三番瀬円卓会議は長野方式を参考にしてほしい

〜「住民参加を考えるシンポジウム」に参加して〜


鈴木良雄



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 (2002年)11月4日、住民参加を考えるシンポジウムが船橋市内で開かれた。千葉県が主催したもので、タイトルは「今なぜ住民参加なの?〜三番瀬円卓会議から政策提言型の民主主義・千葉モデル」である。
 千葉の干潟を守る会、三番瀬を守る会、千葉県自然保護連合など、三番瀬保全運動をすすめているメンバーも多数参加した。


■米国ではファシリテーターが活躍

 米国セントトマス大助教授のミリヤ・ハンソンさんは、住民参加と合意形成について講演した。
 ミリヤさんの職業はファシリテーターである。ファシリテーターというのは、会議などで合意形成を得るために、参加者の意見を引き出したり、整理して新しいアイディアが出るように支援する人のことだ。「住民参加の案内役」といってもよい。円卓会議のような合意形成の場では、委員の選考、会合の運営・進行などについてもアドバイスする。
 米国では、ファシリテーターも、かつてはボランティアだったが、いまでは立派な職業になっているという。
 ファシリテーターはNGO(非政府組織)間の調整もおこなう。米国ではこうした調整・調停役が立派な職業になっているということを聞かされ、カルチャーショックを受けた。


■コンセンサス会議の準備期間は6か月〜1年必要

 東京電気大学の若松征男教授は、コンセンサス会議(円卓会議など)においては、開催決定や準備に6か月から1年程度かける必要があると話した。また、多様なメンバーを加え、公平で透明なものにする必要があるとも述べた。
 この点からいえば、三番瀬円卓会議は問題がある。同会議は、準備会の立ち上げから本会議(円卓会議)の発足まで、わずか2か月である。構成をみても、三番瀬の埋め立て反対運動をすすめてきた地元環境団体のメンバーは、24人の委員中、わずか1人である。逆に、埋め立て推進派は何人も委員に選ばれた。2つの小委員会の新規委員選出にあたっては、埋め立て反対派を全員落選にした。しかも、なぜ全員落選にしたかということは、いっさい明らかにされていない。


■長野県では事務局をコンサルタント会社が担当

 東京工業大学の原科幸彦教授は、環境アセスメントと住民参加について講演した。そのなかで、とくに長野県における廃棄物処理施設問題の事例が印象的だった。
 原科教授は、同県の田中康夫知事から廃棄物処理施設問題の解決を依頼され、住民参加の検討委員会の委員を引き受けた。引き受けるに当たり、委員会設置の条件として次の点を田中知事に示した。
    1.委員構成
      行政から独立した判断により、多様な利害関係者を選出する。
    2.事務局の独立性の確保
       事務局は、行政からの独立性を確保するために、県ではなくコンサルタントが担当し、その選定も委員会が行う。
    3.会議の公開
       会議は原則公開とし、傍聴も許す。会議をビデオ録画し、CATVなどで放送する。議事録は、発言者名を明記したものを作成し公表する。
    4.情報公開の徹底
       検討会での議論に必要な情報で県が所有するものはすべて提供してもらう。
    5.住民参加の推進
       適宜、傍聴者からも意見を聞くとか、意見書を受け付ける。
    6.会議全体のスケジュール
       毎月1回程度は会議を開催するが、開催間隔を2週間は空ける。十分な議論のためには、事務局の会議情報準備や、委員の所属団体との意見調整などのための時間が必要である。真の議論の必須条件である。
    7.中立性の高い委員長を選ぶ
       当該地域で中立性の高い人物の選定が困難な場合は、地域から離れた外部専門家を選ぶことも望ましい。

 この7項目の条件を、田中知事はすべて了承した。
 こうした内容で開かれている検討委員会は、議論が活発におこなわれ、合意形成がかなり進んだという。県が策定中の長野県廃棄物処理計画にも反映されるそうである。
 とくに注目されたのは、事務局を県ではなくコンサルタント会社が担当したという点である。それも、検討委員会が選んだ。この点について原科教授は、「事務局を行政が選ぶと、行政のいいなりになってしまうため」と語った。
 三番瀬円卓会議の場合は、県が事務局を担当している。


■「千葉よりも長野の方が進んでいる」が率直な感想

 今回のシンポに参加して思ったのは、住民参加は千葉よりも長野の方が進んでいる、ということである。
 堂本千葉県知事は、三番瀬円卓会議について、「徹底した住民参加と情報公開という類のないものであり、新しい時代にあった公共事業の進め方のモデルになる」ということを盛んに自慢している。しかし、委員選出や、事務局の外部委託などをみると、長野のほうがはるかに進んでいる。
 これは、私だけでなく、多くの参加者が感じたようだ。たとえば、Sさんは会場から次のように発言した。
「きょうは、パネラーの先生方から住民参加ということでいろいろな話を聞きたいへん勉強になった。やはり日本は遅れている思う。海外の先生がいらっしゃって、海外のすばらしい経験を教えてくださった。それをやれば住民参加が非常に成功するような例が海外にたくさんあることがわかった。そこで千葉県の話だが、やはり、千葉県も外国に学んでいないのではないかと思う。三番瀬円卓会議の場合、まずファシリテーターがいない。それから、事務局を千葉県が担っている。それから、こういうふうなシンポジウムも、海外の貴重な体験が聞けるはずなのに、円卓会議がかなり進んでから開いている。そんな段階で海外の情報が入ってくるということになってしまうと、言葉は悪いが茶番になってしまうのではないか。これから三番瀬の円卓会議を本当によくしていくために、ファシリテーターに入ってもらうとか、事務局を中立にするなどをやってほしい」

 原科教授も、途中出席した堂本知事に対し、事務局の外部委託化などをぜひ実現してほしい、と要請した。

(2002年11月)   






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