■第21回三番瀬円卓会議(3)


蓮尾純子委員の「埋め立て賛成発言」で

土砂投入論議にピリオド



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 第21回円卓会議では、猫実川河口域への土砂投入に傍聴者から批判や疑問がたくさんだされました。竹川未喜男さん(千葉の干潟を守る会)、古井利哉さん(市川市民)、今関一夫さん(三番瀬を守る署名ネットワーク)が土砂投入の問題を指摘し、再検討を求めました。
 いつもの会議だと言いっぱなし聞きっぱなしに終わるのですが、今回はちがいます。パブリックコメントで県内外から疑問や批判の意見がたくさんだされました。したがって、いつものように聞き置くということができません。かなり時間をかけて議論がつづきました。

 たとえば古井さんは、「全国的にみて人工的な砂投入は成功例がないなかで、それがうまくいくのか」と質問しました。これは核心をつく質問です。推進者の倉阪委員らにとって、いちばん困る質問です。また、この問題の議論はいっさいしていません。ですから、倉阪委員らはこの質問にいっさい答えられません。例によってすりかえ回答をつづけました。
 そこで、業を煮やして発言したのが蓮尾純子委員です。蓮尾委員は、「新浜を守る会」の中心メンバーとして、日本で最初に干潟保全運動(埋め立て反対運動)をはじめた方です。その蓮尾委員の「埋め立て賛成発言」によって、この議論はピリオドが打たれました。
 そのやりとりを一部紹介します。

◇古井利哉さん(市川市民)
     猫実川河口域は地盤高が下がっているので、人為的に砂を投入するといるという。しかし、全国的にみて人工的な砂投入は成功例がないなかで、それがうまくいくのか。これについて県民がわかるように説明してほしい。
     順応的管理の手法で少しずつ砂を入れていき、失敗したらやめるとされている。しかし、106ページと107ページの図は、50cm単位ぐらいの細かい石垣(石積み護岸)とか、砂をいれて干出域をつくるというように、非常に細かい図面になっている。少しずつ様子をみながらやっていくとか、どういう生物がいるかを調査しながらやっていくと言いながら、図面は非常に詳細なものがつくられている。寸法まできちんと入れてある。これは、(少しずつ様子をみながらやっていくという)文章の表現とかなりちがう。

◇倉阪秀史委員(千葉大学助教授、環境アセスメント)
     市川塩浜2丁目の護岸イメージ図では、砂を入れて沖合方向に7.8mの干出域をつくるとなっているが、これは塩浜2丁目全域でやるわけではない。具体的にどこの場所でやるかは今後検討することになる。また、調査などをしながら少しずつ砂を入れていく。調査の結果、すべての区域に貴重な生物が生息しているということになったら実施(実験)は中止することになる。

◇今関一夫さん(東京都民)
     私たちが土砂投入を危惧しているのは、生態系を壊すからだ。無数の生き物の命を奪うことになるので、懸念している。円卓会議では、「海域をこれ以上狭めない」を原則にすることが確認されている。その意味は、海域を狭めると、生物の命を奪って生態系を壊し、さらに東京湾の浄化能力を破壊することになるからだ。
     砂を一度入れると、元にはもどらない。倉阪委員の話を聞いていると、砂を入れることが前提となっていて、そのうえで「順応的管理」とか「環境アセス」という言葉が使われている。  しかし、砂を入れれば生態系が壊れることははっきりしている。だから、「海域を狭めない」という原則がでている。こういう深い意味を理解したうえで検討すべきではないか。

◇蓮尾純子委員(日本野鳥の会評議員)
     私は埋め立てに関して、これまでずっと反対してきた人間だ。しかし、今回の素案のなかで最も大きな規模の自然破壊を提案しているのは、その私である
     ひとつは、行徳内陸性湿地(行徳鳥獣保護区)の中で、生き物がいない深場を埋め立てたいということ。もうひとつは、猫実川である。この川には浦安地区の雑排水が流入している。少なくとも、この2点は生き物を殺さなければやれない。それだけは自信をもっていえる。たいへん悲しいことだが。
     にもかかわらす、それは提案していかなければならない。それは、おそらく、そのことによって三番瀬そのものがよくなるのではないかと考えているからだ。だから、申し訳ないが、私は埋め立て賛成論者になっている
     円卓会議は、いろいろなせめぎあいをつづけるなかで今の素案の形に落ち着いた。そこのところを理解していただきたい。
     埋め立て反対を日本で始めて言った私が「埋め立てよう」と提案している。その真意を三番瀬関係者のすべてのみなさんに理解していただきたい。
     というのは、私は行徳内陸性湿地で湿地復元活動をつづけてきた。そのなかで毎年、非常に多くの生き物を殺してきた。アシを切り倒すとか、カエルを埋め殺すとかやってきた。にもかかわらず、それはやらなくてはいけないことだと思っている。それは間違いかもしれない。しかし、間違いか、正しいかは、神様でない私には結論がだせない。
     私たち円卓会議委員は、妥協しながら良い方向に向けてということで、海域の一部に砂を入れることにした。そのことをぜひ理解していただきたい。

◇             ◇

 以上です。  この日は、素案の「三番瀬の歴史」に関する議論で、大浜清委員(千葉の干潟を守る会代表)が、次のように蓮尾委員の功績を紹介しました。
    「ここにおられる蓮尾さんが中心になり、1967年に新浜を守る会がつくられた。この運動は全国最初の干潟保全運動だった」
 その蓮尾委員が、埋め立て賛成をブチあげたのです。無数の生き物が死ぬことになっても埋め立て(土砂投入)はやらなければならない。埋め立て反対運動を日本で最初にはじめた自分が埋め立てを提案しているのだから、それを理解していただきたい。──このように言い放ったのです。
 蓮尾委員の発言後、会場はシーンと静まりかえりました。土砂投入問題はこれで終止符が打たれました。

(文責・自然保護連合事務局)





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