破綻必至でも強行 泡瀬干潟埋め立て開発

〜週刊誌『SPA!』の記事より〜


千葉県自然保護連合事務局




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 泡瀬(あわせ)干潟(沖縄県)は日本で唯一の「サンゴ礁干潟」である。この豊かな干潟が無謀な“開発計画”で破壊されようとしている──。こう報じているのは、週刊誌『SPA!』2008年7月15日号です。

 泡瀬干潟は、多種多様な生き物が豊富に生息する貴重な干潟です。“新種や希少種の宝庫”とも呼ばれています。
 そんな大切な干潟を埋め立てて、ホテルや多目的広場、住宅、マリーナ、ビーチ、人工干潟などをつくる「泡瀬海洋リゾート開発計画」が進んでいるのです。

 しかし、この計画は誰がみても破綻必至といわれています。埋め立て推進派でさえもそれを認めています。それでも、いよいよこの12月に埋め立てが開始されようとしているのです。


■税金654億円を注ぎ込んでも破綻必至!
  〜「すべてはカネのため」〜

 記事はこんなことを書いています。
    《沖縄本島中部・沖縄市の東海岸にある泡瀬干潟(面積265ha)。この地を長年撮り続けてきた小橋川共男氏の案内で、干潟を歩いた。(中略)
     遠くから干潟を見ただけでは、汚い泥の浜のようにしか見えなかったが、近くで見るとまったく違う。貝やカニ、小魚や海藻など、驚くほど多くの生物が、複雑に関連して生きていることがわかる。
     「干潟には、無数のバクテリアや藻類、ゴカイ類、カニ類、エビ類、貝類などの底生生物、椎魚などが豊富に生息しています。干潟からそれに続く浅海域の海草藻場やサンゴ礁は、魚類の産卵場、稚魚の成育場ともなっているんです」
     沖のほうでは渡り鳥のコアジサシが急降下し、水面近くに上がってきた魚を食べている。
     「ここは鳥の種類も豊富です。泡瀬干潟と周辺域で観察された鳥類は165種。そのうち8割にあたる136種が渡り鳥なんです」
     また、この地域は日本でも有数の希少種の生息地だという。
     「現在、新種9種とトカゲハゼなど絶滅危惧動物12種(貝類108種、甲殻類7種、魚類6種)、クビレミドロなど多数の絶滅危惧植物の生息が確認されています」》

    《この豊かな干潟で、総額654億円をかけた海洋リゾート建設工事が03年から着工している。工事が行われている場所(第1期工事区域)に近づいてみた。すでに埋め立て区域の外枠が囲われ、巨大な海水のプールができている。(中略)工事が始まり、区域内だけでなく周辺の環境も変わってきている。》

    《この計画、すでに破綻している。(中略)この埋め立ての引き金となった国の事業「うるま市新港地区自由貿易地域(FTZ)計画」もすでに破綻している。
     「用地はわずか6.9%の分譲率で、大幅割引しても買い手がつかない。一部を賃貸にして、貿易とは無関係の業者に格安で貸している状態です」
     どこから見ても破綻したこの工事のために、654億円(沖縄市負担は293億円)の税金が投入される。工事で一時的に地元が潤っても、完成した後は自治体に莫大な借金と維持費がのしかかることになる。》

    《泡瀬干潟の開発計画は、誰が見ても破綻していることは明らかだ。何のために、推進派は工事を強行させようとしているのだろうか?(中略)
     推進派の人々に匿名を条件にホンネのところを聞いてみた。
     「計画が破綻しているなんてことは、推進派の人間だってよくわかっている」と語るのは、埋め立て工事関係者のA氏。
     「工事で何ができようと、その後どうなろうと関係ない。本当にバカバカしいとは思うよ。浚渫みたいな大きなカネの動く工事は本土ゼネコンに持っていかれてしまう。自分たちは、孫請け・曾孫請けで、安いカネでこき使われるだけ。でも、当面の工事がなきゃ食っていけない。家族を養っていかなきゃならないんだから、仕方ないだろ」》

    《地域のしがらみで賛成派に回っているというCさんは、「結局、すべてはカネのため」と語る。
     「例えば漁協は、総額20億円の補償金をすでに貰っている。1人当たり2000万〜6000万円。漁協だけじゃない。政治家も地権者も不動産屋もみんな、カネになるから工事を推進したいんです」(中略)
     反対派の「環境破壊をやめろ」「税金の無駄遣いをなくせ」というのは確かに正論だが、それだけでは問題は解決しそうにない。》
 以上です。

■三番瀬と共通点も

 泡瀬干潟は、三番瀬と共通点が多くあります。三番瀬では、「再生」の名で、猫実川河口域(三番瀬の市川側海域)を埋め立てて人工干潟を造成する動きが進んでいます。

 どちらも生物多様性の宝庫であり、環境省が重要湿地として指定しています。
 また、行政(県、市)が、「過去の埋め立てで損なわれた環境を取り戻す」という詭弁を弄して干潟をつぶそうとしています。
 さらに、金儲けに目のくらんだ団体が事業に群がっています。たとえば三番瀬では、人工干潟の維持管理などの事業受託をめざしている環境NPOが、人工干潟化の必要性を声高に主張しています。


 結局のところ、「自前の利益に目がくらんだ人々にとっては、いかなる『人類の宝』や『宇宙の宝』といえどもネコに小判、ブタに真珠」(本多勝一『50歳から再開した山歩き』朝日文庫)ということなのでしょうか。

(2008年7月)






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