありました。そこから車で5分ほどの所に大町ダムがありますが、そこは別名龍神湖と呼ばれており「龍の子太郎」の伝説の場所。その公園に慰霊碑が建てられてあります。龍にまたがった「龍の子太郎」の像のそばに慰霊碑があり、大山お母さんは「おにいちゃんの龍の子太郎と一緒に遊んでいるように思える」と話されていましたが、その場に立つと、まさに龍にまたがった龍の子太郎が、龍彦君に呼びかけて、公園を遊びまわっているような感覚になってきます。

 午後のコンサートは老人保健施設「虹の家」で。コンサートの最後は「ふるさと」をみんなで合唱しました。夜は巡礼の旅・最後のコンサート。ちひろ美術館のコンサートホールも100名余の参加者で埋まりました。

 最終日、私は仕事のため朝一番で東京へ戻りましたが、音楽の持つ素晴らしさを実感すると共に、音楽を通してそれぞれの慰霊地の方や2日間同行した方たちと出会えたことに感謝しながら列車に乗りました。

<都子基金>事務局・谷口眞弓

<都子基金>通信第4号の文章から