人工干潟造成が新たな「環境ビジネス」に

〜朝日新聞のレポートより〜


「自然通信ちば」編集部



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 (2002年)1月13日の朝日新聞(全国版)がかなりのスペースを使って「海での自然再生」をとりあげています。タイトルは、「自然再生 干潟や砂浜を新たに造り出す時代/海に再び帰る「世界一」のマリコン/環境修復にハイテク応用」です。
 記事は、小泉政権が来年度から東京湾などで本格推進する「自然再生型公共事業」が大きな新しい「環境ビジネス」として注目されていることや、五洋建設などのマリコン(海洋土木工事会社)が「海に再び帰る」、つまり人工干潟造成などの受注を新世紀の課題としていることなどを書いています。
 一部を引用するとこうです。


●人工干潟造成もマリコンの仕事

    《五洋建設環境研究所の中瀬浩太さん(43)はひんぱんに現場を訪れる。生態系への影響など環境面で土木技術者を手助けするのが仕事だ。
     西の海に話は移る。関西空港2本目の滑走路を造る2期工事で13キロに及ぶ護岸が昨年末にほぼ完成した。五洋は工事の一部を請け負った。
     現場を任されたのは小倉隆夫さん(48)。衛星で位置決めをする装置により埋め立て作業の精度は高まった。軍事技術が転用されたハイテクで動く船が活躍する。「こうした自然を守ることとは関係ない技術も環境の修復・復元作業に応用できるんですよ」と小倉さんはいう。新しいものをつくるだけではない。干潟や浜の再生もマリコン五洋の仕事だ。小倉さんは90年前後に人工干潟をつくる事業を広島・五日市の海で手がけた。
     水鳥の楽園となっていた約24ヘクタールの干潟を埋め立てた広島県は、代わりに近くの河口にほぼ同じ広さの人工干潟を造成する事業に取りかかった。その工事を請け負ったのが五洋だった。
     河口部の埋め立て地の粘土を船やベルトコンベヤーで搬入し、その上に海砂を散布した。干潟をつくるのは難しかった。得意の埋め立て・しゅんせつ技術がなかなか通じない。》

●自然は甘くない

    《だが、自然は甘くない。手慣れた港湾建設のようにはいかなかった。完成から数年でもう干潟が約1センチ沈み、岸から120メートルのところまであったのに、半分ほどに縮んでしまった。砂がたまって干潟が砂浜に変わってしまったり、土砂が台風で大量に押し流されたりと予期しない事態も起きた。(中略)
     小倉さんの五日市での経験と助言をもとに、海水の浄化能力が高いアマモの移植機械の開発に乗り出したスタッフもいる。
     五日市は一時、「開発か保全か」で揺れた名古屋市の藤前干潟のモデルでもあった。どちらも失われる干潟の代わりに人工干潟を設ける構想だった。調査した関係者は、人工干潟について「自然の干潟に及ばず、真の意味での代償措置とはいえない」「生態系への影響や維持管理費など財源負担が大きい」と疑問を投げかけた。
     藤前干潟は自然のまま残った。
     時代が少しずつ動いているのかもしれない。海を埋め立て、橋や道をつくることに力を入れてきた自民党の国土交通部会が昨秋開いた会合のテーマのひとつは、「川に蛇行を取り戻す」。欧州の専門家が来日してレクチャーした。国土交通省が新年度に本格的に始めるプロジェクトの目標は「泳げる東京湾」。》

●人工干潟造成は新たな形の公共事業

    《小倉さんが手がけた広島の試験的な干潟再生は、新たな形の公共事業として小泉政権が新年度から本格推進する自然再生事業で避けては通れない「教科書」ともいえる。コンクリートで固めてしまった太平洋側の東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海の自然再生は大きな新しい「環境市場」になるかもしれないのだ。(中略)
     海外では「ペンタ・オーシャン」の名で知られる五洋建設。1896年、海軍の街、広島県呉市で産声を上げた。横須賀など全国の軍港建設を手がけ、しゅんせつの技術を積み上げた。国内では海を埋める一方、陸上での建設事業にも力を入れる。81年にはスエズ運河の工事で、エジプト政府から国際入札によらない特命発注を受けて業界を驚かせた。アジアでも海洋工事には強く、シンガポールでは埋め立て工事のシェアは半分を占める。
     五洋は、上場以来初の赤字となった86年度から、含み損を抱えた不動産などバブルの負の遺産処理を進めている。こうした処理ができるのは、「本業」の海洋土木部門で安定的に高い利益をあげているからだ。「経営資源の海への再集中や環境ビジネスの強化が新世紀の課題」という声が社内にはある。得意の「海」へかじを切れるか。》
     

 以上です。  「自然再生」「人工干潟」「マリコン」「環境ビジネス」などは今後、三番瀬問題を理解するうえで大事なキーワードとなると思います。

(2002年1月)




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