三番瀬の人工干潟造成に浚渫土利用を検討

〜千葉県議会で県が答弁〜




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 6月21日の千葉県議会で、三番瀬問題をめぐって重要なやりとりがされました。一般質問をした鈴木衛議員(自民党、市川市選挙区)と県幹部のやりとりです。


●「航路浚渫土を三番瀬の干潟造成に使えないか」

 まずは、これを報じた『千葉日報』(22日)の記事です。
    《鈴木議員は、地元・市川市の問題を中心に県の見解をただした。三番瀬問題で、「市川航路の浚渫土を三番瀬の干潟造成に使えないか」と質問。飯田耕一総合企画部長は「2006年度に可能性を検討したが、今後、再生会議や漁業者等の意見を聞き、さらに検討する」と答弁。「塩浜1丁目護岸が県の海岸保全区域指定されない理由は何か」との質問には、古川厳水県土整備部長は「04年6月に市川市と協議、2、3丁目の前面を指定し、既存の海岸保全区域とつなげる方向で検討している」とした上で、1丁目については、土地利用形態を勘案し、同市などと協議、調整していくとした。》
 新聞報道は以上です。
 このやりとりは、千葉県議会のホームページ(平成19年6月21日【一般質問】鈴木衛議員)にアクセスすれば録画を見ることができます。関心のある方はぜひご覧ください。
 ようするに、鈴木議員は、三番瀬・猫実川河口域(市川側海域)の人工干潟化(=埋め立て)を早くやれ! と要求しているのです。「市川航路の浚渫土砂を使えばよいではないか」ということです。
 ちなみに、近刊の『干潟ウォッチング フィールドガイド』(市川市と東邦大学東京湾生態系研究センターの共同編集、誠文堂新光社発行)でも、市川航路の土砂を使った「三番瀬の干潟再生」(=猫実川河口域の人工干潟化)が提唱されています。
    《三番瀬の奥にある江戸川放水路からは、今も出水のたびに士砂が流れ込んでいる。土砂は現在河□にある市川港にたまってしまうが、この土砂は本来ならば三番瀬に堆積し、干潟を育てる資源となる土砂である。この土砂を有効利用すれば、三番瀬の干潟再生は、すぐにでも始まるだろう。》(112ページ)


●「順応的管理の原則にたち、徐々に手を加えていく」(堂本知事)

 鈴木議員と県幹部のやりとりをもう少しくわしく紹介すると、こうです。

◇鈴木議員
     「三番瀬再生計画の策定にかかった費用はどのくらいか」
     「そろそろ、三番瀬再生について県がリーダーシップをとってほしい」
◇堂本知事
     「三番瀬円卓会議・再生会議の開催、各種調査、広報などに、平成13年度から18年度までの6年間で3億7000万円を支出した」
     「三番瀬の再生は、再生事業が自然環境に与える影響を観察しながら徐々に手を加えていくという“順応的管理”の原則にたち、息の長いとりくみが必要であると考えている」
     「三番瀬の市川側は、人と里海との間の調和がとれた地域づくりをめざすことが大事だと思う」


●「航路浚渫と干潟造成は一石二鳥」

◇鈴木議員
     「市川航路の浚渫土砂を三番瀬の干潟造成に利用できないか。円卓会議が提案した三番瀬再生計画案では、市川塩浜2丁目護岸改修工事とあわせて、その前面に土砂を投入することになっている。地元の市川市民も、早期の干潟再生実現を求めている。市川航路は、座礁問題があって浚渫工事が求められている。この浚渫土砂は三番瀬の干潟造成と馴染みがよく、安定性がよい。航路を浚渫し、その土砂を干潟造成に使えば、一石二鳥になると考える」
◇飯田耕一・環境生活部長
     「県は、三番瀬再生計画の中で、干潟的環境形成を三番瀬再生の重要な事業として位置づけている。平成18年度(2006年度)は、干潟的環境形成に浚渫土砂を利用することについて、その可能性を検討した。今後は、再生会議や漁業者の意見を聞きながら、浚渫土砂利用の検討や試験をさらに進めることにしている。その中で、市川航路の浚渫土砂も、利用の可能性を検討したい」


