三番瀬問題の深層をえぐった本

〜永尾俊彦著『公共事業は変われるか』(岩波ブックレットNo.705)〜


「自然通信ちば」編集部



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 東京湾奥部に残る干潟・浅瀬「三番瀬(さんばんぜ)」の諸問題を知るのに絶好の本が出版されました。永尾俊彦著『公共事業は変われるか─千葉県三番瀬円卓・再生会議を追って』(岩波ブックレットNo.705)です。この本を読むと、三番瀬をめぐるさまざまな動きや問題の深層がかなりわかります。ご一読をおすすめします。
 以下、この本があぶりだしていることなどを紹介させていただきます。


1.三番瀬の人工干潟化を主張する学者らは多額の委託費をもらっている
2.藤前干潟の人工干潟造成を批判した学者が三番瀬では積極推進
3.円卓会議で論文発表と逆のことを主張した学者
4.三番瀬円卓会議の成果は「空証文」だった
5.表面上はケンカをしながらも利害が一致
6.第二湾岸道、ラムサールなど肝心な議論はタブー





1.三番瀬の人工干潟化を主張する学者らは
  多額の委託費をもらっている


 まずは、猫実川河口域(三番瀬の市川側海域)の人工干潟化(=埋め立て)を主張している学者や市民団体が行政や企業から多額のカネをもらっているということです。

■F教授らは市川市から4年間で2110万円を受託

 この海域の人工干潟化を盛んに主張しているF教授(東邦大学)についてはこう書かれています。
    《情報公開で入手した同市(市川市)の資料によれば、風呂田教授らは02年から05年の4年間に同市から「市川の海再生実験」「三番瀬市民生物調査」「行徳内陸性湿地生物調査」で合計2110万円もの委託を受けている(委託先は東邦大学理学部)。風呂田教授と小埜尾氏、市川市、行徳漁協、市川塩浜協議会、千葉県は人工干潟化という点で利害が一致している。だから、何の利害も持たない自然保護団体と対立することになる。》

■マリコン(海洋土木工事会社)から5年間で1900万円

 つぎは、「三番瀬再生計画検討会議」(通称:三番瀬円卓会議)で猫実川河口域の人工干潟化を執ように提案したI教授(東京大学)です。
    《利害という点では、円卓会議の議論を終始リードした磯部委員も同じだ。情報公開で入手した資料によれば、磯部委員は海洋土木の大手で人工干潟やアマモ場の造成なども手がけている五洋建設と東洋建設から02年〜06年までの5年間に総計1900万円もの寄付を受けている。企業がこれだけの投資をするということは、人工干潟やアマモ場の造成などの自然再生事業が、新しい利権として狙われていることを示唆する。
     もっとも、寄付の使途は委託研究と違って特定の目的に限定されているわけではないが、磯部委員の研究が両社の利益に合致したものだということは確かだろう。そういう研究者を委員に委嘱するめは議論の公正さを阻むことにならないだろうか。》
 円卓会議がまとめた「三番瀬再生計画案」には、自然保護団体の反対を押し切って「砂護岸」(護岸改修+人工砂浜造成)の建設が盛り込まれました。その立役者となったのはI教授です。県はこの「砂護岸」建設を、猫実川河口域人工干潟化の「突破口」と位置づけ、その工事をどんどん進めています。

■人工干潟造成推進の市民団体も市川市から多額の委託費

 猫実川河口域の人工干潟化を推進している市民団体も、猫実川河口域の人工海浜化を推し進めている市川市から多額の委託費を毎年もらっています。
    《小埜尾らの「対案」とは、トヨタ財団の研究助成を受けて行った調査によって1990年に発表したものだ。要するに市川塩浜地区などで人工干潟やアシ原、藻場などを造成して海から陸への連続性を取り戻すというものである。
     この構想は、市川塩浜地区を再開発したい市川市や市川塩浜協議会の思惑と一致する。だから、「三番瀬フォーラム」関連の団体は、市川市や同協議会と懇意だ。  その一つ「NPO法人三番瀬環境市民センター」は、同市がJR市川塩浜駅前に設置している「市川市三番瀬塩浜案内所」の管理運営を同市から委託されている。情報公開で入手した資料によれば、委託金額は2004年度から06年度までの3年間で910万円だ。業務の内容は月曜日を除く毎日午前10時から午後3時まで1名以上が常駐し、案内所の管理などを行うというものである。
     その他、同センターは02年度には「海の見学会〜いちかわの海・市民探検隊」を88万円で、03年度には「藻場アシ原再生調査事業」を150万円で市川市から委託されている。「カキ礁探検隊」が手弁当で調査をしているのと好対照だ。》

