三番瀬に下水道終末処理場はいらない

〜 江戸川左岸流域下水道の問題点 〜


三番瀬を守る会 会長 田久保晴孝 



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1.流域下水道は“金食い施設”

 江戸川左岸流域下水道処理場は、8市1町143万人、処理面積2万1036ヘクタールをカバーする下水処理場で、江戸川の水質改善を目的にしています。現在、第二処理場において70万1200人分の下水を処理しています。総事業費は2960億円で、1998年4月までで2115億円を使っています。
 この流域下水道施設は、1日1立方メートルの下水を処理する施設に100万円も使っていることになります。これをみれば、個別合併浄化槽の方が断然安いのは明らかです。
 ちなみに、同流域下水道は2010年に完成予定となっていますが、あと10年では絶対に完成しません。最終的な費用も、現在の倍以上はかかるといわれています。


2.下水道処理場は万能ではない
   〜窒素やリンはたれ流し〜

 水に溶けたN(アンモニア性窒素)やP(リン酸)は、2次処理ではほとんど除去できません。江戸川左岸流域下水道の第二処理場は、江戸川の水よりも4倍も高濃度の下水処理水を江戸川に流しています。
 一方、東京23区はほぼ100%下水処理されているといわれていますが、東京湾のNやPが改善されていないのは、下水処理水のためです。


3.水の再利用ができない

 水資源の確保という点で、これからは、新たなダムの建設ではなく下水処理水の再利用が求められています。建設省や千葉県都市部もそう言っています。
 ところが、江戸川左岸流域下水道は、大量の下水を大量に東京湾に流しています。そのうえ、三番瀬に新たな下水処理場を建設し、さらに膨大な量の処理水を直接、東京湾に放流しようとしているのです。


4.汚泥処理の問題

 現在、江戸川左岸流域下水道第二処理場では、処理された汚泥を年間5万トンも産業廃棄物として銚子まで運んで埋め立て処理をしているとのことです。これは、里山などの自然破壊にもむすびついています。


5.新たな巨大下水処理場は不要

 日本の人口は、2015年に最高となり、それ以降は減少すると言われています。バブルがはじけ、もはや、右肩上がりの成長は望めません。1人あたりの水使用料も、1日1人あたり375リットルでほとんど増えていないと予想されています。たとえば福岡県のように、一人ひとりが節水すれば、新しいダムはいらないし、新たな巨大下水処理場もいらないのです。


6.下水道処理場は小規模なものが良い

 1960年までのように、すべての下水を処理せずにたれ流していたら、川も海も死んでしまうので、下水処理は必要です。しかし、1〜5で述べたように、大規模処理場は、費用の面でも水質処理の面でも大きな問題をかかえています。
 そこで、なるべく小さな単位で下水を処理し、その水を小川や休耕田・池などで生き物を通して、さらに処理させて江戸川に放流することです。(いちばん良いのは、各戸・集合住宅ごとに合併浄化槽を取りつけることです)。
 そうすることで、NやPなどの有機物が生き物の体となって、トンボ、メダカ、カエル、魚などの小動物が増え、水鳥も飛来するようになります。これは、たとえば行徳鳥獣保護区で行徳野鳥観察舎友の会でおこなっていることです。同会は、家庭の生下水を浅い池に流し、池の水質を浄化させる実験をしています。
 また、小川や池は子供たちの環境教育の場、遊び場としても有効です。湿地の復元は世界の流れであり、江戸川のそばに巨大な地下の川をつくることは時代の流れに逆らうものす。


7.三番瀬を埋め立てての下水処理場建設は許されない

 千葉県の三番瀬補足調査委員会報告によれば、三番瀬ではCODで2245トン/年(13万人分)、T−Nで575トン/年(200万人分、3次処理)の処理をしているといわれています。とくに、下水道処理場で3次処理しても半分しか除去できないNやPを大量に処理しています(主に脱窒による)。
 江戸時代では、200万人分の下水をほぼ完全に川と東京湾で処理できました。しかし、現在の2400万人の下水は、東京湾の干潟や浅瀬がすべて残っていたとしても、処理できないと言われています。したがって、今ある干潟や浅瀬を埋め立てることは、東京湾の水質浄化一つをとっても問題があります。ましてや、三番瀬を20ヘクタールも埋め立てて、処理能力が1日20トンの下水処理場を造ることは許されないことです。


8.終わりに

 8月12日、宇井純さん(沖縄大学教授)や大浜清さん(千葉の干潟を守る会)らと江戸川左岸流域下水第二処理場を見学しました。巨大なタンクが並び、脱臭装置を付け、屋上には親水公園を造るなど立派な施設でした。莫大な費用をかかっているこれと同程度のものを、三番瀬をつぶしてまで造ることは、費用、処理水、水の再利用、防災の面などでも問題であると感じました。
 宇井氏は、「古い処理場をあまりお金をかけずに改良すれば、1人当たり200万円もする巨大施設はもういらない。第一処理場を造らなくてもやっていける」と言っていました。

(1999年9月)      



《参考資料》

 下水道処理と河川・東京湾の水質など


●江戸川左岸流域下水道第二処理場
    N(窒素)……1リットルあたり18mg(18ppm)で放流
         (現在建設中の3次処理の目標値は8ppm)
    P(リン)……1リットルあたり0.4mg(0.4ppm)で放流

●行徳鳥獣保護区の実験池の最終放流水
    N……  生下水 1リットルあたり 7mg → 6分の1に
    P……      〃       1.1mg → 10分の1に

●江戸川の水質(江戸川区による調査)
    N …… 1リットルあたり 2.2mg  (市川橋)

●東京湾の水質(江戸川区による調査)
    N …… 1リットルあたり 2.7mg  (葛西沖)















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