「三番瀬海底に異変」は大げさ

〜干潟は常に姿を変えている〜


千葉県自然保護連合事務局



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 東日本大震災によって三番瀬海底に異変──。これを最近(2011年11月)の新聞(千葉版)が大きく報じました。ある市民団体が発表したからです。

 新聞の見出しはこうです。
  • 「三番瀬 震災で海底ずれる」「市民団体調査 数十センチ、でこぼこも」
  • 「三番瀬海底『震災で凹凸状に変化』」「市民団体調査 2市に対策要望」
  • 「三番瀬 震災で変化」「地盤ずれ 海底に起伏」「『漁業や船舶航行支障が出る恐れ』 市民団体『調査を』」
  • 「三番瀬海底に異変」「東にずれ・平らなはずが凹凸」「市民団体調査、漁業に支障も」

 しかし、3月11日の大震災によって三番瀬の地形が変化したことは、大震災直後からわかっていました。県も、三番瀬の大規模な深浅測量を2011年に実施すると発表しています。これら新聞も報道済みです。


■「大げさに考えなくてもいいのではないか」

 この点については、船橋市漁業協同組合の大野一敏組合長も疑問を呈しています。海の地形や干潟は常に変化している。だから、「大げさに考えなくてもいいのではないか」ということです。

 (2011年)11月13日に開かれた県主催「三番瀬ミーティング」で、大野さんはこう述べました。
     「今回の大地震と津波によって、三番瀬も変化があった。しかし歴史的には、1703年(元禄16年)に南関東大地震が起きた。そのときも三番瀬ではかなりの地盤沈下が起きて、藻場が一瞬にしてなくなったという史実がある。また、三番瀬の魚の量が激減したため、御菜浦(おさいうら)の特権を幕府に返納したという記録がある」

     「9月の台風では、風速30メートルという強い風が吹いた。そういう風によっても干潟は動く。干潟はけっして固定されたものではないということだ。それによって漁獲がどうなるかは、ある程度時間がたたないとわからない。漁師たちからみれば“これが自然かな”ということだ。だから、あまり大げさに考えなくてもいいのではないか」
 まったくそのとおりです。


■干潟は、波浪や洪水などにより常にその地形を変える

 「干潟はけっして固定されたものではない」ということについては、専門家もこんな指摘をしています。
     「干潟は、台風などによる大きな波浪や河川の洪水により大きくその地形を変えることもある」
     「海岸線の形は、一日として同じであることはない」
     「われわれが今日眺めている東京湾も仮の姿であり、過去の姿とは大きく異なっている」

 たとえば、こうです。
    《河口近くにできる干潟は、台風などによる大きな波浪や河川の洪水により大きくその地形を変えることもある。》(和田恵次『干潟の自然史』京都大学学術出版会)

    《海辺は不思議に満ちた美しいところである。地球の長い歴史を通して、海辺は、絶えず変化している不安定な地域であった。波は陸地に激しくあたって砕け、潮は大地の上まで押し寄せては引いていく。海岸線の形は、一日として同じであることはなかった。潮がその永遠のリズムを刻みながら満ちそして引いていくだけでなく、海面そのものが決して一定したものではない。氷河の成長と退行、ふえつづける堆積物の重さによる深い大洋の底の変化、また大陸沿岸の地殻の変動に応じて、海面は上下するのだ。きょうは海がひたひたと陸地に押し寄せてくるかと思えば、明日はその道になる。海と 陸の接点はつねにとらえがたく、はっきりとした境界線を引くことはできない。》(レイチェル・カーソン『海辺』平凡社ライブラリー)

 「大げさに考えなくてもいいのではないか」という大野一敏さんの指摘は的を射ています。

(2011年11月)






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