■権力にすりより、自然破壊に荷担

 ご覧のように、三番瀬海域の人工干潟化を主張したり、その旗振り役となっている学者・市民団体は、開発をめざす行政や人工干潟造成を手がける大企業から多額のカネをもらっているのです。
 いまの日本はそういう学者や市民団体がたいへん多いようにみえます。戦前や戦中は、過酷な弾圧によって、ほとんどの知識人や活動家・政治団体・市民団体が権力にすりよりました。しかし今は、そういう弾圧がないのに、知識人や市民団体などが雪崩をうったように迎合です。情けないことだと思います。





2.藤前干潟の人工干潟造成を批判した学者が三番瀬では積極推進


 三番瀬・猫実川河口域の人工干潟化(=埋め立て)を主張するF東邦大教授について、永尾さんはこう記しています。

■「生物が増える保証はない」「やってみなければわからない」

    《市川市や小埜尾氏らが主張する人工干潟を推進する理論的支柱になっているのが、前出の風呂田利夫・東邦大学教授だ。だが、風呂田教授は、名古屋市の藤前干潟がかつてゴミで埋め立てられようとしていた際には、その代償措置として計画された人工干潟を批判していた。
     そこで、同教授に電話で話を聞いた。
     ――人工干潟についての先生のお考えをうかがいたいのですが。
     「人工干潟によって犠牲になるものと新たに生まれてくるものがいます。畑を耕すにしても、犠牲になる生物はいるが、耕すことでそれ以上の生物が生存できるようになります。人工干潟によって新たに生まれてくるものが多ければ環境は良くなります」
     ──しかし、人工干潟にして生物が増える保証はあるのでしょうか。
     「その点はインターネットでも攻撃されているが、誰も保証なんかできませんよ。やってみなければわからない」
     ――藤前干潟の埋め立てが問題になった時に、先生は人工干潟を批判されていましたが…
     「人工干潟を十把一(じゅっぱひと)からげにして批判するのはおかしいですよ。それは感情論です。藤前の場合は現状の干潟を潰して人工干潟をつくるので批判したわけです。猫実川河口の場合は今の干潟の質を高めるために人工干潟が必要だと言っているのです。画一的な判断基準は不満です」
     今の干潟の質を高めるために人工干潟がどう役立つのか、風呂田教授に会って聞きたかったが、それ以上の取材は拒否されてしまった。》
 ご覧のように、「猫実川河口域の場合は今の干潟の質を高めるために人工干潟が必要」と言いますが、人工干潟にして本当に生物が増えるかどうかは「やってみなければわからない」です。こんなのありでしょうか。

■人工干潟にすれば、安心して環境学習ができる?

