市川市の市民団体が

「三番瀬緊急シンポジウム」を開催


写真撮影・岩田孝昭  



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 「市川緑の市民フォーラム」など市川市の市民団体(10団体)は(1999年)7月24日(土)、三番瀬埋め立て問題で「三番瀬緊急シンポジウム in 市川」を市川市教育会館で開きました。
 内容は、三番瀬を守る署名ネットワークの竹内壮一氏が「三番瀬埋め立て計画の経緯と縮小案の問題点」、外環反対連絡会の高柳俊暢氏が「市川市塩浜地区は今」、川崎環境プロジェクト21のメンバーが「埋め立て地を再び湿地へ─イタリア・ラベンナ地域の環境再生」というテーマで講演し、講演のあと質疑応答をおこないました。





「川崎環境プロジェクト21」の原田利恵さん。埋め立て地を再び湿地に戻すなど、イタリアのラベンナ地域における環境再生のとりくみをくわしく話してくれた








アピール文を読み上げる「市川緑の市民フォーラム」の会員









★「三番瀬緊急シンポジウム in 市川」における講演要旨

イタリア・ラベンナ地域における環境再生

川崎環境プロジェクト21まちづくり班
原田利恵・大久保規子



1.ラベンナの概要と環境政策

 イタリア半島の東岸、ヴェネツィアの南、約100kmに位置するボーデルタ州立公圏を中心としたラベンナの湿地帯は、イタリア最大の川、ポー川河口にあり、何世紀にもわたってポー川が育んできた森林と湿地のめずらしい地形で、多様な勤榎物の生息地であった。
 しかし、ポ川河口の湿地帯は、エネルギー産業や化学工業を中心として造成されたコンビナートからの汚染物と、トリノを起点としてミラノなどの大都市を経由しているボー川自身の汚染のため、自然環境の破壊が進んだ。また、天然ガスの採掘によって、地盤沈下を起こし、湿地帯に海水が入り込んで松枯れを起こすなどの深刻な被害をもたらし、豊富な魚介額の産卵場所でもあったこれらの自然環境の破壊は、漁業被害も起こした。天然ガスの操瀬が停止した今も、依然松枯れ等の被害は続いている。
 現在、ラベンナの自治体(コムーネ)、ラベンナ県、エミリア・ロマーニャ州が共同して、大規模な自然環境復元のプロジェクトを進行させている。それは、主に海水や汚染物質が流れ込んだ地域の淡水化事業で、開閉式の水門をつけ、海水と淡水を循環させて水を浄化し、水生植物を植え、人工的に砂州をつくり、魚や野鳥を呼び戻すという、水質浄化と漁業を合わせた施策である。つまり、一度、工業開発され汚染された土地の環境を復元するという非常に手間とコストのかかる事業を行っているのである。こうした環境再生の施策には、工業開発された土地だけではなく、農地を森へ戻すといった農業開発された土地の復元なども含まれている。
 現段階ですでに力ンポット地域の700haやティアラッサ・ティオンボーネの250haの潟が完成している。しかし、生態系の復元まで含んだ環境再生には、公園局の担当者は少なくとも1000haは必要だと述べている。
 ティアラッサ・ティオンボーネの潟の復元だけでも、約70億リラの糞用がかかっている。州、県、コムーネと関係企業がその費用を負担することを決めており、そのうち、7千万リラは、すでに県と市(コムーネ)が拠出済みで、残りの費用負担割合については、EUから補助が出るかということも含めて検針中である。



