東京湾岸奥部の水鳥 2011年夏

〜とくにシギ・チドリ類の考察〜


田久保晴孝



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 2011年8月28−29日、例年行っている東京湾岸奥部での夏季水鳥調査を千葉市幕張の浜から東京都江戸川区地先の葛西海浜公園の範囲で行った。調査団体は千葉県野鳥の会、NPO法人行徳野鳥観察舎友の会、日本野鳥の会東京である。

 今回の調査では、計38種1万3652羽が観察された。個体数が1000羽を超えたのは、カワウ8187羽(60.0%)、ウミネコ3555羽(26.0%)の2種であった。分類構成としては、シギ・チドリ類が21種、サギ類7種、カモメ類5種、カモ類3種、カイツブリ類、ウ類各1種になる。

 シギ・チドリ類は21種903羽が記録された。ミユビシギ(328羽、36.3%)、ダイゼン(91羽、10.1%)、トウネン(90羽、10.0%)が多かった。場所別では、三番瀬(船橋側)が10種389羽と全体の43.1%で、この地域での主要な採餌及び休息場所になっている。

 ミヤコドリ、オオソリハシシギ、オバシギ、メダイチドリなどは、三番瀬の船橋側・市川側(塩浜海岸)、習志野市の谷津干潟、千葉市幕張の浜、及び江戸川区葛西の間を行き来している。これらの地域は、かつては干潟としてつながっていた。


 次いで種別の解説を。

◆ミユビシギ
 冬鳥。外洋の砂浜を好む小型のシギで、よく動いて小動物をとっている。近年、三番瀬で増加している。原因は干潟の砂質化か?

◆ミヤコドリ
 冬鳥。主にシオフキなど二枚貝を食べる。近年三番瀬で増加中で、2011年2月6日には240羽が記録された。今夏は40羽が越夏した。船橋・葛西沖のカキ礁で見かけることが増えた。

◆メダイチドリ
 1995年ころは谷津干潟で600羽も記録されていたが、今年は7月下旬に120羽が記録されたのが最大羽数。成鳥の渡りのピークは7月下旬〜8月上旬。

◆シロチドリ
 埋め立て地で多数繁殖していたが、繁殖適地の減少や、カラスなどの食害で減少している。1980年ころの谷津干潟では、3000羽が見られたが、今回は記録されなかった。

◆セイタカシギ
 木更津市の蓮田で10羽(つがい)程度、東京都中央防波堤外埋め立て地で2羽、東京都江戸川区の新中川沿いで2羽しか繁殖に成功していない。谷津干潟および葛西鳥類園でも抱卵したが、ヘビに食べられ失敗した。近年減少傾向。


 カウント場所ごとの考察をまとめる。

●谷津干潟
 面積は40ヘクタール。ラムサール登録湿地。習志野市立谷津観察センターがある。
 干・満時刻が三番瀬より1.5〜2時間遅れる。砂質化及びアオサ・ホソウミニナの増加などで、シギ・チドリ類が減少。満潮時、キアシシギ・セイタカシギ以外のシギ・チドリ類は、三番瀬などで休息する。表には記されていないが、調査当日の朝と夕には、キアシシギ20羽ほどが見られた。

●三番瀬・船橋側
 干潟150ヘクタール、浅瀬全体では1800ヘクタール。大きなカキ礁もある。
 砂質干潟でシオフキやコメツキガニが多い。人の利用も多い。東側の防泥堤が、シギ・チドリ類、カモメ類、カワウなどの、満潮時の重要な休息地になっている。3月11日の東日本大震災により、ふなばし三番瀬海浜公園は2012年3月末まで立ち入り禁止となっている。

(2011年11月)






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