 一方で、F氏は、人工干潟化の必要性として「安心して環境学習ができる」を盛んに主張しています。
 たとえば、市川市が開いた「行徳臨海部まちづくりシンポジウム」(2002年9月29日)でF氏はこう述べました。
     「私も、猫実川河口域の状況はよく知っている。問題は今の生物を犠牲にしても人工干潟をつくって環境修復をしていかなければならないということだ」
     「私がいま危惧しているのは、三番瀬の環境をきちんと話せたり、三番瀬に日常的にかかわれる人がわずかしかいないということだ。そういう人を増やすために人工干潟をつくることが必要だ。人工干潟を環境学習の場とする。そういう仕掛けとして人工干潟の造成が必要となっている」
     「アナジャコが生息していることについての意味だが、アナジャコは水質浄化に大きな貢献をしている。しかし、そういうものは子どもたちに見せることができない。安全な状況で見せるためには、人工干潟をつくる必要がある。問題なのは、子どもたちの環境学習の場としていくことだ」
 F氏は、別の場所でこんなことも述べています。
     「環境研究の場所としても、立入禁止にして船で行かなくてはいけない場所よりも、また、カキで足を切るよりも、このような自然形状の場所の方が研究しやすい。安全確保も優れている、塩害防止にもつながるということから、こういう評価をせざる得ない。そういうことからすると、そんなに人工干潟を嫌わないでいただきたい。人工干潟は、もっとたくさんいろいろないい面がありますよということを結論にさせていただきたい。」(第16回「市川市行徳臨海部まちづくり懇談会」
 近刊の『干潟ウォッチング フィールドガイド』(誠文堂新光社発行、市川市・東邦大学東京湾生態系研究センター編著、風呂田利夫監修)も、そんなことがあちこちに書かれています。

■「今の生物を犠牲にしても人工干潟をつくらなければならない」

 要するに、F氏の人工干潟造成論は次のようなものです。
  • 猫実川河口域にはアナジャコがたくさん生息していて、水質浄化に大きな貢献をしているが、そういうものは子どもたちに見せることができない。
  • 人工干潟にすれば、カキで足を切ったりせずに、安全に環境学習ができる。
  • そうすることによって、三番瀬の環境をきちんと話せたり、三番瀬に日常的にかかわれる人を増やすことができる。
  • したがって、今の生物を犠牲にしても人工干潟をつくらなければならない
 これはいったいなんでしょうか。
 猫実川河口域は、多種多様な生き物が生息する重要な浅瀬です。大潮の干潮時には約30ha以上の広大な泥干潟が現れます。県の生物調査では、動物196種、植物15種が確認されています。そのなかには、県レッドデータブックに掲載されている希少種も11種が含まれています。アナジャコも無数に生息しています。まさに、ここは三番瀬の中でもっとも生物の多い海域であり、東京湾漁業にとっても大切な“いのちのゆりかご”となっているのです。
 猫実川河口域をつぶせば、三番瀬全体や東京湾に大きな影響がおよびます。これは、諫早湾閉め切りが有明海の環境に大打撃を与えたことでもわかるでしょう。
 そんな大切な干潟・浅瀬を、安全な環境学習ができるようにするために埋め立てて人工干潟にすべきというのです。よく恥ずかしくもなく、こんなことを堂々と言えるものだと思います。

■擬似的な環境学習によって得られる知恵は本物ではない

   危険性の少ない人工自然(疑似自然)で子どもたちに環境学習をさせることについては、こんな批判がされています。
    《今は、海水浴にいくといっても、海水浴場が危ないから砂場にプールを作り、海がその向こうに見えるプールで泳ぐということが当たり前になっています。海で泳ぐのは危ないというのです。おかしな話ではありませんか。そういう危険性の少ない自然の模型、いわば「偽自然」のなかにしか子供をおかないというのは愚かなことです。生の自然は恐ろしくて危険なものですが、そういうものに触れないといけない。危険を怖がって避けていたら、もっと大きな危険が生まれ、襲ってくるような気がします。
     やはり、本当の自然、生の環境に身を置き、そこで生きるという経験から、人間の知恵というものは出てくるものだと思います。これは子供の教育に限ったことではありません。擬似的な環境や学習によって得られる知恵は本物ではない。実践の場で学び、習得していく知恵こそが本当の知恵だといえるでしょう。》
        (稲盛和夫・梅原猛『哲学への回帰』PHP研究所)
 まったくです。F氏は、こんな当たり前のことがわからなくなったようです。





