市長の「猫実川河口埋め立て」発言で、

  市川市に慎重な対応を求める

       「市川緑の市民フォーラム」など5団体が申し入れ



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 東京湾に残る干潟と浅瀬「三番瀬」の埋め立て問題をめぐり、市川市の千葉光行市長が「ヘドロ化した猫実川河口の周辺は埋め立てるべきだ」との考えを示したことについて、市民団体「千葉の干潟を守る会」など5団体は3月12日、「猫実川河口の海域も生態系に重要な役割を果たしている」として、市川市に埋め立てに慎重な考え方を取るよう申し入れた。
 
 申し入れなどによると、猫実川河口の周辺海域は有機物が豊富な泥質で、甲穀類や二枚貝などが生息している。それらの生物を、ほかの魚類などがえさとしており、三番瀬の生態系にとっては食物連鎖の底辺にあたる重要な場所だ、としている。そのうえで、市川市には「猫実川河口部分を埋め立てるという考えを改めて、慎重に対応してほしい」と求めた。
 
 応対した市川市の土屋光博助役は「猫実川河口は潮の流れが悪く、ヘドロ化している。漁場としても悪化している。(三番瀬を)今のまま放置していいのか」と述べ、埋め立ての必要性を主張した。
 
 市川市では、広報紙を3月13日の新聞に折り込み、「環境と共生できる埋め立てがあるはずだ」との市長意見を掲載して、市民に意見を求める。

(朝日新聞・千葉版、1999年3月13日付け)  






1999年3月12日

 市川市長 千葉光行 様

市川緑の市民フォーラム    事務局長  佐野郷美
真間川の桜並木を守る市民の会 代  表  小川 広
外環反対連絡会        世話人代表 高柳俊暢
千葉の干潟を守る会      代  表  大浜 清
千葉県自然保護連合      代  表  岩田好宏


市川二期・京葉港二期埋め立てに関する市広報の内容について(申し入れ)

 市川市は、3月13日付け「広報いちかわ」で市川二期・京葉港二期埋め立て問題を特集し、同問題に対する市長の見解を表明するとともに、これまでの経過をまとめられました。
 本間題について幅広い市民の合意が形成されるためには、三番瀬と呼ばれる、この地域の海の現状について正しい共通認識が市民の間に生まれることが何より必要です。この意味で千葉県環境会議の提言に基づき実施された補足調査専門委員会の調査結果の内容は正しく市民に伝えられなければなりませんが、今回の「広報いちかわ」の内容には、補足調査結果の重要な部分が欠落していたり、補足調査の報告と反する市独自の現状認識が付け加えられ、「このまま放置することがかえって環境悪化を招き、少なくとも一部の地域は埋め立てることによって環境改善がはかられる」という補足調査の結果とは相反する結論が一方的に導かれていて、市の広報の内容として適切さを欠いています。
 以下に、それらを具体的に指摘するとともに、次号以降の広報で、市自らによる訂正あるいは私達の反論の意見を掲載されるよう求めます。

  •  補足調査は三番瀬を底質環境によって5つの海域に分類していますが、調査結果はこの5つの海域に異なる生物が分布し、三番瀬の中でそれぞれ貴重な役割を果たしていることが述べられており、特定の海域を環境にとって好ましくない地域であるとは記述していません。特に、当初の埋め立て計画によって完全に失われる猫実川河口周辺海域の、有機物を豊富に含む泥質の海域に棲む甲殻類やホトトギスガイなどが食物連鎖の中で重要な役割を果たしているとし、この地域が失われることの影響を重視している事実が、広報では欠落しています。

  •  上記のような補足調査結果の重要な記述が欠落している一方、市独自の評価結果として、猫実川河口域周辺にはヘドロの堆積やアオサなどが繁茂し、自然環境として好ましくない状態にあり、しかもこの状態が拡大しつつあると記述していますが、その根拠としている市独自の調査は公開されているものではなく、客観的に評価しようのないものです。去る3月6日に県の主催で開催されたシンポジウムの席上でも、上記と同主旨の発言が一部のパネラーからなされましたが、望月補足調査専門委員会委員長は、「こうした見解は補足調査の結果と一致していない」と述べられ、「たしかに猫実川からの汚れの流入はあるが、これが三番瀬に豊富な栄養源をもたらし、河口周辺の生物によってそれが取り込まれ、その後の食物連鎖によって豊かな三番瀬の生き物が形成されている面もあり、単純な議論はできない」と発言されています。また今後、三番瀬がどのようなに変化していくかに関しては、「そうしたことに答えようとすればさらに調査が必要である」と述べられ、慎重な対応を望んでいます。

  •  猫実川河口の有機物汚濁負荷は従前の流域下水道第二処理場からの排水によるところが大きく、この排水が江戸川に排水されるようになった今日では、汚濁の進行は停止しており、決して死んだ海という状憶ではありません。そのことが補足調査にも反映していると考えることができます。

  •  航路の浚渫や埋め立てのための土砂採取の放出が青潮の発生、停留、伝播と莫大な量のへドロの放出を招くことが記述されていません。従来の青潮やへドロの大きな原因であったこれまでの浚渫や埋め立てに加え、新たな浚渫や埋め立てを行うならば、三番瀬に与える影響ははかり知れません。また、広報では、埋め立てが三番瀬の環境改善のためや、市民に親しまれる海辺を造るためであるかのような記述がありますが、これらは埋め立ての本来の目的から市民の目をそらせるものです。
     もちろん、埋め立て地に囲まれた現在の三番瀬が干潟として理想的なものではありませんが、その環境改善の方法としては、周辺の既に埋め立てられた土地の利用形態を見直し、少しでも湿地を回復し、自然の浄化機能を増加させることが本道であるにもかかわらず、こうした面からの記述が一切ありません。


 環境回復こそ21世紀の大きな課題ですが、その仕事は決して急がず、学問的な衆知を集め、慎重な手順によって一歩一歩進めるべきです。
 広報が市民に正しい知識を供給することに努めるとともに、市民の側からの反論を掲載し、これに謙虚に対応されることを最後に重ねて要望するものです。




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