千葉県自然保護連合が

三番瀬埋め立て計画中止を県に要請




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 建設省が「第二湾岸道は三番瀬の埋め立てを前提にしなくても可能である」と表明するなど、三番瀬埋め立て問題をめぐる事態が大きく変化したなかで、千葉県自然保護連合は(1999年)4月26日、あらためて県に対して埋め立て計画の中止を要請しました。要請書の全文は次のとおりです。





1999年4月26日

 千葉県知事 沼田 武 様

千葉県自然保護連合
代表 岩田 好宏


要   請   書

 私たちは、すでに貴職にたいして、三番瀬干潟・浅瀬の埋立て計画につきまして、その中止を要請してきましたが、補足調査によって同地城の自然環境としての重要性が明らかにされ、また、建設省等による開発計画が埋立てを前提にしなくても可能であることなどが明らかにされたことにより、事態が大きく変化してきましたので、ここにあらためて、自然を愛する県民を代表するものとして三番瀬干潟・浅瀬の埋立て計画を、つぎの4つの理由で速やかに中止されますことを要請します。

  1. 同地域の貴重な自然環境が埋立てによって失われます。三番瀬は東京湾奥部における唯一の自然干潟です。そこには、脊椎動物、節足動物、扇形動物、環形動物、腔腸動物、軟体動物など多種の動物が遊泳生活、浮遊生活、底生ほふく生活、掘穴生活、着生生活など多様な生活を営んでいます。植物も種子植物、緑藻類、珪藻類、褐藻類、紅藻類など多種が、着生生活、浮遊生活などの生活を営んでいます。また、肉眼ではみられないような微小の動物、植物、菌類、細菌類がこれに加わり、それらが、相互に関係しながら、地形、互いの位置関係、水深のちがいや砂、シルトなど底質のちがいによって、それぞれ個性ある生態系を形成し、全体として多様な生物的自然が成り立っています。それらは東京湾では他にみられない独特のもので、埋立てによってそれが永久に失われます。それはまた人工干潟によって代替することのできないものです。
     また、三番瀬は、谷津干潟、小櫃川河口域の干潟などとともに、列島弧・太平洋両渡りルートの分岐点であり、南から北へ、北から南へと野鳥の渡りの中継地の東端になっています。もしこの地域の浅瀬・干潟が消失すれば、野鳥の渡りに大きな支障をもたらし、また、ラムサール条約に指定されている谷津干潟の野鳥にも深刻な影響を与えることが予想され、国際的な生物種多様性保全の立場からみて重大な問題となります。この点については、習志野市長から同地域の保全についての強い要請がされています。

  2. 人間環境からみて、その重要な機能が埋立てによって損なわれます。一つは、東京湾の水質浄化の上で極めて重要な役割をはたしていることです。同地域には河川を通じて陸域から、また他の海域から無機的有機的汚濁物質が流入しています。窒素化合物を例に申せば、その大部分は、窒素ガスにされて大気中に戻されています。環境汚染を理由に市川市議会によって埋立ての要請が決議がされました猫実川河口付近でさえも、補足調査のみならず市川市独自の環境調査でも明らかにされていますように、著しい汚濁はみられず、むしろ有機化合物を無機化するCOD浄化量は他区域に比しても劣らないことが明らかになっています。また猫実川河口付近は、漁場の面からみますと、稚魚・幼魚の生育場所として重要な意味をもち、同地域に限定して埋め立てが実施されても、東京湾漁業全体に及ぼす影響は重大です。
     なお、同区域が従来アサリ漁の適地であったにもかかわらず、埋立て等によって不良となったのであるならば、埋立てと関係なく損害補償すべきでしよう。

  3. 埋立て工事に伴って重大な環境破壊が発生します。埋立てにあたって、これまでされてきた近接域浅海の浚渫によって埋め立て用土砂を採取する場合、浚渫域は深みとなって、酸素不足を主たる原因とする青潮の発生源となっていることはこれまで明白なことです。また浚渫土に含まれています浮泥成分は周辺に拡散して汚濁あるいは覆泥を招きます。このように浚渫・埋立てによってアサリ漁への悪影響のみならず、付近の干潟・浅瀬の生息生物への影響は深刻なものとなるでしょう。
     また、従来の方法とは別に山砂を利用する場合、採取地域において別の環境破壊の問題が発生します。また残土を利用する場合には、その中に有害物質の混入の危険性はぬぐえず、埋め立て地域に新たな環境汚染を発生させる恐れがあります。さらにこれらの方法を採用した場合、土砂運搬に東京湾内の水路を利用すれば、そこに重大な混乱がおき、陸路を利用すれば新たな交通渋滞を引き起こし、また騒音・振動・粉塵などによる沿道住民の健康障害を招く恐れも出てきます。

  4. 埋立てにたいする社会的必要性が、当初計画された時点より大きくかわり、実質的になくなっています。道路敷設計画は、埋立てを前提要件としないことが、国会における建設省関係者の答弁により明らかになっています。大型下水道処理場建設も、既存の施設の改善や分散化で対応できますし、集中的な大型下水道処理施設は、地震など災害時にはむしろ不適当であることが、阪神淡路大震災についての調査分析で明らかにされていると聞きます。  かえって私たちの提起しています分散化および既存施設の活用は、自然および都市における水循環の確立や経費の軽減という大きな効果をもたすことになると思います。港湾施設についても既存のものの改善によって代替可能ですし、住宅地造成は、予想される人口の社会的増加そのものが根拠を失いましたから、必要はありません。




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