3.円卓会議で論文発表と逆のことを主張した学者


 東京大学のI教授は、「三番瀬円卓会議」(2002年1月〜04年1月)で、O会長(大妻女子大学教授)とともに重要な働きをした学者です。
 県の意向を受け、猫実川河口域の人工干潟化を執ように提案しました。三番瀬保護団体の猛反対でこれがオジャンになると、次は、人工干潟化をにらんだ「砂護岸」(石積み傾斜護岸+人工砂浜)の建設を提起し、これを「三番瀬再生計画案」に盛り込むよう動きました。このため、大浜清委員(千葉の干潟を守る会)や三番瀬保護団体などが強く反対したものの、「砂護岸」建設が「三番瀬再生計画案」に盛り込まれてしまいました。

■「研究者はいろんなことを考えているので歯切れが悪い」

 I教授は、論文「東京湾三番瀬の猫実川河口における底質環境の現地観測」(『海岸工学論文集』第50巻、2003年)で、猫実川河口域についてこんなことを書いていました。
    「表面から約30cmの土砂が、埋め立て工事が完了した1978年前後以降に堆積したことは確実である」
    「1971〜2003年に1m弱の堆積があったと推定される」
 ところが、円卓会議では、まったく逆のことを主張しました。猫実川河口域は地盤沈下しているので土砂を入れて人工干潟にすべき、と言い張ったのです。
 また、2003年11月に開かれた海岸工学講演会では、「東京湾三番瀬の猫実川河口における底質環境の現地観測」という論文を発表し、「猫実川河口では、(中略)必ずしも有機物が多いというわけではなく、ヘドロ化しているとは言えない」と述べました。
 しかし、円卓会議では、このことを一言も言わず、「ヘドロ化している」という意見をだまって聞いているだけでした。
 著者の永尾さんはそんなI氏に、「なぜ円卓会議で猫実川河口はヘドロ化してはいないと言わなかった」のかと聞いたそうです。そうしたらI委員は、「ジャーナリズムは一かゼロかと言いたがるが、研究者はいつもいろんなことを考えているので歯切れが悪いのです」と釈明したそうです。
 これは御用学者の典型ではないでしょうか。審議会では行政の意向を優先させ、日ごろの主張と違うことを言うのです。

■マリコンからカネをもらって自然破壊に荷担

 永尾さんは、I氏が人工干潟造成などを手がけるマリコン(海洋土木工事会社)から5年間で1900万円もの寄付を受けていることも明らかにしています。
    《利害という点では、円卓会議の議論を終始リードした磯部委員も同じだ。情報公開で入手した資料によれば、磯部委員は海洋土木の大手で人工干潟やアマモ場の造成なども手がけている五洋建設と東洋建設から02年〜06年までの5年間に総計1900万円もの寄付を受けている。企業がこれだけの投資をするということは、人工干潟やアマモ場の造成などの自然再生事業が、新しい利権として狙われていることを示唆する。》
 宇井純氏(故人、沖縄大学名誉教授)は、こんなことを述べていました。
    《公害の経過に見られたような、企業や権力から金をもらって、原因究明や被害者救済を妨害するために専門知識を利用した例は、犯罪として究明すべきであり、かつ学会のような専門家集団の中ではっきりと批判されるべきものである。》(宇井純「ある化学技術者の足取り」『公開自主講座「宇井純を学ぶ」』)
 行政や企業から多額のカネをもらって自然破壊に荷担する学者も批判されるべきと思いますが、どうでしょうか。
 以下は、永尾さんが、三番瀬円卓会議におけるI氏の言動にふれた箇所です。

