三番瀬公金違法支出訴訟(三番瀬ヤミ補償裁判)

ズサン融資批判の判決 実質的な勝訴

〜千葉地裁が「三者合意」の違法性を認定〜




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 三番瀬公金違法支出訴訟(「三番瀬ヤミ補償裁判」)の判決が2005年10月25日、千葉地裁で言い渡されました。
 この裁判は、東京湾の浅瀬・干潟「三番瀬」の埋め立て計画をめぐり、市川市行徳漁協が「転業準備資金」の名目で金融機関から受けた融資(約43億円)の利息分計約56億円を県が肩代わりした問題で、三番瀬保全運動を進めている県民21人が沼田武・前千葉県知事らを損害賠償を求めたものです。
 千葉地裁は判決の中で、利息肩代わりにつながった県企業庁などによる「三者合意」に違法性を認めました。しかし、当時の沼田武知事と中野英昭・県企業庁長(現出納長)に対する損害賠償請求は却下・棄却しました。
 転業準備資金に絡んで生じる利息を県が肩代わりした三者合意についてについては、「契約内容の相当性を欠くものと言わざるを得ず、瑕疵(かし)があるといわなければならない」と指摘しました。
 原告団の牛野くみ子代表と中丸素明弁護団長らは判決後、県庁で会見し、融資の不当性を認めた判決を「実質的勝訴に近い、意義のある判決だった」と評価。「県と企業庁は(公共事業の進め方の)抜本的な見直しと反省を」などとする声明文を発表しました。

 この判決を、朝日、読売、毎日、東京、日経などの各紙が全国版と千葉版で大きく報じました。地元紙の千葉日報も1面トップで報じました。以下は、各紙の見出しです。

『朝日新聞』
  三番瀬訴訟 ずさん融資と批判
    県の利息支出巡る三者合意 「契約内容に欠陥」

◎『読売新聞』
 三番瀬訴訟 地裁判決  原告側「実質勝訴」
  利子56億 県が肩代わり
   「三者合意」違法性認定

◎『毎日新聞』
 三番瀬訴訟 利子支払い適法
   融資「裁量範囲を逸脱」
    地裁判決 開発行政に厳しい注文

◎『東京新聞』『中日新聞』
 三番瀬 漁業補償訴訟棄却
  原告『実質的な勝訴』
     三者合意の契約に瑕疵 地裁判断を高く評価
     安易な財政支出困難に

◎『産経新聞』
 三番瀬訴訟判決 原告団割れる評価
      「勝訴」「責任は誰が」

◎『千葉日報』
 住民側の訴え棄却 三番瀬訴訟で地裁
  企業庁長の裁量範囲
   三者合意には問題性指摘

◎『日本経済新聞』
 三番瀬埋め立て 「企業庁は裁量逸脱」
  転業準備資金訴訟 千葉地裁判決
   賠償請求は却下



声 明 文




声 明



【1】 本日、千葉地裁民事第3部(山口博裁判長)は、三番瀬公金違法支出訴訟(通称「三番瀬漁業権ヤミ補償裁判」)について、判決を言渡した。

 この訴訟は、原告ら21名(代表牛野くみ子、結審時20名)が被告沼田武(当時千葉県知事)、同中野英昭(当時千葉県企業庁長)に対して、平成12年及び同13年に企業庁の実施する臨海地域土地造成整備事業資本的支出として合計56億円余を支出したことが違法であるとして、千葉県に代位して損害賠償を求めたものである。

 これは、いわゆる三番瀬埋立計画の柱とされていた「市川二期埋立計画」に関連して、昭和57年に千葉県企業庁、市川市行徳漁業協同組合、千葉県信用漁業協同組合連合会・株式会社千葉銀行の両金融機関の三者の間で一連の協定書、確認書、合意書(これらを総称して「三者合意」とも呼ばれる)が結ばれたことに端を発する。

 この合意は、
  • 企業庁は行徳漁協に対して、漁業権の漁場評価額45億5700万円を限度として、同漁協が組合員らに「転業準備資金」を融資する原資の融資措置を講ずる
  • 同漁協は、将来漁業権放棄により受けるべき補償金相当額を担保とする
  • 同漁協は、企業庁から漁業権放棄の申入れがあったときは、速やかにこれに応ずる
  • 同漁協は、補償金が支払われたときは速やかにその返済に充てる
  • 信漁連等の金融機関は同漁協に対し、「転業準備資金」として、総計42億9750万円を融資する
  • 企業庁は、融資にあたり両金融機関に対して総計18億円を預金する
  • 企業庁は、同漁協及びその組合員の借入金に対する利息について「実質負担とならないような措置」を講ずる
 というのが基本的な枠組み(スキーム)であった。

 そして、企業庁はこの合意に基づいて、昭和63年3月を第1回として合計4回にわたって、行徳漁協が負っている利息につき免責的債務引受をした。
 その結果、企業庁が負担した利息は累計で融資元金を上回る56億0958万6656円にのぼり、これを平成12年3月と同13年3月に分けて支出したものである。

 この裁判では、第1に本件財務会計行為の原因行為である「三者合意」に基づく融資が、実質的にみれば違法な事前漁業補償であり、脱法行為あるいは裁量権を逸脱・濫用するもので、違法といえるかどうか、

 第2に、これが違法である場合にその違法が承継され、被告らは千葉県に対して損害賠償責任を負うかが争点となった。


【2】 本日の判決は、被告らの責任こそ否定したものの、「三者合意は、本件融資の融資額全額を融資する必要性があったとは認め難いことに加えて、本件埋立計画が実現しない場合等に、県に多額の債務が無限定に発生する構造になっており、経済性の発揮という、地方公営企業の経営の基本原則(地方公営企業法3条)にも反することから、契約内容の相当性を欠くものといわざるを得ず、県企業庁の裁量権を逸脱するものとして、瑕疵(かし)があるといわなければならない。」と指摘した。

 この判決が不十分ながらも認定した事実と問題点は極めて重要である。大規模開発を目的とする公共事業に関連して、大きな汚点を残した千葉県及び企業庁に、抜本的な反省を迫るものといえる。
 千葉県及び企業庁は、今後の三番瀬の保全のあり方を検討するうえではもちろんのこと、開発計画の立案・実施にあたっても、これを教訓とし、最大限に生かしていく責務を負った。


【3】 三番瀬埋立計画は、県政の最大の課題であり、堂本暁子知事によって「白紙撤回」された。
 しかしながら、三番瀬の再生・復元の名の下に、依然として埋立類似の事業を行おうとする動きがある。とりわけ、県の第2東京湾岸道路建設推進の動きは、三番瀬の将来に再び大きな脅威になりかねない。

 本年10月17日には、県議会内に「三番瀬特別委員会」の設置が決まり、漁業補償をはじめ、三番瀬再生計画、第2東京湾岸道路問題等を全体として検討し、早期解決をはかるとされる。あわせて、漁業補償問題に関して「補償アドバイザー会議」も設置されている。
 千葉県及び企業庁は、本日の判決で指摘された問題点を真摯に受け止め、抜本的な見直しと反省を加え、今後の施策に生かす義務を負う。

 私たちは、本日の判決を機に、東京湾奥に残されたかけがえのない干潟・浅海域である三番瀬を保全するための取り組みをいっそう強化するとともに、あわせて、千葉県の開発優先・癒着と腐敗・住民軽視の体質を抜本的にあらためさせるために、さらに奮闘するものである。

 2005年10月25日

三番瀬公金違法支出訴訟原告団
三番瀬公金違法支出訴訟弁護団
三番瀬公金違法支出訴訟を支援する会





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