2.ボーデルタ州立公園の試み

 ボーデルタ州立公園は、コンビナートであった土地を以前の湿地帯の姿に復元したもので、全長120kmの規模である。地形の多様性が特徴で、それぞれの地形に応じて環境事業をおこなつており、行政担当者は、「ここでは、完全に自然を復元した姿を見ることができる」と述べている。公園内は、遊歩道が整備され、徒歩や自転車で観光できるようになっている。
 この周辺では、工業地帯を少しずつ縮小し、公園地域の範囲を広げていっている。ただし、将来、人の立ち入らない広大な敷地の州公園にするのではなく、あくまでも自然と人間の共存を目的としている。
 実際、公園の中には人も住んでおり、生業を営んでいる。公園局は公園内の住民の生活をとくに規制していない。地域の公園化をさらに推進していくためには、経済的視点からみても自然環境の保全が重要であることを住民に理解してもらう必要がある。
 ラベンナの地域内の産業に対しては、国で定められた法律のほか、国よりも厳しい州およびコムーネ独自の環境規制があるが、企業自身も、自主的な生態系の解明やアセスメントなどをおこなっている。
 中北部イタリアの都市は、もともと王権を持った国家であった歴史があり、近代法や近代国家の影響以上に、その都市自身に受け継がれた伝統や精神が地方制度に生きている。1970年代以降、イタリアでは地方分権の改革が日本では考えられないくらい劇的に進んだが、それは、独立した自治体として都市がもともと有していた自治の権利を回復するという原動力があったからであるといわれている。
 ラベンナにおける環境行政にあらわれているように、コムーネごとに定められた厳しい都市計画規制を自身の法として、むしろ国の法律よりも尊重することも、こういった伝統にねざすものであると考えられている。
 ラベンナを含むエミリア・ロマーニャ州は、1980年代に「第3のイタリア」と呼ばれ発展した州であるが、産業政策のみならず、環境管理・廃棄物対策においても独自の政策を進めてている。ラベンナ地域の環境政策の成功には、こうした州の制度的後押しのほかに、なによりもラベンナにおける環境行政主体の息の長い都市計画の推進と、コムーネにおける住民参加制度が大きな役割を果たしたと思われる。





 ★三番瀬緊急シンポジウム in 市川

ア ピ ー ル


 千葉県は、補足調査の結果を受けて、今年6月、三番瀬埋め立て計画について、当初計画を約7分の1に縮小する案を発表しました。そして、この案では三番瀬の主要な干潟・浅瀬が保全されるとともに、生物への影響はほとんどないとしています。また、市川市長もこの縮小案を積極的に評価しています。
 しかし、本当にこの縮小案で三番瀬の環境が守られるのでしょうか? 埋め立てはほんとうに必要なものなのでしょうか? 第3回策定懇談会でも、各委員から同様の疑問が発せられて、千葉県は次回の懇談会に向けて、各事業の必要性を明らかにし、埋め立てによる環境影響評価を行うことになりました。
 これまで、三番瀬の埋め立て問題については市川市民も大きな関心を寄せ、三番瀬を保全するために活動する様々な市民団体に協力してきましたが、今回の縮小案では市川市猫実川河口域の埋め立てが焦点となっており、これについて市川市民が明確な意思表示をすることが必要になってきています。
 今回のシンポジウムでは、日頃市川市内で環境保全活動を実践している多くの市民が集まり、縮小案の概要と問題点、および市川市の臨海部である塩浜池区の現状を学び、海外では埋め立て地を干潟や湿地に復元する活動が盛んになっていることも知りました。高度な浄化力を持つ干潟・浅瀬を埋め立てて、下水道終末処理場、公園・緑地、まちづくり支援用地など、必要性・合理性・将来性などの点で十分に吟味されていないものをつくるべきではありません。成功例のない人工干潟などはもってのほかです。また、三番瀬の一部として水質浄化を行い、同時に江戸前の魚たちの成長に欠かすことのできない猫実川河口域を埋め立てることによって、その場所が本来持っていた機能が失われるだけでなく、その負荷が他の海域におよんだり、魚類の減少をまねくなど、三番瀬の環境を大きく変え、生物に多大な影響を与えることも分かりました。さらに、第2湾岸道路は、渡り鳥などに打撃となるだけでなく、海と人を遠ざけるものなのです。
 したがって、私たちは、この縮小案を受け入れることはできません。人間の都合のみで東京湾の干潟のすでに9割以上が失われてしまっている現状を考えると、残る1割は東京湾の環境保全と生物たちのために可能な限り残し、さらに既存の埋め立て地の土地利用の再検討を行って、干潟や浅瀬に再生できるところは再生を試みる時代であると強く感じています。そして、そういった試みの中で「市民の憩える海」を実現すべきと考えます。
 今回のシンポジウムを契機に、私たちは今後さらに多くの市民、地元漁業者、学識者、企業人と連携を深め、東京湾全体を視野に入れながら、市川市臨海部の新しいまちづくりと、東京湾最奥部の再自然化の具体案を行政に提言する決意です。

以上


 1999年7月24日


三番瀬緊急シンポジウム in 市川
─千葉県の埋め立て縮小案について考える─
参加者一同







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