三番瀬保全についての要望

  および「千葉日報」1999年1月11日付け記事に関する反論

千葉県自然保護連合が千葉県知事へ提出(1999年2月26日)



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1999年2月26日

 千葉県知事  沼 田  武  様

千葉県自然保護連合
代表 岩田好宏


  三番瀬保全についての要望
  および「千葉日報」1999年1月11日付け記事に関する反論

 三番瀬の埋立て問題については、千葉県環境会議が補足調査の必要性を示し、約2年の歳月がかけられて、ようやくその結果がまとめられた。したがって、埋立ての是非をめぐっては、本来、千葉県環境会議が補足調査の結果を慎重に検討して結論を出すべきである。ところが、昨年、企業庁は「計画策定懇談会」を発足させ、この会議の動きがマスコミで大きく取り上げられ、まるでこの会議が埋立て計画の是非を審議するかのような誤解を生じさせている。
 さらに、2月8日に開催された第2回計画策定懇談会において県が示した縮小案は、補足調査の結果を踏まえて検討されたものではなく、大まかに言えば、単に藤前干潟の問題で否定された「ゴミ処分場確保のための立て」用地を引っ込めただけの縮小案であり、策定懇談会メンバーから「埋立ての必要性についての説明がまったくない」と批判されるのももっともである。私たち千葉県自然保護連合も、このような安易なプランを公式な縮小案と認めるわけにはいかない。
 そこで、千葉県は、もう一度以下の点を考慮して計画を見直すようここに強く求めるとともに、1999年1月11日付け千葉日報に報じられている「船橋海浜公園前の干潟は1982年に造成されたものだが、自然が機能している。千葉県の場合は造成というよりも(干潟の)復元」という認識についても反論し、撤回を求める。


1. 環境庁発言を確認し、三番瀬に生かすよう求める
 環境庁が示した、藤前人工干潟造成案に対する見解は、三番瀬のみならず、今後の日本各地の埋立問題に確固たる指針を与えるものである。今一度、要旨を確認する。
 生物の豊かな干潟は、干潟単独で成立維持されているものではなく、周辺の浅場とも密接に関連を持ちながら、全体として生態系を維持している。周辺浅場を改造することは、干潟の改変と同様に深刻な影響を与えるものと考えられ、厳に慎む必要があると考えられる。代償措置の前に代替案の検討が必要である。価値の高い自然がある場合には、自然本来の姿をとどめることがまず最優先されなければならない。代償措置としての人工干潟を造成するため、残りの残存干潟自体に改造を加えることは、無謀と言わざるを得ず、極めて不適切である。
 以上のように、干潟そのものだけでなく、その周辺の浅場も干潟と一体になって生態系を構成し、浅場が干潟の生物相の豊かさを支えていることを述べている。これらのことを十分に認識して、三番瀬埋立計画の再検討を求める。


2. 日本野鳥の会、世界自然保護基金日本委員会、日本自然保護協会三者
  による2月5日付け「緊急要請」を真摯に受け止めよ

 私たちが知る限りにおいて、上記の国内の三大環境保護団体が連名で「要請」行動を実施した例はない。この事が何を意味するかを千葉県は真摯に受け止めるべきである。
 特に、要請書に述べられている以下の3点については、今まで三番瀬埋立ての見直しを求めてきた私たちの要求そのものであり、さらに小櫃川河口干潟にも言及している点は、私たちが別途再考をお願いしている「七里川渓谷追原ダム建設計画」とも深い関連を持っている。あらためて、「緊急要請書」の要旨を確認する。

(1) 三番瀬埋立て計画については、その利用目的が時勢にそぐわない面も多くあり、単なる縮小ではなく、根本的な見直しと代替案の徹底的な調査研究を行い、環境への影響を回避すること。
(2) 三番瀬の自然環境の国際的な重要性を認めてこれを保全する方策を策定するとともに、ラムサール条約への登録を推進すること。
(3) 三番瀬や小櫃川河口干潟を含む、貴県下における干潟・浅海域に関わる施策を今一度吟味の上、その総合的な保全策を検討すること。


3. 日本湿地ネットワ−ク(JAWAN)の要望を取り入れよ

 日本全体の湿地保護に乗り出している日本湿地ネットワ−ク(JAWAN)も、三番瀬保護を求めた。県環境会議の設置や補足調査結果報告書の作成等、県の姿勢を一定評価しながら、さらに「行政が残されたわずかな干潟環境を公共事業の名の下に消滅させないこと、ラムサ−ル条約が示しているところの『賢明な利用』を住民とともに立案すること」を求めている。この要望を全面的に取り入れるべきである。


