東京湾・三番瀬は「豊饒の海」

〜読売新聞のコラムより〜


鈴木良雄



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 12月15日の『読売新聞』(夕刊)が「コンパス」欄で三番瀬をとりあげています。
    《三番瀬で最も圧倒されるのは冬鳥のスズガモではないかということだ。沖合を埋め尽くすように浮かぶその数は、10万羽ともいわれる。コンビナートや空港などのため埋め立て尽くされた東京湾が、10万羽のエサとなる貝類や海藻を供給し続ける「豊饒の海」であることがにわかに信じられない。》

    《三番瀬は経済大国をめざして突き進んできた日本の自然の残滓(ざんし)のような存在だが、その脆弱(ぜいじゃく)さと、私たちが手にした豊かさの意味を考えるのにも最適の場所である。》
 とてもすぐれた指摘だと思います。




《『読売新聞』2008年12月15日夕刊》

  【コンパス】

東京湾 実は「豊饒の海」


 週末にひとり、東京湾にかろうじて残された干潟・三番瀬を訪ねた。寒くてたまらないが、そこには何ともにぎやかな風景が広がっていた。

 海上ではヒドリガモやオナガガモなどが漂いながら休憩している。その中に、隊列をつくった90羽ほどのハジロカイツブリが「邪魔だ」と言わんばかりに突進、小魚やエビを求めて次々と海中へダイブする。空には、ひとつの巨大生物のように刻々と形を変えるハマシギの群舞。さらにその先には、真っ白に化粧した富士山が首都圏を睥睨(へいげい)するようにそびえていた。

 「もったいないくらいにきれいだ」。カップルで来ていた若い男性が霊峰の美しさに声を上げる。それに同意しつつ、返事するのも何なので、黙って波打ち際を歩く。そこで思ったのが、三番瀬で最も圧倒されるのは冬鳥のスズガモではないかということだ。

 沖合を埋め尽くすように浮かぶその数は、10万羽ともいわれる。コンビナートや空港などのため埋め立て尽くされた東京湾が、10万羽のエサとなる貝類や海藻を供給し続ける「豊饒の海」であることがにわかに信じられない。

 全国の砂浜のうち、植生が豊かで堤防や護岸などの人工物がない自然の浜は7%しか残っていないという。日本自然保護協会が1308か所の砂浜を調べた結果だ。三番瀬は経済大国をめざして突き進んできた日本の自然の残滓(ざんし)のような存在だが、その脆弱(ぜいじゃく)さと、私たちが手にした豊かさの意味を考えるのにも最適の場所である。(小川祐二朗)
       










真っ白に化粧した富士山がくっきり




ハマシギの大群




スズガモ




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