★三番瀬を未来に残そう


三番瀬の生き物


  三番瀬を守る会会長  田久保晴孝  



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★三番瀬の生き物はものすごいぞ!

 三番瀬では鳥類89種、動植物プランクトン302種、ゴカイ・カニなどの底生生物155種、魚類101種、合計647種の生物の生息が確認された(「補足調査専門委員会」の中間報告。1998年5月27日)。
 プランクトン類が多いことは、生物がものすごく生息していることを表している。東京湾の赤潮は植物プランクトン(赤茶色)の色で、東京湾はいつでも富栄養状態にある。下水道などから処理されない(水にとけた)チッ素(N)やリン(P)が多量に流れこんでいる。これらのNやPを主に植物プランクトンが吸収し、増えるので、晴れた暖かい日は赤潮になる。
 プランクトンを餌にしているのがアサリやシオフキなどの貝類や小魚で、三番瀬の生貝の重量はものすごい(10s/u)。アサリは、プランクトンをたべることで、東京湾の水を浄化している。三番瀬では、1日に1平方メートルあたり2立方メートルの水を浄化しているといわれる。また、ゴカイやカニは砂粒のまわりの有機物を餌としていて、水を浄化している。干出時の三番瀬は、タマシキゴカイのふんだらけの状態になる。
 餌の豊富な干潟や浅瀬は、魚が育つのにもっとも適した場所で、三番瀬がなくなると、沖の魚の減少、つりの魚(ハゼなど)の減少につながる。
 主な貝は、アサリ、シオフキガイ、バカガイ、アカニシ、アラムシロガイ、ツメタガイ、ムラサキイガイ、カキなど。主なカニの仲間は、マメコブシガニ、オサガニ、ユビナガホンヤドカリ、シロスジフジツボ、イシガニ、チチュウカイミドリガニ、ケフサイソガニなど。魚類は、マハゼ、サッパ、ボラ、イシガレイ、マコガレイ、スズキ、アナゴなど。その他の動物は、ゴカイ、タマシキゴカイ、ミズヒキゴカイ、クロガネイソギンチャク、ヒトデ、ミズクラゲ、アカクラゲなど。海藻、海浜植物は、オゴノリ、アナアオサ、ハネモ、ヒルガオ、ハマニンニクなどである。また、チチュウカイミドリガニ、イッカククモガニ、ムラサキイガイなど帰化動物も多い。
 しかし、三番瀬の浜でよくみかける貝殻のハマグリ、ウミニナ、バイ、イボキサゴは、干潟の埋め立てによって東京湾奥より絶滅したといわれる。ウミホウズキとして人々に親しまれたテングニシも、埋め立てによって東京湾からいなくなったのはとても残念である。干潟を失うことは、日本の文化を失うことにもなる。




★渡り鳥の重要な中継地

 三番瀬では、155種(1990〜97年末)の鳥類を確認している(田久保ほか)。このうち、絶滅のおそれがある水鳥も、クロツラヘラサギ、カラシラサギ、コクガン、コアジサシ、ズグロカモメなど、18種がみられる(補足調査中間報告では5種類)。三番瀬は、これらの水鳥にとって貴重な生息場所になっている。また、三番瀬は、スズガモ、アジサシ、コアジサシ、およびシギ・チドリ類の日本有数の渡来地になっている。冬期には5〜9万羽のスズガモが昼夜とも三番瀬内で生活していると推定された(補足調査中間報告)。
 東京湾の干潟は、93%が埋め立てられてしまった。こうした中、三番瀬は、干潟を主な生息地とするシギ・チドリ類にとって、東京湾でもっとも重要な生息地になっている。また、三番瀬は、環境庁が発表した全国の最も重要なシギ・チドリの渡来地8カ所の1つにもなっている(1997年)。
 なお、ラムサール条約登録湿地である谷津干潟、および行徳鳥獣保護区と三番瀬は、市川1期、京葉港1期埋め立て以前は同一の干潟であり、ハマシギ、オオソリハシシギ、ダイゼン、ウミネコ、カワウ、カモ類などの水鳥の多くが行き来している。1998年4月29日には、シギ・チドリ類は、谷津干潟において、午前から午後(夕方)にかけて約3500羽も増加した(図2)。増えた3500羽のシギ・チドリは、主に三番瀬よりやってきている。(図3)。このように、三番瀬と谷津干潟、行徳鳥獣保護区は密接な関係がある。谷津干潟と行徳保護区の水鳥にとっても、三番瀬の保全がもっとも重要である。










 さらに、地球上で数少ないシギ・チドリの渡りのルートの一つが日本列島の太平洋岸であり、「東京湾」三番瀬は、もっとも重要な渡りの中継地となっている。夏、シベリアやアラスカで子を育てたり、生まれ育ったシギ・チドリは、三番瀬に1カ月ほど滞在し、栄養をたくわえたのち、一気に太平洋を渡って東南アジア、オーストラリアなどへ渡る。日本の干潟をつぶすことは、こうした渡りをするシギ・チドリにとって死を意味する。
 なお、県の委託で三番瀬の生態系などを調べてきた補足調査専門委員会は、98年9月に最終報告書を「県環境会議」に提出した。この報告では、「発信機調査で、本地域での行動範囲は葛西海浜公園から豊砂を含む範囲程度であると推測された。三番瀬と谷津干潟間を潮汐の変化に伴い定期的に移動する行動は認められなかった」としている。しかし、この調査は9月に実施されたもので、シギ・チドリの中で渡りのピークをすぎていて潮汐移動が少ないキアシシギやソリハシシギを調べている。調査時期を広げ、種類をもっと多く調査すれば、こうした結論にはならなかったはずである。
 ところで、東京湾の羽田飛行場拡張にともなう羽田洲の埋め立てによって、ハマシギが1万羽以上減少した(多摩川河口から江戸川河口まで。1975〜1990年。図4)。三番瀬を埋め立てることは、ラムサール条約、生物多様性条約、日米、日ロ、日豪、日中渡り鳥条約違反でもある。





 千葉県や市(とくに船橋市)は、市民に三番瀬の問題を知らせないようにしているので、船橋海浜公園に遊びにきている人の多くは、この目の前の海の3分の2が埋め立てられる予定があることを知らない。しかし、説明をすると、ほとんどの人が気持ちよく署名してくれる。多くの人が三番瀬のよさと埋め立ての問題点を知れば、埋め立て賛成者は少数のはずである。


      ◇       ◇       ◇


 広大に干出した干潟に、点々とつづくタマシキゴカイのふん(ケーキのモンブランに似る)。干潟で休んでいた1000羽をこすコアジサシが飛び、青空で舞う。干潟で餌をとるミヤコドリ5羽。赤い足と口ばし、背の黒と腹の白がまぶしい。たくさんの人が貝をほり、子供たちが自由に遊ぶ……。青い空と、キラキラとする波、白い水鳥の群、ほんとうに美しい日本の原風景がここにある。
 干潟の生き物や次代の子どもたちに代わって埋め立て反対の意志を広げていきましょう。埋め立て計画の撤回を求める署名活動、広報、カンパなどの運動にご協力ください。

(1998年10月)      








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