千葉県の「補足調査結果報告書」と「見直し案」

〜 三番瀬埋め立て計画は白紙撤回しかない 〜


 千葉商科大学教授  竹内壮一(三番瀬を守る署名ネットワーク) 



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 名古屋港の藤前干潟埋め立て中止決定などの影響を受けて、東京湾三番瀬の埋め立て問題をめぐる状況が大きく変化しつつある。
 1999年1月25日、三番瀬の埋め立てを計画している千葉県自身(企業庁と土木部)が、埋め立て計画は「総合的にまとめると、三番瀬の自然に対する影響が大きいと考えられる」という『報告書』(『市川二期地区・京葉港二期地区計画に係る補足調査結果報告書 予側編』)を発表した。『報告書』は、埋め立てによる三番瀬の環境変化について次のように指摘した。


◆干潟に重大な影響与えることを県が認める

 埋め立てによって餌場や休息地のほとんどすべてが消失するため、三番瀬の鳥類は減少する。シギ・チドリ類の11種、カモ類4種、そのほかコアジサシなど5種の水鳥への影響が大きい。とくに、三番瀬周辺に全国のほぼ半分が生息するスズガモは大幅に減少する。三番瀬の埋め立てはラムサール条約に登録されている谷津干潟の鳥類に対しても大きな影響がある。
 また、埋め立てによって、水質浄化機能に寄与している底生生物は埋め立て前の約40%しか生き残れず、二枚貝も半減する。魚類ではマハゼ、イシガレイなどは三番瀬周辺でとくに大きく減少する。
 このように、千葉県が計画している三番瀬埋め立て計画(市川二期地区・京葉港二期地区・土地造成計画、740ヘクタールの埋め立て計画)は東京湾奥に辛うじて残された干潟・浅海域の自然環境に極めて重大な影響を与えることが明らかとなった。
 ここで強調しておきたいことは、この『報告書』の作成者は埋め立ての事業主体である千葉県企業庁と千葉県土木部、ということである。『報告書』の指摘した三番瀬の「価値」をまっとうに受け止めることができるか、という問題にかかわっているのだが、この『報告書』から引き出される結論は、三番瀬を埋め立てずに保全することこそ東京湾の「賢明な利用方法」であるということであろう。『報告書』の精神を生かして千葉県は三番瀬の埋め立て計画を白紙撤回することである。
 この『報告書』を受けて2月5日、日本野鳥の会、世界自然保護基金日本委員会、日本自然保護協会の3団体が連名で、三番瀬埋め立て計画について「単なる縮小ではなく、根本的な見直しと代替案の徹底的な調査研究」と三番瀬のラムサール条約への登録の推進などを求める「緊急要請書」を千葉県知事に提出した。埋め立て計画を白紙に戻して、三番瀬を保全する問題は日本の干潟保護・環境・保全問題の中心的争点になったのである。


◆事業規模の部分的縮小をうたうのみ

 こうした中で2月8日、埋め立て計画の土地利用について検討を加える第2回「計画策定懇談会」が開催され、その席で千葉県は埋め立て計画の「見直し案」を提出した。
 新聞報道によると、県が提出した「見直し案」では、現行埋め立て計画のうち、完全に放棄された事業計画は一つもなく、ゴミ処分場用地の縮小と住宅・企業用用地の大幅縮小、レクリェーション用地の縮小がうたわれているにすぎない。さらに「検討部分」として都市再開発用地、公共埠頭・港湾関連用地、交流拠点用地があげられているが、これらの用地も縮小される可能性はあるにしても、事業の撤回はうたっていない。そして「必要部分」として下水処理場と第二束京湾岸道路用地の二つの事業用地をあげている。
 埋め立てによる東京湾の水質悪化が三番瀬周辺に限定されるなどとした『報告書』の限界はあるにしろ、企業庁と土木部自身が埋め立ては三番瀬の環境に大きな影響を与えると2週間前に報告しておきながら、事業規模の部分的縮小をうたうのみで、埋め立てそのものを「見直す」視点をまったく欠落している。
 すでに90%の海岸線が埋め立てられてしまった東京湾で、そうして自ら作成した『報告書』で環境破壊が大きいという埋め立て計画を撤回しない千葉県の態度は理解しがたい。埋め立ての必要性についての十分な検討もせず、埋立計画の情報も市民に提示せず、そして「三番瀬を保全せよ」という市民の声に耳を傾けようとしない千葉県の姿勢は、とうてい納得できるものではない。
 諫早湾の干潟破壊が日本中の市民の批判を浴び、藤前干潟の埋め立てを環境庁が中止させた現状を真摯に受け止めるなら、三番瀬の埋め立て計画は白紙撤回されなければならない。東京湾三番瀬はたとえ小規模でも埋め立てられてはならないのである。

(1999年3月)





ミヤコドリ





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