■第20回三番瀬円卓会議(2)


猫実川河口域への土砂投入をめぐって議論





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 三番瀬再生計画素案に対するパブリックコメントでもっとも多かったのは、「市川市塩浜2丁目の改修護岸前面の干出域化」(猫実川河口域への土砂投入)に反対または疑問を提示するものでした。
 この土砂投入をめぐる第20回三番瀬円卓会議(2003年12月25日)でのやりとりはつぎのとおりです。


●「三番瀬に砂を入れてはいけない」はまちがい

◇細川恭史委員(国土交通省国土技術政策総合研究所部長、海洋環境)
 「第二章 再生のために必要な項目」のなかの人為的な土砂投入の記述は削除すべきという意見がだされているが、これは円卓会議で合意されているので、私(執筆者)の一存では訂正できない。

◇望月賢二委員(千葉県立中央博物館副館長、水生生物)
 砂を入れる問題は、私も細川委員と同じ意見だ。

◇倉阪秀史委員(千葉大学助教授、環境アセスメント)
 陸を削って海にもどすべきという意見についてだが、地権者や市川市の理解が得られないで海岸線は基本的に動かさないことにした。したがって、陸を削ることはできない。
 次に、海に砂を入れるべきでないという意見についてだが、この意見は、これまでの護岸・陸域小委員会や市川WG(ワーキンググループ)の議論を誤解したものだ。
 土砂投入は実質的な埋め立てではないかという意見もだされているが、砂を入れるというのは海を陸として使うということではない。つまり、満潮時にも常時干出させるということではない。だから、埋め立てではない。
 さらに、ずっと砂を入れつづけるということでもない。護岸のイメージ図に「初期の代表断面」と書かれているのはこういうことだ。つまり、最初は1:3の勾配で砂を入れ、その砂が流出した後にモニタリング(観察)をし、その後どうするかをもう一度意思決定するということである。順応的管理の手法でおこなうということであって、いきなり砂が安定するまで入れつづけるということではない。
 1坪たりとも三番瀬に砂を入れてはいけないという意見がだされているが、それはちがう(間違いである)。それについては、市川WGや護岸・陸域小委員会で議論し、小規模でも砂を入れていこうということになった。これは合意されていることだ。


●土砂投入の目的は決まっていない

◇磯部雅彦委員(東京大学大学院教授、海岸工学)
 倉阪委員が言われたように、砂を入れることは合意されている。
 順応的管理については、「目的を定め、計画して」と書かれているが、この目的についてはつめた議論がまだされていない。というのは、どんな土砂を使うのかが決まっていないからだ。比較的粗い砂で人が入りやすくするのか、あるいは細かい成分の入った砂にするのかによって目的が変わってくる。


●もっと慎重に検討すべきだ。そうしないと
  パブリックコメントが生かされないことになる

◇米谷徳子(一般県民、公募)
 ラムサール条約事務局に務めておられた小林聡史さんは「人為的干渉は慎重に」と書かれている。また、(猫実川河口域の)泥干潟の評価についても意見が寄せられている。泥干潟はすぐには造れないということや、泥干潟が緩衝地帯になっているということだ。このように、泥干潟は非常に重要である。三番瀬が全体として砂質化しているなかでここに砂を入れるということは気になる。

◇後藤隆委員(一般県民、公募)
 もしかしたら砂を入れないほかの方法で反射波を防げるかもしれないので、そこに砂を入れることについてはもっと議論し検討したらよいと思う。そのようがよりよいものができるかもしれない。そうしないとパブリックコメントが生かされないことになる。できるだけ環境にいいものを最後まで追究すべきだ。


●猫実川河口域は万全の状態ではない。そもそも砂を入れては
  入れてはいけないという理解は正しいのか

◇倉阪秀史委員
 環境をよくするために砂をいれることにした。本来あるべき生態系は、きちんとした潮間帯があって、そこに多様な生物がすみついていることだ。しかし、今は、この海域は直立護岸で分断されている。また、深堀や人工澪(みお)があったりして、万全な状態ではない。したがって、そこに少しずつ砂を入れることは自然再生の観点からも必要だ。
 砂を入れることが三番瀬を破壊するとか、海域を狭めないことが重要なので砂を入れてはいけないという意見がたくさんだされている。しかし、そもそも、その理解が本当に正しいのかどうかということを私は問題提起したい。

◇後藤隆委員
 砂を入れることを前提にするのではなく、河川から自然の力で砂を流すなど、ほかの方法も検討すべきではないか。そういうことを議論し、慎重のうえに慎重を重ねることが大事だと思う。砂を入れる場合でも、もっと小さい規模でやってみるとか、砂を入れる方法など技術的な問題も検討すべだ。

◇岡島成行会長(大妻女子大学教授、住民参加)
 言われていることはみんな同じだ。自然を破壊しようと思っている人は誰もいない。問題はそこ(土砂投入)のところの記述をどうするかだと思う。


●猫実川河口域は理想的な状態ではない

◇大浜清委員(千葉の干潟を守る会代表)
 砂を入れることについては、いちばん意見が集中しており、多くの方が心配している。ずっと砂を入れつづけることになるのではないかとか、猫実川河口域の環境を大きく変えることになるのではないかということだ。

◇倉阪秀史委員
 市川塩浜護岸の前に砂を入れることについては、いろいろな方の思いがある。たとえば市川市の住民は、護岸前面にふれあえる場所がほしいという思いがある。そういう思いを調整して、海域の一部に砂を入れることが合意された。それは尊重してほしい。
 ここの海域は自然として理想的な状態なのかということを冷静に考えてほしい。私は今の状態は理想的な状態ではないと考えている。


●自然の摂理やいのちを大切にすべきだ

◇大浜清委員
 自然の再生を考える場合、どこに足をおくかということが重要だ。私は自然の摂理や命(いのち)を大切にすべきだと思う。
 私事だが、家内の死に立ち会って、いのちというものは本当にはかないものだということを痛切に感じた。そのいのちに人間がむやみに手を加えることは慎重にやるべきだ。
 自然を利用するという場合、自然の摂理にあわせた利用の仕方をすべきである。これまでは、人間の利用の要求にあわせて自然を改造してきた。この点で、これまでの臨海開発は大きなまちがいだった。自然を大切にする。自然の摂理を大切にする。──基本的なスタンスとして、これが大切だ。

◇岡島成行会長
 大浜委員の言われることは全員同じ意見である。それを具体的にどうするかについて議論している。


◇           ◇


 猫実川河口域への土砂投入についての議論は以上のとおりです。
パブリックコメントで79件中55件の反対があったにもかかわらず、結局、それが反映されないことになりました。土砂投入に疑問や懸念を表明した委員は大浜、米谷、後藤の3氏だけです。

(文責・千葉の干潟を守る会)




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