地球温暖化への適応を理由に土砂投入推進

〜三番瀬円卓会議の倉阪秀史委員〜


鈴木良雄

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 三番瀬円卓会議を終始リードしたのは、磯部雅彦委員(東京大学大学院教授、海岸工学)と倉阪秀史委員(千葉大学助教授、環境アセスメント)でした。円卓会議の委員で、163回におよぶ会議(親 会議、専門家会議、小委員会、ワーキンググループ)にほとんど出席したのは、この2人だけです。2人だけが全体を掌握していました。
 円卓会議は最初から、猫実川河口域(三番瀬市川側海域の一部)への土砂投入が最大の焦点でした。土砂投入の必要性を一貫して主張したのも、この2人です。


●「100年先のことを考えると、砂を入れていかざるを得ない」

 倉阪委員は、三番瀬への土砂投入はなぜ必要かということを、自分のホームページ「三番瀬円卓会議のパブリックコメントに関して」で主張しています。
 必要性の一つとして、地球温暖化への適応をあげています。倉阪氏の主張はこうです。
     「100年先のことを考えると、私は海にある程度砂を入れていかざるを得ないと思います。なぜかといいますと、地球の温暖化の話があります。100年後、2100年には、海面が9センチから88センチ上がるというふうに予測されているわけです。したがって、そうやって上がった段階でいきなり砂を入れたら生態系が壊れてしまいますから、今の生態系が維持できるようなペースで砂の補給をしていかないと、この干潟の生態系自体が壊れてしまうと、そういう可能性が大変高いと思います。
     したがって、今の三番瀬を維持するために徐々に砂を入れていかざるを得ないと、100年後のことを考えた場合。徐々に地球の温暖化によって海面が上昇していくということを考えた場合、やはりそれに適応していくようなことをやっていかざるを得ないと思います。ですから、それを見通して考えると、今から実験をやっていきながら、ある程度生態系がなじむような形で砂を補給していくということを、この地先に実験地を設けていって、ここの後背地あたりで、ある程度外から来た人が三番瀬の自然ということにも触れ合えるようなものも兼ねて、自然再生、あるいは地球温暖化への適応ということを考えていきたいと思います」


●地球温暖化をふせぐ手だてを考えることが先決なのに…

 先日、全国の自然保護団体の集まりでこの話をしました。そうしたら、出席者はみんな、あきれ顔でこう言いました。
     「地球温暖化をふせぐ手だてを考えることが先決なのに、温暖化への適応ということで浅瀬への土砂投入を主張するとは。とんでもない環境派学者だ。そもそも、温暖化防止に貢献している浅瀬をつぶすこと自体がまちがっている」
 まったくそのとおりです。倉阪氏の論法でいったら、藤前干潟など、全国各地の干潟・浅瀬に土砂を投入しなければならなくなります。しかし、三番瀬円卓会議の委員は、こんな主張にだれも反論しませんでした。円卓会議のレベルがわかります。


●生き物に関心をもたない環境派学者が増えている

 倉阪氏はホームページで、「わたし自身、環境側に立つ委員であると自認しています」と述べています。じっさいに、環境派の学者としてシンポジウムなどにもよく呼ばれているそうです。たとえば、9月5日に開かれた「環境シンポジウム2004千葉会議」の「ごみ問題分科会」では、基調講演をつとめました。
 円卓会議を傍聴した人はご存じのように、倉阪氏は猫実川河口域への土砂投入を主張しつづけましたが、この海域にどのような底生生物が生息しているかなどはあまり知りません。大潮の時は広大な干潟があらわれるのに、そこに足を踏み入れたこともありません。
 こんな環境派学者がどんどん増え、幅をきかせているのです。空恐ろしくなってしまいます。


●「今の学者は収入を得るために学問をやっている」

 沖縄大学名誉教授の宇井純さんは、東京で開かれたフォーラム「いよいよ沖縄の自然があぶない」(7月25日)で、南方熊楠(みなかたくまくす)が次のように語ったことを紹介しました。
     「昔の博物学者に比べると、今の生物学者は質が劣っている。昔の学者は、自分が調べているものは好きでやっていた。だから、一生懸命観察し、その結果を記録に残した。ところが今の学者は、食べるため、あるいは収入を得るために学問をやっている。本を読んで議論するが、肝心のモノを見ようとしない。だから、そういう連中は役に立つような答えをだすことができない」
 宇井さんはこう述べました。
     「これは痛烈な批判である。私が沖縄大学で見たのは、まさにそのとおりだった。たとえば、赤土問題がそうである。県や学者がだした対策ではなく、テレビのディレクターをやっていた方やアマチュアカメラマンがだした提案の方が、赤土を止めるのにはるかに役に立っている」
 これを聞き、三番瀬海域への土砂投入を主張したり、それに賛成した環境派学者を思い浮かべました。

(2004年9月)





三番瀬再生事業の柱は「石積み傾斜護岸+人工砂浜」など





「石積み傾斜護岸+人工砂浜」のイメージ図







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