4. あらためて、15万人署名の重みを考えよ

 諫早湾が潮止めされた当時の日本国中の国民の反発を思い返していただきたい。採算の取れる見込みのない農地確保のために行われた潮止めがもたらしたものをしっかりと見つめて欲しい。そして、今回の藤前干潟の保全がどれほど多くの国民に祝福をもって受け入れられているかを正視していただきたい。
 そして、多数の市民団体からなる三番瀬を守る署名ネットワ−クが昨年二度にわたって提出した三番瀬埋立て反対の「15万人の署名」の重みと県民の願いを受け止めていただきたい。署名は今も続々と集まっており、来る4月14日干潟の日にはさらに上乗せして「20万人」に届く勢いである。
 幕張新都心、かずさアカデミアパ−ク、アクアラインなど膨大な税金をつぎ込んでは失敗を重ねてきたことを反省し、三番瀬埋立て計画を抜本的に見直すことで、県民のための県政へ大きく政策転換すべきである。


5. 千葉日報の1月11日付新聞記事に関する反論

 県の誰が言ったかは定かではないが、この新聞記事の内容が三番瀬に関して県民に大きな誤解を生じさせる危険性があるので、以下の2点について反論する。

(1) 記事の内容が、県民が船橋海浜公園前の干潟と三番瀬の干潟を混同することをねらっていること
   市民グループが頻繁に三番瀬観察会を実施して、県民に三番瀬のすばらしさを知ってもらおうと努力を重ねているが、それでも三番瀬を訪れたことのある県民はそう多くないのが現状である。したがって、「船橋海浜公園前の干潟」を「三番瀬の干潟や浅場」と区別して新聞記事を読む人はそう多くないのが実状であろう。そうすると、「船橋海浜公園前の干潟」は多くの県民にとって三番瀬の干潟と同じものと認識されてしまいかねない。
 その結果、「三番瀬は人工干潟」であるとの誤解が生じる。県企業庁がしきりに「船橋海浜公園前の干潟は造成された人工干潟だ」と言っているのは、その誤解を意図的に生じさせて、藤前干潟が保全される経過の中で、決定的意味を持った「人工干潟は自然干潟の代償にはならない」という環境庁の見解が三番瀬問題に影響を及ぼさないことを狙った巧妙な言い回しである。
 もともと県が言っている船橋海浜公園前の干潟というのは、京葉港1期埋立工事で今の潮見町を造成したときに、その前面(今の海浜公園前)に浚渫してつくった船橋航路と市川航路を結ぶ横引き航路を埋め戻したものであり、その先に三番瀬が残されていたからこそ現在干潟として機能しているものである。豊かな生物相も三番瀬の本来の干潟や浅場から供給されているのであって、埋め戻してつくった干潟が自然の干潟に匹敵する機能を持っているわけではない。したがって、千葉県の認識は実状と大きくかけ離れたものである。
 そこで、今後は「三番瀬」の問題に、船橋海浜公園前の干潟を結びつけて言及しないこと、三番瀬が自然が形成した干潟と浅場であることを認めた上で「三番瀬」の問題に触れるよう強く訴える。

(2) 記事の内容が、人工干潟の造成を看板にして埋立計画を正当化しようとしていること
 三番瀬に関する補足調査で三番瀬の価値が証明され、環境庁も「人工干潟は自然干潟の代償にはならない」と言っているのに、どうして千葉県は今も「三番瀬という自然干潟を埋め立ててその先に人工干潟をつくる」ことにこだわり、しかもそれを新聞で報道させるのでしょうか? そもそも人工干潟の造成は、三番瀬埋立計画を認めさせるために付録のようにくっつけられた事業であり、埋立計画の中心は港湾整備、道路整備、ゴミ処分場、終末処理場、住宅地の確保である。埋立計画を認めてもらいたいならば、それらの必要性を県民に訴えるのが行政のとるべき態度ではないか?
   しかし、それを全面に出さないのは、それらの必要性に関しても十分な説得力がないからでしょう。一方で、「人工干潟造成に自信を示している」という発言は、環境庁の指摘を全く無視したもので、言い換えれば「環境庁は、干潟造成に技術を持たない名古屋の計画は否定したが、自然干潟に優るとも劣らない人工干潟造成技術を持つ千葉県の計画に反対させない」という戦術をとりはじめたとも言える。つまり、藤前干潟が保全された経過を全く無視して、人工干潟の造成を看板に埋立計画を正当化しようとしている。
 したがって、千葉県は「人工干潟造成に自信を示す」などという、全く根拠のない態度を改めるべきである。


 以上のことから、三番瀬埋立計画は一度白紙に戻して、改めて広く県民の意見を聞きながら三番瀬保全計画を策定するよう強く要望する。


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