三番瀬埋め立て縮小案の問題点


三番瀬を守る会 会長 田久保晴孝



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 千葉県が(1999年)6月9日に発表した三番瀬埋め立ての見直し縮小案はいろいろと問題が多い。
 問題点などを8点ほど指摘したい。



1.埋め立てがおよぼす影響を過小評価

 1994年に千葉県が発表した三番瀬埋め立て(740ヘクタール )の影響評価と今回の見直し縮小案は、文言が非常に似ている。1994年の影響評価は「すべて影響は小さい」としていて、“アワセメント”と批判されたが、今回の縮小案も「影響は小さい」と結論づけている。これに対し、補足調査委員会の望月委員長は、見直し縮小案でも影響は大きいと述べている。
 縮小案は、埋め立ての影響を過少に評価している。例えば、底生動物は湿重量99%で1%の減少としてここだけを強調しているが、同じ表では個体数は15%も減少することになる。
 表にはおかしな点もみられる。二枚貝が埋め立てによって増えるようになっているが、三番瀬を100ヘクタール(人工干潟を入れると160ヘクタール)も埋め立てるのに貝が増えるとは、常識的に考えられない。埋め立て予定地には、ホトトギス貝、マガキ、ムラサキイガイ(二枚貝)が他の場所より多く生息しているのである。



2.港湾埠頭は巨額の税金無駄遣い

 船橋側の埋め立て予定地11ヘクタールには、冬季はスズガモ、ヒドリガモ、オナガガモなどのカモ類が常時500羽以上生息している(休息および採餌)。希少種のカンムリカイツブリ、ハジロカイツブリもわりと多い。1992年〜97年までは、天然記念物のコクガンが毎年飛来していたところ(採餌、休息)でもある。
 船橋側の三番瀬は、魚類、貝類(ムラサキイガイ、マガキ)、カニ類などが多量に生息している場所となっている。埋め立て予定面積は少ないが、三番瀬の生き物に与える影響は大きいと思われる。
 なお、船橋側の埋め立て予定地11ヘクタールには3万トン級のバース(岸壁)の整備を計画しているが、大型船が入る保証はなく、巨額な税金の無駄遣いとなると予想される。



3.市川市側の埋め立ては、稚魚の成育、水質浄化
  などに重大な影響をおよぼす

 見直し案では市川側の90ヘクタールを埋め立てることになっているが、ここの埋め立ては次の問題がある。
  1. 猫実川河口を中心とする市川市側90ヘクタールの埋め立て予定地には、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、ウミアイサ、ホオジロガモ等の魚類を食べる水鳥が他の地域に比べて多い。したがって、補足調査でも十分に調べていないという魚類が多数生息していると思われる。
     また、補足調査報告では、この地域について、各種魚類の稚魚の重要な成育場所と位置づけている。さらに、ホトトギスガイ、ムラサキイガイ、マガキなどの二枚貝が多く、スズガモの重要な餌場ともなっている。
  2. 補足調査報告では、猫実川河口は水質浄化において重要な役割をになっていると書かれている。CODの除去(2次処理)では、他の地域よりもすぐれている。高次処理(N:窒素)についても脱窒(B)の前段階の役割をはたしており、水質浄化の重要な場所になっている。

 以上から、市川側90ヘクタールの埋め立ては、水鳥、魚類、アサリ等の貝類などに大きなダメージを与える。また、三番瀬や東京湾の水質浄化に与える影響も大きい。
 したがって、ここの浅瀬は埋め立てるべきでない。



4.埋め立ての緊急性や必要性はない

 市川市及び船橋市側の101ヘクタールの埋め立ては、両市の人口動向(人口は最近増えていない)や、外環道路の建設の動き、流域下水道の見直しが国や県で始まっていることなどをみても、緊急性や必要性がまったくない。
 はじめに埋め立てありきではなく、個々の事業の十分な検討をおこなって(市民を含め)から埋め立て計画を進めるべきである。谷津干潟の場合は、30年前、「臭いから埋め立てろ! 埋めて、都市再整備に使え!」と言って、 習志野市議会、千葉県議会は千葉の干潟を守る会などの保全請願を少差で否決した。しかし現在、谷津干潟は残り、習志野市や千葉県、国の宝となっている。同じように、三番瀬が保全されれば、市川市や船橋市、千葉県、国の宝となるであろう。
 市川側を市民が親しめるようにすることは、埋め立てと切り離して行うべきである。



5.次世代に巨額の借金を増やす

 当初の埋め立て計画(740ヘクタール)では、埋め立て造成だけで7800億円かかるといわれていた(県の非公式発表)。したがって、単純に7で割ると1100億円の造成費がかかると予想される。
 このほかに、流域下水道終末処理場の建設で1000億円、船橋港の整備で100億円、千葉市から旧江戸川までの第2湾岸道路建設に1兆円がかかると思われる。
 国と地方合わせて600兆円ものの借金を抱えている今、ムダな公共事業を新たに計画して借金を増やすべきでない。船橋市や市川市も同じように借金をかかえている。次世代に借金を増やす埋め立ては白紙にもどし、豊かな自然を残すことが最も大切なことであろう。



6.第2湾岸道路も不必要

 第2湾岸道路もつぎのような問題をかかえている。
  1. 予定ルート図によれば、船橋海浜公園前、行徳鳥獣保護区前を通ることになる。巨大で高度も高い道路は、三番瀬から谷津干潟や行徳保護区へ移動するシギ・チドリ類、カワウ、カモメ、カモ類など多数の野鳥の障害となる。
  2. 景観が悪くなる。たとえば船橋側は、船橋海浜公園の真上に道路がつくられることになり、景観が破壊されることは確実である。
  3. 湾岸地区は現状でも自動車による大気汚染が進んでいる。自動車が増えれば騒音と排気ガスによる環境悪化が予想される。
  4. 国や自治体の財政が破綻状態にあるなかで、建設費が1兆円を超すような道路がなぜ必要なのか。ちなみに、第二湾岸道路を地下化にした場合、建設費はもっとかかる。
 以上の点で、第2湾岸道路は必要ないと考える。


7.人工干潟の成功例はない

 県は、埋め立て地の先に、市川側で60〜70ヘクタール、船橋側で4ヘクタールの人工干潟(海浜)を計画している。
 この人工干潟造成予定地は、いちばん生物が多いところである。人工干潟の成功例はないし、生物量も少ない。維持費も莫大である。例えば、千葉市の幕張の浜では、維持費に年間数千万円もかかっている。
 この点では、藤前干潟も三番瀬もまったく同じである。



8.ラムサール条約締約国会議の「干潟保全決議」を守るべき

 今年、コスタリカで開かれた第7回ラムサ−ル条約締約国会議で、「干潟の保全決議」が採択された。条約加盟国である日本は、干潟を保全する義務がある。同時に、千葉県も船橋市も市川市も、干潟を守らなければならないのではないか。三番瀬は十分にラムサール条約の基準を満たしている。



 以上の点から、見直し案も含め、埋め立て計画は白紙撤回すべきである。そして、三番瀬をラムサール条約登録地に指定すべきである。ガン、カモの渡り鳥の登録地にすべきである。

(1999年7月) 







千葉市側からみた三番瀬の全体。「Like a Bird 三番瀬」の藤森泰さんがパラグライダーから撮影。








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