三番瀬再生計画の作成は急ぐべきでない

〜三番瀬円卓会議に求められているもの〜


三番瀬を守る会 田久保晴孝



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●私も委員になれませんでした

 「三番瀬再生計画検討会議」(円卓会議)の下部組織「護岸・陸域小委員会」の新規委員に私も応募しました。しかし、Uさん、Tさん、Sさんなど三番瀬の埋め立ての白紙撤回を求めて長く運動してきた人たちは、私も含め、すべて選ばれませんでした。
 (2002年)6月19日に開かれた第2回「護岸・陸域小委員会」では、市川市の方が三番瀬の猫実川河口域を埋め立てて人工干潟をつくるイメージ図を発表しました。しかし、まずは、再生(復元)に関して各委員が共通認識をもてるよう、科学的データを元にしてよく議論してほしいと思います。
 また、世界の湿地保護の流れとなっている「ラムサール条約の湿地復元の原則」(注)に沿って再生(復元)計画をつくるべきで、急ぐべきではありません。


(注)「ラムサール条約の湿地復元の原則」を要約すると次の2点です。
  • 良質の自然の湿地は復元された湿地で置き換えることができない。
  • いかなる湿地復元計画において最も重要なステップは、非常に明確かつ具体的な目標、目的および到達基準をつくることである。


●現在の争点

 円卓会議で争点になっていることを3つあげます。
  1. 今ある海域(干潟、浅海域)を残すか、それとも、そこを埋め立てて人工干潟などをつくるか

       私たちは、現在ある干潟や浅海域は残して保全し、できるかぎり埋め立て地を湿地などに復元していくべきと主張しています。
       これに対し、割と多くの委員や市川市は海を埋め立て人工干潟などをつくろうとしています。  しかし、浅海域を埋め立てて人工干潟をつくることは、浅海域の生き物を殺してしまうことになり、許されません。藤前干潟で浅海域の重要性と人工干潟の無力さが証明されています。干潟よりも浅海域の方が生物生産量は多いという事実もあります。


  2. 猫実川河口域をどうみるか

       猫実川河口域(三番瀬の市川側)はヘドロ化して死んでいるので、早急に人工干潟をつくるべき、と漁協や市川市などは主張しています。しかし、これはまちがいです。猫実川河口域は波静かで、アオサも多くみられます。光合成量や窒素(N)・リン(P)の吸収力がたいへん大きいのです。
       同海域は決して死んだ海ではありません。県の補足調査ではあまり調べられていないアナジャコの穴が、市民調査(4月28日、5月25日、6月26日)では1平方メートルあたり100も確認されました。これは同海域がたいへん豊かな海であることを証明しています。
       アナジャコの巣は深さ2メートルもあり、1匹でアサリの何十倍もの水を浄化しています。


  3. 三番瀬は死にかけているか、元気か

       漁協の委員は、アサリの減少を根拠にして「三番瀬は死にかけている」と主張しています。しかし、6月の船橋海浜公園沖の天然干潟では、1平方メートルあたり、シオフキの大が44個、アサリの小(1〜2cm)が280個、シオフキの米粒大が多数がみられました。何年かぶりに多数のタマシキゴカイの卵かいと糞塊(ふんかい)もみられました。
       このまま、青潮や江戸川放水路の放流がなければ、以前(1998年の江戸川放水路の放流前)のように、アサリやシオフキガイが多量に生息すると思われます。
       円卓会議で「スズガモの個体数は20万羽から3万羽に減った」と発言する委員がいますが、三番瀬で20万羽のスズガモがみられたという公式なデータはありません。三番瀬では12万羽(補足調査では9万5000羽)が最高でしたが、1998年の江戸川放水路放流による貝類の大量死によって、エサ不足で減ったものと思われます。ちなみに、今冬も約6万羽のスズガモがみられました
       今の三番瀬は生き物が豊かで元気です。1980年以降、千葉県は海を埋め立てていません。三番瀬そのものが悪いように主張していますが、大雨時の下水処理水放流や、江戸川放水路のからの大量放流、青潮などが三番瀬に悪い影響を与えています。つまり、陸域の問題なのです。したがって、急いで猫実川河口域を埋め立てるなどの手を加えてはいけません。


●国や県や市の動き

 与党の議員法案「自然再生推進法」が上程されようとしています。この法案は新たな公共事業(自然再生事業)です。
 堂本知事は、「三番瀬を新たな自然再生(公共事業)のモデルにする。早期に再生計画を作成したい」と述べています。これを受け、円卓会議の岡島成行会長も、「1年をめどに結果をだす」と発言しています。
 市川市は、「行徳臨海部まちづくり懇談会」でまだ合意がなされていないのに、猫実川河口域を埋め立てて人工干潟をつくるイメージ図を護岸・陸域小委員会で発表しています。
 なお、堂本知事は、東京外郭環状道路、東京湾口道路道路、第二東京湾岸道路、首都圏中央連絡自動車道、常磐新線沿線開発などの大型開発の推進を国に要望しています。

 三番瀬の保全にかかわってこられた皆様、昨年9月に堂本知事がおこなった埋め立て中止表明に安心せずに、円卓会議に注目し、いろいろ県や市にいろいろ意見を言っていきましょう。

(2002年7月)




追記:
 県の補足調査結果の中には、アナジャコの量があまりでてきません。また、シオフキガイの量は、国立環境研究所のデータに比べて少なくなっています。
 さらに、スズガモのエサにシオフキガイが入っていないのはなぜでしょうか。死んだスズガモの胃を調べている関係でサンプル数が少ないことや、シオフキガイの殻がアサリに比べて薄いことが関係していると思われます。
 上記の点や、猫実川河口域のハゼの巣穴の調査など、魚についても再度調査をしてほしいと思います。




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