上関原発建設の一時中止を求める

〜3学会が合同シンポジウム〜




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 「上関(かみのせき) 瀬戸内海の豊かさが残る最後の場所」と題したシンポジウムが3月14日、明治大学駿河台校舎(東京都)で開かれました。主催は3つの学会(日本生態学会、日本ベントス学会、日本鳥学会)です。千葉の干潟を守る会、千葉県自然保護連合、三番瀬を守る署名ネットワークなどの三番瀬保全団体のメンバーも参加しました。
 開催の目的は、山口県上関町の中国電力上関原子力発電所の建設計画に「待った」をかけることです。上関原発予定地周辺に残る生態系の豊かさや原発建設がおよぼす悪影響などについて8人の専門家が講演しました。


■生物多様性ホットスポットに原発建設

 瀬戸内海は、日本の沿岸海域の中でひときわ高い生物生産力と生物多様性を有する内湾でした。しかし、その生物学的な豊かさは、近年の沿岸開発によって大きく損なわれています。
 そうした中で、周防灘(すおうなだ)の上関周辺は、ハマグリ、アオギスが生息する干潟や、イカナゴ、スナメリ、カサシャミセンなどの生息する海域が残っており、本来の豊かさがよく残されている貴重な場所です。そんな場所に原発が計画されているのです。


■上関原発計画の再考を英断をすべき

 シンポジウム世話人の一人、佐藤正典・鹿児島大学教授(底生生物)は、「原発が建設されたら、莫大な廃熱が永続的に海に捨てられ、半閉鎖的な内海の生態系におよぼす影響はたいへん大きい」「ここは瀬戸内法(瀬戸内海環境保全特別措置法)という特別立法を有する場所であり、もっと慎重な対応が必要である」と述べました。

 「周防灘に残されている瀬戸内海の原風景」というテーマで講演した京都大学の加藤真教授(生態学)は、上関周辺の生物多様性は世界的にも貴重とし、こう述べました。
 「瀬戸内海の生物多様性のホットスポットである周防灘の心臓部に原発を建設するという計画が持ちあがっている」
 「原発の建設は、海水温の上昇や海水の放射能汚染だけでなく、冷却水中に多量に投入される殺生物剤によってプランクトンの大量死滅をもたらし、周防灘の生物多様性に不可逆的な悪影響を与える。瀬戸内海の生物多様性とその特徴ある生態系を将来に残すために、中国電力は上関原発計画の再考という英断をすべきである」


■“謎の海鳥”が絶滅の危機に

 九州大学大学院の飯田知彦研究員(鳥類生態学)は、海の環境が破壊されるとカンムリウミスズが絶滅の危機に瀕すると主張しました。
 国の天然記念物に指定されているカンムリウミスズは、地球上に5000羽ほどしか生息していない世界的な希少種で、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(世界で絶滅のおそれのあるリスト)に指定されています。
 カンムリウミスズメはこれまで、繁殖期(子育ての時期)に繁殖地である島とそのまわりの海でしか確認されず、非繁殖期(子育てしていない時期)には世界のどこにいるのかまったくわかっていない“謎の海鳥”とされていました。しかし2007年、上関周辺に周年生息していることが初めて確認されました。世界でほぼ日本だけにしか生息せず、周年生息を確認できるのは上関周辺が世界唯一とのことです。


■環境影響評価はまったく不十分

 日本生態学会の安渓遊地氏は、上関原発に関する環境影響評価について、「影響評価の基礎となるべき動植物のリストが脱落しているばかりか、あらゆる項目において、不十分な検討のまま『温排水や海域埋め立てが各種生物に及ぼす影響が小さい』という趣旨の性急な結論が下されている」などと批判しました。

 日本鳥学会の佐藤重穂氏は、「中国電力(株)は、カンムリウミスズメの詳細な生息状況調査を実施し、調査結果を開示するとともに、調査結果にもとづいて環境影響評価を行うこと。環境省、経済産業省、文化庁、山口県、上関町は、これらが適正に行われるよう指導すること。山口県は、カンムリウミスズメに関する環境影響評価と必要な保全措置の計画立案が行われるまで公有水面の埋め立てを許可しないこと」などとする同学会の主張を説明しました。

 日本ベントス学会の逸見泰久氏は、「原発建設予定地では、ヤシマイシン、ナガシマツボ、カサシャミセン、ナメクジウオなど多くの希少種・絶滅危惧種の生息が確認されているが、環境影響評価報告書ではこれらの生物への影響評価が十分になされていない」とし、原発工事の一時中止や第三者によるくわしい調査の必要性などを主張しました。














「上関(かみのせき) 瀬戸内海の豊かさが残る最後の場所」と題した3学会合同シンポジウム






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