三番瀬・猫実川河口域は自然のワンダーランド

〜2018年三番瀬市民調査報告会〜



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 「三番瀬市民調査の会」は2018年12月8日、2018年市民調査報告会を船橋市内でひらいた。参加者は42人。

 2001年9月、三番瀬の埋め立て計画が中止になった。県はその後、三番瀬の浦安寄りに位置する猫実川河口域で人工干潟の造成をめざした。猫実川河口域に第二東京湾岸道路を沈埋方式で通すことが目的である。そのため、三番瀬保全団体は2003年に「市民調査の会」を発足させ、猫実川河口域の調査をつづけている。猫実川河口域の自然の豊かさを証明してアピールすることが目的である。調査項目は、生き物、カキ礁、アナジャコ巣穴数、酸化還元電位、塩分、透視度などだ。

 市民調査によって猫実川河口域に大規模なカキ礁が存在することがわかった。この海域は生物多様性が非常に豊かな海域であり「自然のワンダーランド」となっていることをデータによって証明した。これが大きな効果を発揮し、県は2016年10月、猫実川河口域における人工干潟造成計画を中止した。第二湾岸道路の建設もくいとめた。

 報告会の第1部では、今年の調査結果を各調査員が発表した。

 第2部では、2013年から調査に参加している高田雅之さん(法政大学人間環境学部教授、日本湿地学会理事)が「韓国順天(スンチョン)湾の湿地」というテーマで講演した。
 順天湾は韓国の南部、全羅南道に位置する。ここの干潟は1990年代から開発計画がもちあがった。それにたいして地域の人々が中心となり、保全活動やイベントを通して順天湾の魅力を全国に発信しつづけた。その存在を多くの国民に訴える活動をつづけた。それを機に、順天市は開発計画をとりやめた。干潟は2006年にラムサール条約登録湿地に、2008年には国家指定文化財名勝に指定された。かつて開発計画があったころは年間1万人にすぎない観光客数だったのが、いまや200万人を超える人々が世界中から湿地を見に訪れるにいたっている。

 浜田川遊船協会の秋元一彦さんは、市民調査の参加者をカキ礁の近くまでボートに乗せてくださっている。秋元さんは「三番瀬の今昔」というテーマで講演した。秋元さんは生まれときからずっと船橋市に住んでいる。三番瀬や周辺の移り変わりを映像をつかって話してくれた。埋め立ての歴史などである。三番瀬に面する地域の変貌ぶりがよくわかった。

 特別報告では、法政大学高田ゼミ生が「三番瀬における塩分と野鳥に関するデータ分析の試み」を報告した。高田ゼミ生たちも2013年から市民調査に参加している。これまで調査に参加したゼミ生は実数で80人におよぶ。
 塩分調査のデータ分析では、つぎのことを発表した。表層の塩分はおおむね2.0〜3.0%で推移しており、淡水と海水が混じった汽水環境が維持されている。2006年8月の調査では非常に低い値を示しているが、これは前日までつづいた大雨による淡水流入が原因と推察される。海底下の塩分は表層に比べて低く、沿岸海底湧水の存在を強く示唆している──などである。
 野鳥については、千葉県野鳥の会などが月1回開催している三番瀬自然観察会(探鳥会)の確認記録(2002年以降)にもとづいてデータ分析を試みた。6、7月の種数は、冬季にくらべて半減する。5〜10月の個体数は、冬季にくらべて極端に減少する。ミヤコドリは三番瀬が重要な生息地となっていて、増加傾向にある。一方、キョウジョシギは減少傾向を示している──などである。岡崎さんは、「今後さらに分析をすすめ、三番瀬全域のなかで各箇所がそれぞれ重要な生息地の役割をはたしている可能性を含めて検討したい」とのべた。

 講演・報告の内容はたいへん好評で、「調査内容が充実している」「レベルが高い」などの感想がよせられた。質疑討論では、三番瀬を通る「新たな自動車専用道路」(=第二東京湾岸道路)を県が検討していることや、沿岸海底湧水の可能性などをめぐって活発に議論がかわされた。








2018年三番瀬市民調査報告会=2018年12月8日、船橋市男女共同参画センター



三番瀬の野鳥写真に見入る参加者。三番瀬を守る会が展示した







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