《永尾俊彦著『公共事業は変われるか』より》

政治的取り引きの場になった円卓会議

 円卓会議は、この利害をどう乗り越えるかという議論がないまま、何が本当の自然再生なのかではなく、政治的取り引きの場になっていく。
 それが、最も象徴的に現れたのが第8回専門家会議(2003年9月13日)だ。この日は、懸案の人工干潟問題に磯部委員から概略次のように方向性が示された。その場の議論を聞いてまとめたというよりも、あらかじめ考えてきたことが明らかなよどみのないまとめ方だった。
    (1) 猫実川河口は、今も環境の多様性を提供しているので保護・維持していく価値がある。
    (2) ただし、直立護岸で流れが止められ、埋め立て地の陰に位置し、静穏になっているので夏には貧酸素化したり、還元状態になっており、生物欝には非常に厳しい。また貧酸素化する原因の一つとして地盤沈下が起こって水深が全体に深くなり、ベストではない。
    (3) ベストの方向は波や流れを取り戻す方向だ。浜があって汀線が干潮、満潮で動くことで流れもできる。そして波が砕けて、酸素が取り入れられる「さらし場」の機能を持っているのがより望ましい環境と言える。
    (4) だが、一遍にやるには十分な知見がなく、どこから土砂をもってくるのかも問題だ。
    (5) そこでは、塩浜2丁目あたりに護岸をつくり、その前に砂を1対3の勾配(3メートル先で「メートル下がる勾配)で置く。そしてその土砂が波で自然に侵食され、二都が猫実川河口にも溜まってだんだん浅くなるよう順応的管理でやる。また、2丁目で自然再生の試みをし、猫実川そのものを干潟化し、あるいは後背湿地化していくというような試みもし、そこからまた土砂が猫実川河口部に溜まっていって底が浅くなる。(中略)
 この「まとめ」では、砂を入れる前提として(2)で猫実川河口域は「水深が全体に深くなっている」ことが挙げられている。しかし、「カキ礁探検隊」の竹川美喜男さんらの調査では、猫実川河口域は1991年から03年にかけて堆積傾向にあり、むしろ水深は浅くなっているのだ。これは千葉県が行った深浅測量結果ともおおむね一致している。(中略)
 また、磯部委員の「まとめ」では猫実川河口は、「還元状態」になっており、生物棲息に非常に厳しいとされている。「還元状態」とは要するにヘドロのことだ。
 だが、磯部委員は03年11月に行われた海岸工学講演会で、「東京湾三番瀬の猫実川河口における底質環境の現地観測」という論文を発表し、「猫実川河口では、(中略)必ずしも有機物が多いというわけではなく、ヘドロ化しているとは言えない」としているのだ。
 しかし、円卓会議で磯部委員は一言もそれを言わなかった。前出の研究者は、「もし、磯部委員がこの事実を円卓会議で一言言ってくれれば、竹川さんたちの猫実川河口域は堆積傾向にあるという市民調査も加わって土砂投入案はくつがえった可能性が高い」と指摘した。磯部委員のこの「まとめ」は猫実川河口域の保全という自然保護団体の主張も一部取り入れ、また「科学」を装いつつ、しかし結局は人工干潟造成に道筋をつけた極めて政治的なものという印象を受ける。
 東大の研究室に磯部委員を訪ね、なぜ円卓会議で猫実川河口はヘドロ化してはいないと言わなかったのか聞いた。磯部委員は、「ヘドロ化という表現は使わなかったかもしれないが「生物がいないわけではない」とは発言しました。ジャーナリズムは一かゼロかと言いたがるが、研究者はいつもいろんなことを考えているので歯切れが悪いのです」と釈明した。
 磯部委員の「まとめ」は、その後の各委員会に報告はされたが、斎藤佐和子委員(一般県民)や大浜委員は「合意したつもりはない」と言う。また03年末には円卓会議がまとめた「再生計画素案」に対する一般市民の意見(パブリックコメント)が募集されたが、寄せられた79件の意見のうち55件(70%)が「市期塩浜護岸前(猫実川河口域)の土砂投入と干出域化」に反対で、賛成はたった1件だった(その他保留が5件、意見記載なしが18件)。
 だが、以後この「まとめ」通り計画案は進んでいく。





4.三番瀬円卓会議の成果は「空証文」だった


 永尾さんは、「せっかくの円卓会議の成果は、何と『空証文』にされていた」と書いています。
 たとえば、円卓会議のO会長(大妻女子大学教授)は、「三番瀬再生計画案」の「まえがき」に、猫実川河口の扱いについて「はっきりした結論が出ませんでした」と書き込みました。O会長はそれを、ほかの委員にはかることなくこっそりと書き込んだのです。
 以下は、同書からの抜粋です。