現存海域の保全明記をまたも否定

〜第18回「三番瀬再生会議」〜




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 (2007年)3月23日、「三番瀬再生会議」の第18回会合が開かれました。
 議題は、前回に引き続き、県が提案した「平成19年度三番瀬再生実施計画(案)」です。


■竹川委員が猫実川河口域の保全明記を求めたが…

 今回も、議論の内容はヒドいものでした。ひとつは、猫実川河口域の評価と保全です。 県の提案には、こう書かれています。
 この記述について、竹川未喜男委員(千葉の干潟を守る会)が追記を求めました。「猫実川河口域を保全しつつ」を明記すべき、というものです。
 竹川委員の意見をめぐり、こんなやりとりがされました。


■「保全するという文言を入れるのはきびしい」

◇県
      「猫実川河口域については、評価が分かれている。種の多様性の観点から非常に大切な海域という見方がされているが、他方で、この海域は夏季には環境が非常に悪化し、底質環境がアサリなどの生物にとって棲(す)みにくいものになっているという見方もされている。県としては、今後も自然環境調査を続けながら科学的知見を重ね、再生会議の意見ももらって慎重に検討していきたい。したがって、猫実川河口域を保全するという文言を入れるのはきびしい」

◇大西隆会長(東京大学教授)
      「ここに猫実川河口域の保全を加えると、先見的な感じになってしまう」

◇後藤隆委員(公募委員)
      「“干潟的環境の保全”という言葉を入れればいい」

◇竹川未喜男委員
      「市川海岸塩浜地区護岸検討委員会では、護岸改修を議論したり勉強会を開いているが、そこでは猫実川河口域の評価がどんどん下がっている。環境が悪化しているからこの海域をつぶして人工海浜にすべき、といった意見も多くだされているようになっている。そういう状況もあるので、猫実川河口域は保全するということを明記してほしい」

◇倉阪秀史委員(千葉大学助教授)
      「事業内容を先取りするようなことは書くべきでない」

◇吉田正人委員(江戸川大学教授)
      「新たな議論になるような記述は避けたほうがよい。『干潟的環境は保全しつつ』という言葉を入れればよい」

◇大西会長
      「精神としては干潟的環境は保全するということなので、『干潟的環境の保全』という言葉を入れることにしたい」
 以上です。


■円卓会議の提案をホゴにするもの

 この議論はとんでもないものです。
 第1に、2年におよぶ「三番瀬円卓会議」の議論結果や提案をホゴにするものです。
 2002年1月から2004年1月までつづいた円卓会議は、最初から最後まで猫実川河口域をどう評価するかが最大の焦点でした。全163回におよぶ会議の大半はこの問題に費やされたのです。
 その結果、猫実川河口域は「三番瀬の生物多様性の保全において特に重要な場所」という評価になりました。
 円卓会議がまとめた「三番瀬再生計画案」にはこう書かれています。
 そして、「三番瀬再生計画案」では、猫実川河口域は「保全すべき」と結論づけてあります。
 今回の議論は、こうした円卓会議の議論や提案をまったく無視するものです。163回におよぶ会議はいったいなんだったのか、となります。
 県の提示によれば、円卓会議の開催経費(委員の報酬費、旅費、会場使用料など)は5375万円です。こんなにかけて検討した結果がホゴにされたのです。これははっきりいって税金の無駄遣いです。


■「事業計画や実施計画の段階で煮詰める」はどうなった?

 第2に、これまでの再生会議の議論さえもホゴにするものです。
 再生会議の第5回会合(2005年5月)と第6回会合(同年6月)で基本計画案を議論した際、猫実川河口域の保全を明記すべきという意見が数多くの市民から文書でだされました。竹川未喜男委員も、保全の明記を主張しました。
 これに対して大西隆会長は、「(猫実川河口域を)どう評価し、どうするかについては、意見がいろいろ分かれている。したがって、この問題は、今後、事業計画や実施計画の段階で煮詰めるということにし、基本計画ではあいまいさを残すということにせざるをえない」と提案しました。
 この大西提案に大多数の委員が賛成しました。そのため、基本計画には猫実川河口域の評価や保全が盛り込まれなかったのです〈注〉
〈注〉以上の議論については、次のHPをご覧ください。

 しかしその後、事業計画案の審議でも、この海域の評価は議論なしです。そして、こんどの実施計画案でも棚上げです。そうなると、「事業計画や実施計画の段階で煮詰める」という“約束”はいったいなんだったのか、となります。
 要するに、再生会議は、三番瀬の保全にかかわる肝腎なことはほとんど議論せずに、つねに先送りしたり棚上げしているのです。

 2001年9月に白紙撤回された三番瀬埋め立て計画の主たる目的は、猫実川河口域を埋め立てて、そこに第二湾岸道路を通すというものでした。
 この道路用地は三番瀬で中ぶらりんとなっていて、猫実川河口域をなんとかしない限り、建設することができません。県は、第二湾岸道路建設を県政の重要課題の一つとして位置づけていて、「三番瀬再生」とこの道路は密接にからんでいます。
 だから、猫実川河口域の扱いが最大の焦点になっているのです。
 しかし、再生会議は、そんな大事な海域の保全問題をいっさい議論しないのです。というか、県が議論させないというのが本当のところでしょう。


■「全国的に誇れる先進事業」が聞いて呆れる

 県は、今回の会議でこんなことを言いました。
 「県としては、三番瀬再生事業を全国的に誇れる先進事業として考えている」
 冗談ではありません。三番瀬再生事業は、形式上は、県民参加の円卓会議や再生会議で計画を議論していることになっています。しかし、現存する海域を保全すべきという円卓会議の提案を無視し、肝腎な点を議論しません。
 三番瀬円卓会議はラムサール条約への早期登録や「三番瀬保全条例」の制定も提言しました。しかし、県はこれらの登録・制定も消極的です。ラムサール条約登録についていえば、「第二東京湾岸道路を三番瀬に通した後に登録すべき」という、これまでの姿勢をくずしていません。
 他方で、市川塩浜護岸改修工事のように、三番瀬海域をなし崩し的につぶす公共工事をどんどん進めています。そんな事業のどこが「全国的に誇れる先進事業」でしょうか。呆れてしまいます。



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