日本の湿地を守ろう!

〜日本湿地ネットワークが木更津市でシンポ〜




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 日本湿地ネットワーク(JAWAN)は(2011年)5月22日、木更津市で「日本の湿地を守ろう!」と題したシンポジウムを開きました。

■保護側も経済的論理の構築が必要

 最初に、「干潟・湿地の経済的価値について」と題して関東学院大学の安田八十五(やそい)教授が基調講演をおこないました。
 安田教授は、木更津市の小櫃川河口に広がる盤洲干潟についてこんなことを述べました。
  • 盤洲干潟は、面積が1400haにおよぶ東京湾最大の自然干潟である。わが国最大の砂質干潟でもある。また、干潟や塩性湿地、ヨシ原など多様な環境からなり、昔ながら の東京湾の原風景をとどめる唯一の場所となっている。
     さらに、地球上でここにしか生息しないとされるキイロホソゴミムシという昆虫が発見されるなど、学術上も貴重な干潟である。

  • しかしながら、盤洲干潟を取り巻く環境は変化しており、干潟や生物への影響が懸念される。具体的には、(1)東京湾横断道路(アクアライン)の建設、(2)干潟と陸地の緩衝地帯に大型浴場やホテルが建設、(3)遊戯施設の建設計画、(4)アシハラガニやコメツキガニなどの乱獲、(5)首都圏第三空港・木更津沖案の存在──である。

  • 千葉県はかつて、盤洲干潟も埋め立てる計画をたてていた。しかし、幸いに盤洲干潟の埋め立ては中止になった。これは現代の奇跡である。今後もずっと盤洲干潟を守ってほしい。私もお手伝いしたい。

  • 開発側の論理は経済効果である。それに対して、こちら側も経済的な論理をつくりあげることが必要だ。自然を保護した方が長期的な経済効果はより大きいということを、理論やデータで提示するということだ。したがって、自然干潟がもつ機能や価値の評価・解明にあたっても、自然科学的評価と社会経済的評価を有機的に結びつけ、学際的統合化を図ることが必要である。


■ラムサール条約ルーマニア会議に向けて

 つづいて、釧路公立大学の小林聡史教授が講演しました。テーマは「ラムサール条約ルーマニア会議(COP11)に向けて」です。
 小林教授はこう述べました。
  • 来年(2012年)6月19日〜26日、ルーマニアの首都ブカレストで、ラムサール条約第11回締約国会議(COP11)が開かれる。ラムサールの締約国会議が東ヨーロッパで開催されるのは初めてのことだ。条約採択へ向けての協議が進められていた1960年代、冷戦下の東西ヨーロッパの協調が鍵となっていた時代を振り返ると、今後の国際協力を促進するためにも東ヨーロッパでの開催は意義が深い。

  • 今年、誕生から40周年を迎えたラムサール条約(「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」)は、グローバルな自然環境保全のための最古参の環境条約として重要な局面を迎えている。組織論としては、UNEP(国連環境計画)傘下の他の生物多様性関連の環境条約とのシナジー(相乗作用)をどうするかという問題がある。また、1900カ所以上になった登録湿地のネットワークの有効性を検証する必要性が指摘されている。

  • ラムサール条約では、1971年にイランの町ラムサールで条約が採択された日である2月2日を記念し、毎年世界各地で“世界湿地の日”を祝い、湿地の価値と湿地保全の意義の普及に努めている。2012年の世界湿地の日は、“湿地、ツーリズム、レクリェーション”をテーマにしている。これはそのままCOP11の主要テーマとなる予定だ。

  • これまで、地球サミットへの対応や、生物多様性条約及び気候変動枠組み条約とのシナジー(相乗作用)が模索されてきた。そこで、さらなるステップアップが求められている。とくに、名古屋で昨年開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では“愛知ターゲット”(生物多様性を保全するための、2020年までの新しい世界共通目標)が採択された。これに対する湿地保全からの貢献が期待されている。

  • 小櫃川河口干潟(盤洲干潟)や三番瀬も、最初はスポット的にラムサール条約登録をめざすこともけっこうだと思う。2012年のルーマニア会議まで、あと1年ある。ルーマニア会議で登録されるよう、あきらめないで最後までがんばってほしい。

 講演のあとは各地の報告です。中池見湿地(福井県敦賀市)や和白干潟(福岡市)、盤洲干潟(木更津市)、三番瀬(船橋市など)、鬼泪山国有林(千葉県富津市)の保全活動を進めているメンバーが、現状や課題などを報告しました。









話に聞き入る参加者



関東学院大学の安田八十五教授



釧路公立大学の小林聡史教授





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