●「護岸改修は、人々が海にふれあえるようなものにする」

◇鈴木議員
     「県は市川塩浜2丁目の護岸改修工事を進めている。これは、人々が海に親しめるような親水性の高いものにすべきと思うがどうか」
     「また、3丁目の護岸については、今後どのように整備していくのか」
◇古川厳水・県土整備部長
     「現在進めている2丁目の護岸工事は、人々が海にふれあえるようなものにするよう、学識経験者や漁業関係者などからなる護岸検討委員会(市川海岸塩浜地区護岸検討委員会)で検討を進めている」
     「3丁目護岸については、2丁目護岸を整備したあとで遅滞なく着手することにしている」
 以上です。


●従来型の開発至上主義そのまま

 何度も言うように、市川市や自民党などは、猫実川河口域を人工干潟にすることを強く要求しています。県も同じ考えです。そのネライは、人工干潟の造成とあわせて、この海域に第二湾岸道路(第二東京湾岸道路)を通すことです。
 また市川市は、人工海浜をつくり、「葛西臨海公園」(東京都)や「海の公園」(横浜市)のようなものにすることを広報紙などでブチ上げています。市は、この海域に面する市川塩浜地区(行徳地区)の再開発計画も進めています。人工海浜と再開発が一体になった、“海に親しめて、にぎわいのある街づくり”──。これが市川市の構想です。
 なんのことはありません。開発推進のために海の生態系を犠牲にするという、従来型の開発至上主義そのままです。そんな開発推進や三番瀬破壊の企てに、「底生生物研究の第一人者」とか「環境派」とよばれる学者・専門家が何人も加担しています。一部の環境団体も同じです。
 こういう状況をみると、政治だけでなく、環境の分野でも歴史の歯車が逆転していることを感じます。1999年に藤前干潟の埋め立て計画(人工干潟造成計画)を中止させたあの流れはいったいどうなったのでしょうか。


●「自然保護とは何かが分かってないし、破壊に対しても鈍感」

 こんな言葉を思い出します。
    《にもかかわらず今日に至るまでそうした古典的な設問がときどきむし返されるのは、先の生態的最適域のような高いレベルの法則性について正しい理解がないからである。》(沼田真『自然保護という思想』岩波新書)

    《かなしい民度ですね。日本人は万葉の昔から自然をたたえてきたのに、自然保護とは何かが基本的に分かってないし、破壊に対しても鈍感ですね。先生は外国の事例をよくご存じと思うのですが……。》(本多勝一『日本環境報告』朝日文庫)

    《自然破壊に鈍感なることを基本認識とするこのような民族にあっては、地球の生態系とか、それぞれの地域の在来種とか、自然界のバランスといった「高度な」問題など考える能力がなく、したがってその破壊を悲しむ能力もない。自分の趣味としての釣りだけ、それだけにしか思いをめぐらさぬ釣り人とか、経済的対象とだけしか考えぬ住民とか、業界との癒着や天下りにしか心を動かさぬ役人とか、その言いなりになっている学者・研究者などが「主流」になっていては、たとえば富士五湖の河口湖でブラックバス問題が次のような経過をたどったのもまたきわめて当然であった。(本多勝一『日本環境報告』朝日文庫)

    《自然科学者は見えないものを表現し、聞こえないものを聞けるようにするのが務め。これだけ沖縄の自然が泣き叫んでいるのに、気付かない学者は学者じゃない。ちゃんと仕事をしていれば、微生物の「おなかがすいた」というつぶやきすら聞こえるようになる。》(宇井純。『東京新聞』2003年4月6日)

    《日本はある意味では文化財保護にかなり関心が強く、考古学的文物や骨董品への保護にも熱心だ。前述の桂離宮などの庭園や建築についてもしかり。ところが、地球上にわずかしか残されていない貴重な自然環境への保護となると、一般の関心も政策もはるかに後進国に位置する。》(本多勝一『貧困なる精神 第17集』すずさわ書店)



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